《ラオス公演、超満員のお客様に囲まれ終演しました。まさに画期的で大変意義深い公演となり、また各国大使の方々もとても驚かれていました!感謝です》(昨年3月)
海外公演を終え、SNSでハーブサウナに癒される様子を投稿するなど国内外で活躍していたピアニストが警視庁に逮捕された。都内に住む齊藤一也容疑者(34)だ。
エプロン数十枚を盗んだと供述
「4月25日午後3時ごろ、新石垣空港で離陸準備中の羽田行き全日空機に搭乗し、『ギャレー』と呼ばれる簡易キッチンの上に置いてあったCAのエプロン1枚(5000円相当)をズボンに入れて盗んだ疑い。“女性の制服をコレクションするのが趣味で、匂いをかいだり、自分で着用していた”と容疑を認めている。ほかにエプロン数十枚を盗んだなどと供述し、家宅捜索ではナース服も押収された」(全国紙社会部記者)
5月に全日空から“CAのエプロンが複数枚なくなった”と被害届が出された。
齊藤容疑者は山梨県韮崎市でサラリーマン家庭に生まれた。4歳からピアノと作曲を始め、東京藝術大学を卒業後に渡欧。パリ国立高等音楽院、ベルリン芸術大学をいずれも最優秀で卒業した。2009年に若手演奏家の登竜門として知られるロン・ティボー国際コンクールで特別賞を受賞したほか、2013年には国内最高峰とされる日本音楽コンクールで2位など上位入賞を重ね、多くの交響楽団と共演して“ピアノ界の貴公子”と呼ばれた。
「知名度はまだまだだが、エリート街道をひた走る期待の若手といえる。なぜこんなバカなことをしたのか」(クラシック音楽業界関係者)
2020年に帰国し、弦楽器奏者の妻と結婚。頬をぴったりつけたツーショット年賀状を送ったり、大型連休に夫婦で高原のホテルに宿泊して毎晩合奏した。愛の巣は「楽器演奏可」の賃貸マンションだった。
「入居時はきちんと挨拶にみえて“いい人だな”という印象。家賃の支払いは遅れたことがない。部屋にグランドピアノを入れ、調律師を呼ぶときには“一時的に駐車場を貸してください”とお願いに来るなど折り目正しかった」(同マンションのオーナー)
事務所は「闇にはいっさい気づかなかった」
2021年6月にはデビューアルバムをリリース。ネコ派を自任し『ショパンの「小犬のワルツ」による即興曲―ネコ好きのための―』を作曲した。その指づかいは「超絶技巧」と評され、夫婦でリサイタルを開くことも。音楽の魅力を伝えるため東北の小学校で演奏したり、母校の中学校で凱旋公演する“お手本”だった。
所属事務所は「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」とした上でこう話す。
「詳細を確認中です。個人で受ける仕事もあるため犯行当日は仕事かプライベートかわかりませんが、事務所の同行者はいません。著名なコンクールを駆け上りながらも、まじめで控えめな好青年。闇にはいっさい気づかなかったので驚いています」(担当者)
特にショパンの演奏は、他のピアニストからも高い評価を得ていたという。
昨年7月には清里でのコンサートを前に、
《ショパンのバラードには森の情景が浮かびます。明日はついに3番と4番を初出し…。既に緊張止まらず、四六時中楽譜が手放せません。この神聖な瞬間は至極だけど、最高の緊張感…全集中の呼吸で挑みます!!!》
とSNSに投稿。
犯行に緊張したかは知らないが、大切な人たちを裏切り何に集中しているのか。