フジテレビ系で放送中の『新宿野戦病院』は、人気脚本家の宮藤官九郎が初めて手がける医療モノ。小池栄子と仲野太賀がW主演を務める。
「新宿の歌舞伎町が舞台で、ホスト、トー横キッズ、ホームレスなどが登場するドラマです。小池さんが演じるヨウコ・ニシ・フリーマンは、アメリカで生まれ育って13年間の軍医経験があり、英語と岡山弁を話すバイリンガル。設定にふさわしい型破りなキャラクターですね」(テレビ誌ライター、以下同)
アネゴ肌で威勢よく啖呵を切る場面が痛快なのだが、“英語力”に疑問を持つ声も。
「英語が下手すぎだと指摘するネット記事がありました。SNSでは《ネイティブの発音じゃない》という声もあれば《日本風の英語が胡散臭くて逆に楽しい》とする意見もあって賛否両論です」
では、ネイティブからはどう聞こえたのか。第1話で急患として運ばれてきたアラブ人役で出演した、イギリス人俳優のTaz Singh(タズ・シン)に聞いてみた。
「イントネーションに問題はないし、私は彼女の話す英語を完全に理解しました。あのキャラクターは、彼女に合っていると思います」
英語ジョークで大爆笑した小池
休憩時間には小池と英語で会話したという。
「日本のお気に入りの食べ物は何かと尋ねられて、私はラーメンだと答えました。劇中でピストルで撃たれた私は、腹部が見えるシーンが何度かあって、彼女に“ラーメン愛が私のシックスパックを消した”と言ったんです。“この腹のふくらみは日本で食べたラーメンだ”と。彼女は爆笑していましたよ」(タズ・シン、以下同)
ジョークがわかるくらいだから、コミュニケーションに問題はなさそうだ。もしかして海外進出アリなのか。
「渡辺謙さんの出演する『ラスト サムライ』で、彼の英語は完璧だと思いましたが、小池さんも謙さんのように成功できると思います。彼女はオープンな人柄で、一緒に演じるのが楽しかった。才能があるうえに努力家なんです」
タズは小池を絶賛するが、日本人からはアクセントがおかしいとの指摘がある。
完璧な英語を求める日本人
「日本人は英語を学ぶ際、すべて完璧を求める傾向があると思います。ときどき“L”が“R”として発音されることがあっても、会話の全体がすぐに理解できるなら問題ありません。英語にはウェールズなまりやスコットランドなまりなど、さまざまなアクセントがありますが、それでも同じ英語です。イギリスではなまっているからといって、その人の英語がよくないとは言いません」
小池が難しい医療用語を交えて英語でまくしたてるシーンもある。そうとうに練習を積んだように見えるが、あるテレビ局関係者は、こう話す。
「彼女はもともと英語が苦手だったそうです。インドア派で、積極的に外へ出かけるタイプではなく、英語を話す機会はほとんどなかった。今回の英語と岡山弁は、ドラマのために特訓したようで、役に向けての身体づくりと一緒。苦手意識があるからこそ、頑張ってできるようになったのではないでしょうか」
少し間違っても気にしないのも役づくりのうち。小池の怪しげな英語と岡山弁が、このドラマの魅力なのだ。