はるな愛

 昭和が続いていたら、来年は「昭和100年」。特に1980年代に生まれた文化や商品が、当時は生まれていなかった世代にも「レトロでカッコいい」とウケるなど、ノスタルジックブームが続いています。実際に子どもだった人たちが夢中になったあれこれを、はるな愛さんに振り返ってもらいました!

「小さいころからドラえもんが好きで。なんでも夢を叶えてくれるじゃないですか? もしもドラえもんに会えたら、私の『女の子になりたい』という夢を叶えてもらおうと思ってました」(はるな愛さん、以下同)

 遊びもおもちゃも女の子向けとされるものに夢中な子ども時代を過ごした、はるな愛さん。小さいころに欲しかったおもちゃの筆頭は、アメリカ生まれの「キャベツ畑人形」だという。1体ごとに顔が違い、“香り”がついていることでも話題だった。

「リカちゃん人形の中に超合金ロボットで」

「キャベツ畑人形がどうしても欲しかったんですけど、両親はもちろん『男だから』って、買ってくれなくて、頭も叩かれたりしてね。キャッチボールとかさせられるのがすごく嫌でした。親戚の女の子が買ってもらったキャベツ畑人形を抱っこさせてもらって『こんなにいい匂いがするんだ!』って驚きました。そういう“匂い”のするものが、私の好きな『女の子のもの』だって思ってましたね」

 親戚の女の子の家に足しげく通い、借りたネグリジェで「女の子の匂い」に包まれるのが楽しみだったという。男の子として育てようとする両親と、自分自身には常にギャップを感じながらも、女の子同士で遊んでいた。

「高学年の女の子がやってるゴム跳びとかに交ぜてもらったり、たまに男の子が交ざっても普通なところは一緒に遊んでました。お人形遊びも、女の子がみんなリカちゃん人形で遊んでるところに、私はうちの親に買ってもらったガチガチの超合金ロボットで『こんにちは~』って交ざってました(笑)」

 特に好きだったのは「ごっこ遊び」だったという。

「アイドルごっこはよくやりました。ハンガーにかかったままの母の服を束にして手に持って、こたつの天板を“テレビ局”に見立てて、このテレビ局から次のテレビ局まで“入り”をするんです。『次の収録~? 疲れた~もう今日はほんとに寝る暇もな~い!』って。一緒に遊ぶ友達の女の子はメイクさん(笑)。みんなで移動するんです」

 幼少期からすでに“エア・アイドル”! 

おままごとも好きでしたね。いつも私は“お母さん”。友達は“お姉さん”とかで、会社に行ったりするんですけど、私はずっと家でみんなを見送って待ってるんですよ。お母さんって独りぼっちで孤独だな~ってちっちゃいときから感じてました」

 遊びを通して昔をこう振り返る。

「自分の生き方とか、性別に関することには苦しかった部分もありましたけど、いろんな新しいものがどんどん出てくる時代で、ワクワクして楽しかったですね」

「昭和あるある」ベストセラー作者に直撃

「カツアゲされるリスクを承知でファミコンのカセットを買いに行ったことも……」

 子ども時代の「あるある!」を詰め込んだベストセラー『昭和の僕らはバカでした』(ワニブックスPLUS新書)。著者の仲曽良ハミさんにコメントをいただいた。

『昭和の僕らはバカでした』(ワニブックスPLUS新書/税込み990円)※記事の中の写真をクリックするとAmazonの購入ページにジャンプします

「この本が発売されてから『懐かしい!』『自分も同じことした!』『おまえは俺か?』などの感想をいただけました。あのころの感覚や遊びはやっぱりみんな一緒だったんだ!とみなさんの感想で、僕も“答え合わせ”ができてうれしかったです」(仲曽良ハミさん、以下同)

 本書の中でもかなりのウエートを占めるのが「ファミコン」関連のエピソードだ。

「当時はみんなファミコンに夢中でしたし、やることも一緒でしたね。カセットをフーフーしたり、貸し借りでカセットに名前を書いたり。ゲームはみんな好きで、隣町のゲームセンターにも行きましたよ。カツアゲされるリスクを承知で靴下にお金を隠して行きました(笑)」

 最後に、『週刊女性』読者に向けてメッセージを。

「昭和後期から平成初期にかけて小学生だった僕らの“あのころ”のお話です。正直言ってピンポイントの思い出エッセイですが、その分その世代の方にはかなり高い解像度で楽しんでいただける一冊になったと思っています」

 まだまだ収録していないエピソードもあるという仲曽良さん。続編にも期待!

はるな愛

はるな・あい 1972年大阪府生まれ。タレント、歌手として'90年代から精力的に活動し、2007年に「エアあやや」でブレイク。2009年にはタイで行われるトランス女性のミスコン「ミス・インターナショナルクイーン2009」にて優勝を果たすほか、ベストジーニスト2010やネイルクイーン2011など受賞多数。タレント・歌手業のほか、お好み焼き店「大三」など飲食店の経営も行う。

なかそら・はみ 1977年新潟県生まれ。漫画家。40代半ばにして会社員を辞め漫画家に転身。サウナに入るのが好き。誰にでもあった「あのころ」を漫画にしたブログ『しなのんちのいくる』が人気を博し、2022年KADOKAWAより書籍化。AnimeJapanの「アニメ化してほしいマンガランキング2024」1位を獲得。

なかそら・はみ 1977年新潟県生まれ。漫画家。40代半ばにして会社員を辞め漫画家に転身。サウナに入るのが好き。誰にでもあった「あのころ」を漫画にしたブログ『しなのんちのいくる』が人気を博し、2022年KADOKAWAより書籍化。Anime Japanの「アニメ化してほしいマンガランキング2024」1位を獲得。


取材・文/高松孟晋