蓮舫氏(左)と小池百合子都知事

「神宮外苑の再開発はいったん立ち止まる。そのことを、私は都知事選の争点にしています」

 こう意気込んだ蓮舫氏に、

「今、争点になるとおっしゃいましたけれども、なりません。なぜなら今、(再開発は)立ち止まっているからです」

 小池百合子都知事は悠然と反論した。

「平然と嘘をつく人」

 これは、6月19日に行われた立候補者による討論会での一場面。東京都の新たなリーダーを決める東京都知事選挙の投開票が行われる7月7日に向けて、注目を集める2人の女性が火花を散らす。

 共にキャスター出身という経歴を持つ小池氏と蓮舫氏。だが、似て非なる存在でもある。

「権力者にすり寄り利用して上りつめたのが小池さんである一方、蓮舫さんは鋭い舌鋒を武器に地位を確立してきた人です。今回の選挙は、そんな対照的な“女の戦い”がどう転ぶのか見ものです」(スポーツ紙記者)

 小池氏は、エジプトのカイロ大学を“首席で卒業した才女”という触れ込みで、自身を売り込んだ。アラビア語の通訳として活動し、1979年には27歳のとき日本テレビ系のトーク番組『竹村健一の世相講談』でアシスタントに抜擢される。1988年には36歳でテレビ東京系の経済報道番組『ワールドビジネスサテライト』の初代メインキャスターに就任。

「小池さんはすごく権力志向、上昇志向のある人でした。そして平然と嘘をつく。私なんかほとんど嘘をつけませんから、政治家として失格だと思います」

 こう皮肉たっぷりに話すのは、前都知事で国際政治学者の舛添要一氏。小池氏とは因縁深く、かつて小池氏との熱愛が噂されたこともあるが、舛添氏は否定している。その小池氏の“嘘”とは何か。

「当時、小池さんに貰った彼女の著書の奥付に《カイロ大学文学部社会学科を日本人で2人目、女性としては初めて、しかも首席で卒業》と書いてあったんです。私もパリ大学に留学していましたが、首席なんてとてもムリ。小池さんは“学生は私1人だったから首席なのよ”と話していました。だからこそ学歴詐称疑惑が報じられたときは“40年近くも俺を騙していたのか”と衝撃を受けました。私も簡単に騙されてしまって……やっぱり政治家に向いていないんです」(舛添氏、以下同)

 小池氏をめぐっては、これまで“カイロ大卒”と公にしてきた経歴が虚偽である疑惑が浮上している。6月18日には、小池氏の元側近が公選法違反で刑事告発をした。

「小池さんがまだキャスターだった時代に、フランス大使館のパーティーに彼女を連れていったことがありました。断る人が多い中、小池さんは“行く”と言う。そこには大勢のセレブや著名人などがいるんですが、私はそこでアメリカ大使やフランス大使に“彼女はカイロ大を首席で卒業したんですよ”と紹介しました。その後、小池さんは大使らに取り入って、いろいろよくしてもらっていました。各国の大使と仲がいいことも本に書いていましたよ

「絶対に小池を再選させてはいけない」

 舛添氏も、小池氏に利用された1人なのだ。1992年には、細川護熙元首相に誘われて参院選に日本新党から出馬。当選して政界入りを果たす。1993年に細川政権が誕生するも、1994年に退陣。すると小池氏は、小沢一郎氏に接近し、彼の右腕として活躍する。

小池は、細川さんに始まり、小沢一郎さん、小泉純一郎元首相などにすり寄り、今の地位を築き上げたんです

 怒気を含んだ声で語るのは、元衆議院議員の小林興起氏

 小林氏は2005年、小泉元首相が国民に問うた“郵政解散”での苦い過去がある。郵政民営化の反対派の急先鋒だった小林氏には、当時所属していた自民党から選挙区に“刺客”が送られたのだ。それが小池氏だった。

「当時、外国人記者クラブで小池と討論会を開いたが、小泉政権で環境大臣を務めていた彼女は“忙しくて郵政民営化の法案については読んでいない”と言ったんです。選挙の争点であるはずのものを、何も勉強してないと堂々と言うのだから驚きました」(小林氏、以下同)

舛添要一前都知事

 小林氏は、東京大学を卒業後に通産省(現・経済産業省)に入省し、国会議員になったという経歴の持ち主だ。

「蓋を開けたら大差で負けて、がく然としました。なんなんだ、この国は……と。何ら勉強をしていない彼女に、さまざまなことを学んできた私が負けるなんて想像もしなかった。小池と小泉元首相が、政策ではなく、人気のみで勝負する政治に変えてしまった」

 そして今回、都知事選にも出馬を表明した。

私は小池の元側近が学歴詐称に加担したことを告白した記事が載った『文藝春秋』5月号を読み、絶対に小池を再選させてはいけないと思って立候補をしたんです

 現在は出馬を取りやめ、元航空幕僚長の田母神俊雄氏の支援に回っている。

 小池氏はこの学歴詐称問題を否定。カイロ大学も、2020年にSNSで卒業を認める声明を出している。とはいえ、元側近が学歴詐称に加担したとする告発も無視できない。

 一方で、東京・練馬区にある小池氏の自宅周辺の住民たちはこう口をそろえる。

「今はしっかりやっているから、学歴なんて関係ない。頑張ってほしい」(60代女性)
「会えば腰が低くって、大好き。近所はみんな小池さんを応援しているはず。学歴なんて昔のことよ」(70代女性)

 と、その人気は衰えない。

「2016年に都知事選に挑んだ小池氏は、対立候補を応援する石原慎太郎元都知事をも利用したのです。“厚化粧の大年増”との石原元都知事の言葉を受け、小池氏は生まれつき右ほおにアザがあることを明かし、都民の心をつかんだのです」(全国紙政治部記者)

夫を“ペット以下”呼ばわり

 一方、蓮舫氏はどうか。1988年にクラリオンガールとして芸能界入り。キャスターを経て、2004年に政界入りを果たす。そんな蓮舫氏を知る人は、こう話す。

「双子の母親でもある蓮舫さんですが、議員として忙しく働いていましたから、家事育児などはご主人が懸命にサポートしていました。ご主人は本当に素晴らしくて自治会、PTA、消防団までやっていましたよ。蓮舫さんがご主人を“ペット以下”と評した発言は、呆れました。ご主人の支えがあってこそ、議員として活動できているのに

 蓮舫氏の活躍は“踏みつけられた”夫の犠牲によって成り立っていたよう。舌鋒鋭く、与党だけでなく同じ党の議員を痛烈に批判することも。ある国会議員は、

同じ党の泉健太議員にも、そうとうに厳しい批判を浴びせていて驚きました。とはいえ、批判するパフォーマンスで、のし上がってきた人。当選したら、都庁でも多くの被害者が出るのでは

小林興起元衆議院議員

 知名度を上げるため、多くの男性を踏みつけてきた蓮舫氏。都庁職員らも、彼女に踏みつけられることになるのかも。

 前出の舛添氏はこう見る。

「以前に岡田克也議員を“つまらない人”と評する発言をするなど、蓮舫さんはハッキリ言いすぎてしまうきらいがある。嫌いでも好きだと言えないと、政治家としては厳しい。それをできるのが小池さんですね

 有権者の目に、2人の女性はどのように映るか─。