8日間の訪英を終えて、帰国された雅子さま(写真は6月29日)

 天皇、皇后両陛下は6月22日から8日間、イギリスに国賓として公式訪問された。英国に到着後、雅子さまは24日までホテルで休養されたが、25日に催されたバッキンガム宮殿での晩さん会には両陛下そろって参加された。

雅子さま、晩さん会に向けて

愛子さま

「雅子さまは晩さん会の出席に向けて、体調を調整されたのだと思います。晩さん会には日英両国の関係者およそ170人が出席。この日、陛下はイギリスの最高位である『ガーター勲章』を身につけられ“今後とも日英両国がかけがえのない友人として、(中略)永続的な友好親善と協力関係を築いていくことを心から願っています”と英語でスピーチされました」(皇室ジャーナリスト、以下同)

 この日、雅子さまの装いにも注目が集まった。

「花柄のレース生地で白のドレスをお召しになり、首元にはダイヤモンドのネックレス、おぐしには“皇后の菊のティアラ”をつけて晩さん会に臨まれました。このティアラは、美智子さまから譲り受けたもので、着用して海外の公式行事に出られるのは初。晩さん会出席への思いが服装からも伝わるようでした」

 '22年にも英国より招待を受けていた両陛下。しかし、コロナ禍によって、その年の訪英は断念された。英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんによると、

「天皇陛下が即位されたあと、すぐにエリザベス女王から国賓としてのご招待がありましたが、コロナ禍の影響で中止に。その後、'22年9月にエリザベス女王が老衰のため、お亡くなりになりました。私はこのとき、英王室と日本の皇室を結ぶ糸が細くなってしまうと不安でした。それほど、エリザベス女王の存在は日英間にとって大きいものだったのです。しかし、皇室側の思いはもちろんですが、チャールズ国王が日英の絆を絶やさないように、エリザベス女王の思いを受け継いでくださり、今回の訪英に至ったのだと思います」

 両国の念願が叶い、ついに実現したイギリス訪問。過密スケジュールの中でも注目が集まったのが“オックスフォード大学への再訪”だ。

「両陛下の共通点のひとつとして、オックスフォード大学での留学経験が挙げられます。陛下は'83年から、雅子さまは外務省時代に'88年から、おふたりとも約2年間の留学経験がおありです。訪問時は、クリス・パッテン名誉総長らに出迎えられ、おふたりが過ごされた2つのカレッジに足を運ばれました。同大学におふたりで訪れるのは初めてのこと。当時の思い出を懐古されたことでしょう」(前出・皇室ジャーナリスト)

ご友人をホテルに?

'88年から約2年間オックスフォードに留学された雅子さま(写真は'88年7月)

 訪英中、雅子さまは「留学時代のご友人をホテルにお招きになったかもしれない」と推察するのは、『皇室の窓』(テレビ東京系)で放送作家を務めるつげのり子さん。

「雅子さまは平成8年のお誕生日会見で、“アメリカですとか、イギリスで勉強しておりましたころの友人は、ほとんどが今、外国におりますけれども、そういう友人とは、折に触れて連絡を取り合うようにしております”と話されていました。留学時代のご友人を宿泊先のホテルにお招きして、お会いになられた可能性もあるかもしれません」(つげさん、以下同)

 つげさんは陛下の留学時代について、同時期に留学していた人から、陛下にまつわる話を聞いていた。

「陛下はイギリスの地で私たちと同じように“ひとりの学生”として過ごされていたようです。お話を聞いた人がオックスフォード郊外にある老舗のパブで陛下と偶然お会いした際、ご挨拶をすると“初めまして、徳仁です。ここにお座りください”と気さくに接してくださり、お酒を一緒に飲んだそうです」

 同じ人物から、そのほかにも陛下のエピソードを聞いたそうで、

「陛下から“一緒にテニスをしませんか”とお誘いがあったそうです。陛下はお上手ですが、この方は、テニスの経験があまりなく、何度かテニス場の外にボールを出してしまうこともあったそう。すると、陛下は嫌な顔ひとつせず、小走りでボールを拾ってきてくださったそうです」

 陛下の著書『テムズとともに』では、'83年から約2年間にわたった英国留学についてつづられている。昨年、学習院創立150周年の記念事業の一環で復刊。新たに4ページのあとがきが寄せられており、《遠くない将来、同じオックスフォード大学で学んだ雅子とともに、イギリスの地を再び訪れることを願っている》と結ばれている。

「洗濯機の中に洗濯物を詰め込みすぎて、ランドリーを泡だらけにしてしまったことなど、慣れない土地での失敗談も赤裸々に描かれています。ただ“人生で最も楽しい一時期”と表現されたほど、イギリス留学を謳歌されたご様子がうかがえるのが、とても印象的です」(皇室担当記者、以下同)

雅子さまの留学時代

'85年9月、オックスフォード市街をサイクリングされる陛下

 一方、雅子さまの留学時代についてこの記者が続ける。

「当時、雅子さまを指導していたアダム・ロバーツ名誉教授は、雅子さまについて、“優れた能力があるだけではなく、ユーモアのセンスもあり、機知に富んだ発言や活発なやりとりを好んでいた”と話していました。同じく指導役を務めていたデニス・ノーブル名誉教授は、雅子さまの帰国後も連絡を取り合っていたのだとか。おふたりとも再会を楽しみにされている様子でした」

 出発前に開かれた記者会見で、陛下は訪英において“特に関心を払っていきたいこと”について言及されていた。

「“両国の若い世代の交流”を強調されていました。今回は“次世代につなぐための訪英”という意味合いもあったと思われます。愛子さまは'18年、学習院女子高等科の2年生だったころに、イギリスのイートン校に短期留学をされていましたし、日本の皇室となじみ深い英国を再訪される日も近いのかもしれません」(前出・皇室ジャーナリスト)

 前出の多賀さんは、陛下のおことばどおり「次世代につながる訪英になった」と話す。

25日の晩さん会で、雅子さまはウィリアム皇太子の横にお座りになりました。ウィリアム皇太子は3人のお子さまを育てる父親ですので、雅子さまと子育てについてお話をされたことでしょう。その際、愛子さまが日本赤十字社(以下、日赤)に就職されたこともお伝えになったはずです。

 愛子さまは日赤で広報やボランティアに関する業務をされているとお聞きしますが、英国赤十字社はSNSを活用した広報活動が英国内で高く評価されています。今後、愛子さまが研修生としてイギリスを訪れ、英国赤十字社のメンバーたちと意見交換をされる可能性は十分に考えられるでしょう」

 雅子さまからバトンを受け取り、愛子さまが日英をつなぐ“架け橋”となる日は近いかもしれない。

多賀幹子 ジャーナリスト。ニューヨークとロンドンに、合わせて10年以上在住し、教育、女性、英王室などをテーマに取材。『孤独は社会問題』ほか著書多数
つげ のり子 愛子さまご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の『皇室の窓』で構成を担当。著書に『素顔の美智子さま』など