元東北楽天ゴールデンイーグルス・安楽智大投手(以下敬称略)によるパワハラ騒動を受けて、ハラスメント防止講習会の実施や相談窓口の設置など、球界に蔓延る“悪しき体質”改善に取り組んでいるNPB(日本野球機構)。
その健全なプロ野球を伝える立場にあるテレビ中継で、耳を疑うような“パワハラ発言”が飛び出してしまったーー。
7月9日に阪神甲子園球場で開催された、阪神タイガース対東京ヤクルトスワローズの12回戦。ヤクルトが1点リードで迎えた6回表の攻撃、四番の村上宗隆を打席に迎えたところで、実況を務めた読売テレビ・大野晃佳アナウンサーが、
【私もキャンプの時に話したんですが、“(才木は今シーズンは)変化球を使いたい”と話していたんですが、川藤さん、今シーズンは才木の変化球はどうですか?】
6回まで1失点に抑えていた、阪神のエース・才木浩人の好投ぶりを視聴者に伝えたかったのだろう。この日の解説者として席についた、阪神OBの川藤幸三氏に意見を求めたのだ。すると、
「もっとまともなことを聞け!」
【そんなもん言わしたらな、ワシがとやかく言うもんじゃない。みんなが認めてるピッチャーや。(大野アナ:はい)みんなが認めているものを、ワシがとやかく言うのか!?(いえ)そやろが!(はい)そしたら、言わんでええやろうが。もっとまともなことを聞け!】
試合の真っ最中にこっぴどく叱られてしまった大野アナは、【失礼しました……。ここで四番の村上ーー】と意気消沈しつつも、気持ちを切り替えて実況再開したのだった。
他にも、その才木が打席でバントを決めた際も【やってくれましたね!】と話を振る大野アナに対し、【こんなん当たり前。“やってくれた”んじゃなくて、こんなの成功して当たり前なの!】とキレ気味に返したりと、当たりが強い返答を繰り返した川藤氏。
SNSでは試合中継を見守っていた視聴者から、
《このご時世、 川藤はアナウンサーや選手へのハラスメントに他ならない》
《パワハラ場面を公共の電波で流すな。 不愉快極まりない。 実況の方、頑張ってください!! もう川藤さんは解説降りてください。 降ろしてください》
《川藤めっちゃパワハラ気質の老害やんけwwww アナウンサー可哀想すぎだろww 赤星なんとかフォローしてやってくれ》
川藤氏による高圧的発言を“パワハラ”と見なす、“老害”扱いする、大野アナに同情する、さらには同じく解説を務めた赤星憲広氏に助けを求める声が溢れる始末。結局、阪神が2対1のサヨナラで劇的勝利を収めた一方で、中継は“荒れ試合”となった。
ファンのおっちゃんによる居酒屋解説
「川藤さんにとっては毎度のことですが」と苦笑いするのは、関西ローカル局・情報番組のスポーツ担当ディレクター。
「阪神OB会長だけに贔屓は百も承知で、技術云々よりもとにかく精神論で語りがち。まるで阪神ファンのおっちゃんによる居酒屋解説にも聞こえますが、川藤さんの解説を心待ちにする視聴者がいるのも事実。
当の本人も求められた役割を理解していますし、後で“盛り上がってる?”などとネット評も気にかけていますよ。つまりは“お約束の芸”とも言えることで」
また、大野アナへの“当たり”にも訳があるという。2020年に読売テレビに入社した大野アナは、野球部出身の経歴もあって翌年から甲子園インタビュアーを任された“期待の星”。
そして阪神戦の実況デビューを果たした2023年5月、やはり解説者として座ったのが川藤氏。
「初実況から1年経った大野アナですが、まだまだアナウンス力は先輩アナには及ばず、すぐに解説者に頼りがちに見えます。彼を育てたい気持ちがあってこそ、“もっと視聴者が聞きたいことがあるだろう”と厳しく当たったのだと思いますよ。
ただ大野アナが川藤さんの“親心”を理解していたとしても、今のご時世ではパワハラと捉えられても仕方がない言質。川藤解説のファンが多いとはいえ、改善に取り組む時期に差し掛かっているのかもしれません」(同・ディレクター)
“第2の安楽”を出す前に、か。