『海のはじまり』で共演する有村架純と目黒蓮

《ただただ怖い》
《ホラードラマだったの?》

 初回放送終了後、SNSにこんな感想があふれた。

ホラーと呼ばれるゆえん

 Snow Manの目黒蓮(27)の出世作となったフジテレビ系『silent』(2022年)の脚本家・生方美久氏風間太樹監督村瀬健プロデューサーによる「親子の愛」をテーマにした7月スタートの新ドラマ『海のはじまり』。目黒が演じる月岡夏は、亡くなった大学時代の交際相手・南雲水季(古川琴音)が自分の娘・海(泉谷星奈)を産んでいたことを水季の葬儀で知ることになるというストーリーだ。

「『silent』スタッフが再集結、と宣伝されていますが正確には再々集結です昨年、4人の俳優(多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠)が“クアトロ主演”し、生方さんと村瀬プロデューサーが2度目のタッグを組んだ『いちばんすきな花』は大コケ。独特のセリフが見事に空回りし、主役4人が繊細な性格という描き方に視聴者の共感が得られず、多部さんもインタビューで“この役がわからない”と漏らしたほど」(ドラマウォッチャー)

 木曜夜10時枠だった前2作と違い、今回は月9。力の入れようが違う、とドラマ関係者が明かす。

「脚本家の生方さんは坂元裕二さんに憧れているのですが、坂元脚本の名作『それでも、生きてゆく』大竹しのぶさん『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の有村架純さんを引っ張ってきた。実際、第1話での彼女たちはそれぞれのドラマの役柄を思い起こすような名演でしたが……」

 ではなぜ、今作が“ホラー”と呼ばれるのか。

「水季の行動が意味不明なんです。夏と大学時代に恋人同士になり、妊娠。そこで夏が水季にほかの選択も提案する中、一方的に堕胎の同意書を書かせる。その後、体調を気遣う夏からの電話に“ほかに好きな人ができた”と一方的に別れを告げ、その裏で出産していたという。

 時がたち、6歳の海に夏のアパートを教えて何度も行く練習をさせ、1話の最後では海が夏を訪ねて“夏くん、海のパパでしょ。夏くんのパパ、いつ始まるの?”と聞くところで終わります。この展開がホラーと呼ばれる理由です」(ドラマ関係者)

 前出のドラマウォッチャーは、生方氏の脚本の特徴を指摘する。

「前作でも言われていましたが、生方さんは坂元さんというより、北川悦吏子さん化している。北川さんはとっぴな行動をする女性が周囲を振り回すという展開が得意です。さらに、全体の流れよりもひとつのシーンを大切にするので、緻密な伏線回収などはあまりない。生方さんも登場人物に言わせたいセリフありきで、役を動かしている印象です」

制作関係者が自画自賛?

 補足がないと完結しないのもネックだという。

夏に対して“避妊しなかったのかい”とSNSでツッコまれたのですが、生方さんがインタビューで“避妊はしていたけどできてしまった”と。そんな裏設定を後から脚本家が補足しなくても、作品内で伝わるのがいいんですけどね

 自身の作品を毎回、SNSで丁寧に説明している北川氏に似ているような……。

『海のはじまり』(フジテレビ系・月曜夜9時)。目黒蓮は初めての父親役(番組公式Xより)

おそらく今回、制作陣が“神シーン”と思っているのは、夏の携帯に残る“海大好き”連呼の水季と、海の携帯に残る“夏大好き”という水季。大竹しのぶさんの“今日1日だけでも水季を考えて”と有村架純さんがそっと囁く“今日1日くらい何も考えないで”のセリフの対比でしょうか。制作関係者のものと思われるアカウントがSNSでそのシーンを褒めちぎっていたので(笑)。

 でも、海に来た女子大生が“海好きー”“海大好きー”と彼氏に連呼するとかちょっと不自然。『いちばんすきな花』でも村瀬プロデューサーが自ら“神回”などと宣伝し、周囲はしらけていました」(前出・ドラマ関係者)

 放送中だけでも、制作陣はサイレントでお願いしたい。