新藤伸夫氏、ドクター・中松氏、清水国明氏、木宮光喜副代表

 東京都知事選挙の投票日である7月7日に向けて、各候補者が熱戦を繰り広げている。

 現職の小池百合子氏、元参議院議員の蓮舫氏、安芸高田市の元市長である石丸伸二氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏の4名には注目が集まるが、そのほかの候補者たちについてはピンとこない。とある政治ジャーナリストは、

「やはり知名度や実績などが有権者の判断材料となることから、立候補者の大多数は当選の可能性が限りなく低い“泡沫候補”と見る向きもある。とはいえ、選挙とはわからないもの。その主張に耳を傾けるのも面白いと思います」

 という。そこで週刊女性は都知事選の“現場”を歩いた。

個性派ばかりの東京都知事選

「すべての国民の利子つきの借金、住宅ローン、教育ローン、カードローンを全部、帳消しにします!」

 6月25日、JR八王子駅の北口でこう聴衆に呼びかけたのは未来党の木宮光喜氏。木宮氏は、借金を帳消しにする“令和の徳政令”を謳う。

未来党の木宮光喜副代表

 街頭演説を聞いていた若者からは「それなら借金しようぜ」との声も出た。木宮氏については気になる情報が。未来党の石川新一郎代表が、応援演説でこう話したのだ。

「過去に田中角栄という日本の総理大臣がおりました。その娘でないかとされているのが木宮光喜でございます」

 衝撃的な情報が明かされたが、これは事実なのか。演説後の木宮氏に話を聞いた。

「石川代表が調べてきて“角栄の娘”だと言うんです。DNA鑑定をしているわけでもないし、私としては、あまり騒がないでほしいと思っていて……。田中真紀子さんだって、ご迷惑でしょう」

 6月26日、午後2時に京成柴又駅前で合同の街頭演説を行ったのは、AIエンジニアで33歳の安野貴博氏と、タレントで73歳の清水国明氏。

清水国明氏(左)と安野貴博氏

 清水氏は「防災対策」を前面に打ち出す一方、安野氏は「テクノロジーで誰も取り残さない東京」を掲げる。40歳差となる2人の候補者は、街頭演説でお互いを認め、政策についても自らの知見から意見して議論を深めた。

「わ~がきみは~、わ~がきみは~」

 同日の午後4時30分ごろ、JR新橋駅前のSL広場で、拡声器のマイクを手に歌っていたのは新藤伸夫氏。

演説する新藤伸夫氏

 新藤氏は公約で、毎月現金が支給されるベーシックインカム制度の導入を訴える。

 ただ、気になるのは街頭演説で歌っていた曲のこと。

「あの歌詞は国歌『君が代』の原型となった『古今集』に書かれている和歌です。現在の『君が代』は、行進曲に適していない。世界各国の国歌は、もう少し明るい。だからこそ、私の曲をいろんなところで活用していただけたらと思ったんです」(新藤氏、以下同)

 大阪府在住で、現在は都内に短期賃貸マンションを借りて選挙戦に臨んでいる。都知事選は都内在住でなくとも出馬は可能だ。出馬理由について尋ねると、

「やはり日米安保の廃止を実現しないといけない。岸田文雄首相や小池さんには、解決する能力がない。都知事の争点にはならないでしょうが、都知事になったらそういう問題を解決していきたい。当選の可能性は十分にある」

 と胸を張った。

 同日午後6時30分から、都内で96歳の誕生日会見を開いたのはドクター・中松氏。会見前に週刊女性の単独取材に応じた。

ドクター・中松氏

「元海軍中佐の藤村義朗さんが、私の家の3軒隣に住んでいました。その藤村さんから“日本をよくしてくれ”という遺言を受け、選挙に出ています」(中松氏、以下同)

 今回で都知事選への出馬は8回目。世界的な発明家として知られる中松氏だが、どのような都政を行うのか。

「都政というものを発明していく。災害も発明によって対応できるし、少子化対策も私が開発した“ラブジェット”を使用することで、解決可能です。ラブジェットは香水で、使用することで性交時の感度が130%上昇する。これにより子どもが生まれるようになるのです」

 健康の秘訣は、自ら発明したサイエンスフードと筋トレだという。寿命は144歳と豪語するが、会見には車いすで登場。壇上には自立して登ったが、わずかな段差を上るのもやっとの様子。そんな中松氏にその日の早朝、別の候補者が“塩”ならぬ“ケーキ”を贈ったという情報が。

「私が企業の後継者を育成する学校を'89年に造ったとき、講師として中松さんをお呼びしてからの付き合いです」

警視庁から警告を受けた候補者も

 ケーキを届けた人物は、忠臣蔵義士新党の小野寺紘毅氏。意外な“縁”を明かす。

小野寺氏(本人提供画像)

 小野寺氏は、30年以上にわたって忠臣蔵の赤穂義士を供養する『赤穂義士行列』を主宰してきた。街頭演説などでは、赤穂義士の格好をして“戦い”に臨んでいる。

「今回の出馬で当選するとは思っていません。私は忠臣蔵の精神をもとに、日本のよさを振り返り、悪いところは直す。いいところは伸ばし、若い人が道を誤らないように、私の経験を正しく伝える場が欲しかったんです。今回は広く知ってもらい、次の都知事選で勝負をかけたい」

 今回の選挙では、24人を擁立するNHK党が、各候補者に割り振られるポスター枠を販売するなど物議を醸す一幕も。乳首と局部を候補者の顔で隠しただけの女性がほぼ裸で写っているポスターを張って、警視庁から警告を受けた候補者もいる。

 それがアメコミのキャラに扮して選挙活動を行う元埼玉県草加市議の河合悠祐氏だ。過激なパフォーマンスを行うのはなぜか。6月27日、本人に電話で話を聞いた。

河合悠祐氏(左)とタレントの桜井MIU(画像は河合氏提供)

「少数者の声を拾う代弁者になることが大切だと思っています。モザイクをやめてほしいとか、性的表現の自由を広く認めてほしい人は、少なからずいる。フェミニストの主張ばかり認められたら、堅苦しい社会になってしまう。だから僕みたいな誰に頭を下げるわけでもない泡沫候補が代弁者として、言いたいことを言ってやろうと思っているんです」(河合氏、以下同)

 理由は、これ以外にも。

「政治が変わるために必要なのは、どこの政党にも染まっていない真っ白な若者の力だと思っています。自分もそうでしたが、若い人が政治に興味がないのは当然のこと。だからこそ、自分が奇抜なことをして、少しでも興味を持ってもらえたらと考えました

 ちなみに問題となったポスターのモデルである女性タレント・桜井MIUとは、恋人関係だったりする?

「全然違います。ちなみにポスターに使った裸の写真は桜井さんが送ってくださったのですが、僕が見た段階で、すでに局部と乳首は加工されており消えていました。じゃないと、僕が見えちゃいますからね(笑)」

 さまざまな思いを胸に、候補者たちは都知事選へ!