シャオシャオとレイレイ 撮影/齋藤周造

 上野動物園の人気者、ジャイアントパンダの双子・シャオシャオとレイレイが、6月23日に3歳の誕生日を迎えた。

3歳が近づいてきての変化

「5月15日時点での体重は、雄のシャオシャオが81.4キロ、雌のレイレイが81.6キロです。最終的に雄のほうが大きくなるのが標準的ですが、小さいころからずっとレイレイのほうがちょっとだけ大きいです。どこかで逆転するのかもしれませんね」

 と微笑むのは上野動物園副園長・冨田恭正さん。3歳が近づいてきての変化を尋ねると、

「食べたらすぐに寝るようになりました(笑)。行動が少しずつ変化して大人になってきたんだと思います。今までは食べたあとに歩き回ってから寝ていましたが、それが少なくなってきました。

 また、木に登る頻度がだんだんと減ってきています。ジャイアントパンダは驚くと高いところに登る習性があります。小さいころはよく驚いて木に登っていましたが、成長するにつれて“なんだかわからなくて怖い”という理由で木に登ることが少なくなってきたんだと思います」

シャオシャオ 撮影/齋藤周造

 2頭の性格の違いはどんなところ?

「レイレイのほうが、集中してちゃんとごはんを食べます。シャオシャオは竹の選(え)り好みなのか、気が散ってしまうのかわかりませんが、途中で何かをしにいってしまうことが多いです。

 でも部屋を移動させる時などでも、レイレイは食べ物に夢中になってると動いてくれないんですよ(笑)。シャオシャオは食べている途中でも動いてくれるので、一長一短ですね(笑)

 レイレイのほうが食いしん坊なのが、少しだけ体重が重いことに関係しているのかも?

レイレイ 撮影/齋藤周造

4月からひとり暮らしスタート

 2023年3月19日に母親のシンシンのもとから親離れし、その後は2頭で一緒に暮らしていたシャオシャオとレイレイ。今年の4月15日、ついに1頭ずつの飼育になった。ひとり暮らしデビューだ。

レイレイ 撮影/齋藤周造

「もともと2頭で暮らしていたところからシャオシャオを移動させたので、環境が変わったシャオシャオは最初は少し落ち着きませんでした。場所が変わらないレイレイはいつもどおりの様子でした」

 今のところ、2頭がお互いを捜すような、寂しがるようなそぶりは見られないという。

「パンダはもともと、単独で暮らす生き物ですから。さらに言えば、寂しいことですが野生ではきょうだいがそろって元気に育つことはほぼないんです。単独で暮らすことへのストレスはないんだと思います」

 1頭は保育器でミルクを飲ませ、1頭はシンシンの母乳を飲ませ、それを定期的に交換するという方法で育てられたシャオシャオとレイレイ。

双子で生まれた2頭を、24時間態勢で育ててきました。生まれたころはコロナ禍で中国の専門家も来られませんでしたし、一歩間違えたら死んでしまうかもしれなかった。なんとか無事に育ってくれ、という思いだけでした。

 よくインタビューなどで“2頭のかわいいところは?”と聞かれるのですが、飼っている猫に対するような“かわいい”という感情には、不思議とならないんです」

シャオシャオ 撮影/齋藤周造

 2頭への思いを聞くと、

「とにかく、これからも元気に育ってほしい。そしていずれは中国に帰って、パンダの保全のための役割を果たしていってほしいと思います。

 もしかしたら、2頭の子どもや孫が、野生復帰に役立てられるかもしれない。パンダの保全の一翼をシャオシャオとレイレイが担ってくれれば本当にうれしいです