熊谷真実さん

 先日、純白のウエディングドレスに身を包み、結婚披露宴を行った熊谷さん。還暦を超えているとは思えない美しさに注目が集まった。「夫の会社にスーツで出社」する新鮮な日々や再婚決意までの気持ちを赤裸々トーク!

グラビアのオファーをいちばん喜んでくれたのは夫

 還暦を4年過ぎても、笑顔が印象的な、変わらぬ美しさを保つ熊谷真実さん。昨年は、男性週刊誌で初グラビアに挑戦し、当時63歳とは思えないみずみずしいプロポーションを披露して話題になった。

そもそもは私がインスタに水着の写真をあげて、それを見た週刊誌など数社の方がオファーしてくださったのがきっかけです。30代のときにも1度、グラビアをやることが決まっていたんですが、土壇場になって恥ずかしくなってキャンセルしてしまったことがあって。でも断った仕事のことってあとあとまで悔いや記憶が残るんですね。だから今回は、人生でやり残したことがないようにしたいと思って、最初に声をかけてくださった週刊誌さんでチャレンジしてみました」(熊谷さん、以下同)

 実は、そのきっかけをつくった水着写真は、現在の夫が撮影したものだという。

写真が上手な人で、ごはんを食べているときや寝ているときなんかに私の写真をいっぱい撮ってくれるんです。そんな中で私も客観的に自分を見て“おっ、意外とイケるじゃん”って思ったりして。知らなかった私の良さを引き出してくれたのは夫なんです

 インスタに水着写真をあげるのを後押ししてくれたのも、グラビアのオファーをいちばん喜んでくれたのも夫だったという。そこから撮影に向けてはストイックに身体をしぼった。

 努力のかいあって、熊谷さんのグラビアは第2弾が掲載されるほどに反響を呼んだ。

 ここで気になるのが、この4月に再々婚を発表した“現在の夫”だが、熊谷さんといえば、2012年に18歳年下の書道家と2度目の結婚をし、男性の出身地である浜松に移住、ほどなくして離婚したニュースが世間をにぎわせたことが、まだ記憶にも新しい。

私の希望で、コロナ禍の2020年の夏に浜松に移住したんです。ずっと願っていた自然に囲まれた暮らしが叶って、毎日幸せで楽しくて浮かれていたんです。でも年が明けた1月に、突然“やっていけない”“もう好きじゃない”と言われてギクシャクし始めて、3月には離婚することになりました

6月上旬に静岡県浜松市のホテルで結婚パーティーを行った。64歳のウエディングドレス姿。恥ずかしいけどうれしかったと当日を振り返った熊谷さん

 スピーディーな展開だが、そこに“まずは別居”という選択肢はなかった。

4月から始まるレギュラー番組があったんですけど、自分の私生活と世間的な立場のギャップから、その新番組のことをまず考えてしまったんです。相手にも“私は公人だから、私生活もなにもかもさらけ出して生きてるのに、どうすればいいの? それがわかっててそんなことを言うの?”って。嘘をつけない性格なので、人から聞かれたときに曇りなく生きていきたいと思って、離婚という決断になりました

〈熊谷さんの初グラビア、ビキニ姿が掲載された週刊誌〉

心の底から楽しそうな笑顔の写真の向かい側には、いつも現夫がいるという

 ただ、別れた夫には「感謝しかない」と熊谷さん。

最後の3か月はツラかったけど、50歳を過ぎて人生のターニングポイントを迎えたときに、18歳年下の人と生きられたことで自分の感性が磨かれたし、いちばんは浜松に連れてきてもらって、ここに縁ができたことに感謝しているんです

シングルに戻ってからは「モテ期」が到来

 離婚後も1人で残って浜松で暮らし続けた。

そもそも浜松への移住は、コロナ禍で仕事がなくなって東京に住み続けることが不安になったから。それに、隣近所で協力して生活できるところに住みたいという気持ちもあって。住んでみたら最高なところで、海も山も近いし、東京へもすぐに出られるし、こんなにいいところないなって。離婚後は女友達も一気に増えましたしね

 シングルに戻ってからは「モテ期」が到来したと語っていた熊谷さん。

離婚した女性って皆さんモテるんじゃないですかね? ただ私自身は再々婚する気は一切なくって。だから、友人夫婦から、同じ浜松の方ということで今の夫を紹介されたときも、私は全然乗り気じゃなかったんです

 友人夫婦の計らいで、月1回程度のダブルデートを1年ほど重ねる中で、徐々に気になる存在へと変わっていく。

それまでは誰か男性と2人きりになるのを避けていたんですけど、たまたま彼と2人で30分くらい話す機会があって、そのときに4人のときと違うギャップを感じたんです。見かけは穏やかなんですけど、実は冒険野郎でワイルドな一面があることを知って素敵だなと感じたんです

 数か月の交際を経て“結婚”という道を選んだ。

子どものころから、好きになった人とは結婚するのが当たり前って思ってきたので。それは64歳になっても変わらないんです(笑)

 最終的な決め手は夫の母親の言葉だった。

彼は8歳年下で初婚。若い人と結婚すれば子どももできた可能性もあるのに、私を選べば子どもが持てない、みたいな話をしたときに、彼のお母さまは“そんなこと気にする必要はないのよ。2人が幸せならそれがいちばんうれしい”と言ってくださって。なんて素敵な方だろうと。このお母さまが笑顔になる人生を送りたいと思ったんです

 姑とは良好な関係を築いているという。

お母さまのところに彼と私でお昼ごはんを食べに行くんですけど、私だけ残ってついつい16時ごろまで喋り続けちゃう(笑)。夫には“まだいたの? なにをそんなに話すことあるの”ってアキレられるくらい、楽しくて話が尽きないんです

 前回の結婚では、“1年更新の契約結婚”も話題に。

舞台美術家で有名な妹尾河童さんご夫妻から、1年契約にすると毎回新鮮になれるよと教えていただいたことが、結果としてひとり歩きしちゃった感じです。お互いに、緊張感を持って、新鮮でいなきゃみたいな気持ちがあったんですね。今考えると、2人ともアーティストでカッコつけてたのかなって思います

新たな出会いももたらしてくれた熊谷さんの第2の故郷浜松。地元でのコミュニティーを大切にしているそう

 今の夫と出会ってからは、結婚は一生愛し続け、守り続けるものだと気づいた、と熊谷さん。

彼の信念は、お互いのいいところは伸ばし、悪いところはそれぞれが反省して共に生きていく、結婚したらどんなことがあっても一生一緒にいるっていう考え。私に対しての責任感が半端ないので、安心感がありますね(笑)

事務所からの独立は「簡単に言うと寿退社です(笑)」

 現在の夫婦生活では、自然体を心がけているそう。

夫はしばらくの間、“なんで僕は熊谷真実といるんだろう”っていう違和感が取れなかったみたいですけど、家でも外でも変わらないのがすごいってよく言われます。お互いに言いたいことはため込まずに言い合って、その後はパッと元の状態に戻る。そこは大人の対応ができています

 4月には13年所属した事務所から独立もした。

簡単に言うと寿退社です(笑)。芸能の仕事は続けていきますが、夫がキッチン関係の会社をしているので、自分の枠を広げて違う世界も見てみたいなと

 その一環で、週に1度は夫の会社の朝礼に出席しているという。

なにか夫の手伝いがしたくて、まずはスーツを着て出社しています。みんなはなんでここに熊谷真実がいるんだろうって思ってると思います(笑)。そんなところも演じてるみたいで楽しいですし、会社が活性化すればいいなって思ってます

 自然豊かで、人も気候もあたたかい浜松の地で、最愛の人と新たな人生を歩み出したばかり。

妹からも天真爛漫で学校中の人気者だったころに戻ったみたいと言われます(笑)。これが、本来の自分の生き方なんだと、実感しています

取材・文/荒木睦美

1960年生まれ、東京都出身。NHK朝の連続テレビ小説『マー姉ちゃん』のヒロインでデビュー以来、さまざまなドラマや映画、舞台で活躍している。妹は俳優の松田美由紀。