日に日にパリ五輪に関するニュースが増えている。
7月27日の午前2時20分(日本時間)には早速、開会式が行われるのだが、今回の目玉はパリを動脈のようにめぐるセーヌ川で行われる点だ。
各国の代表選手団は船に乗って登場し、同時に演者たちも船上でパフォーマンスを繰り広げるという。さらに、川沿いということもあり、観客たちは無料で見ることができる。
新たな取り組みが目白押しの開会式に期待を膨らませてしまうが、その一方で3年前に我が国で発生した惨劇を嫌でも思い出してしまう。
「2016年リオ五輪閉会式のフラッグハンドオーバーセレモニーでは、ドラえもんやハローキティなど日本の人気キャラクターたちが映像に使われたのち、故・安倍晋三首相がスーパーマリオ(安倍マリオ)に変身して土管から登場。
そして、会場内で行われたARとプロジェクションマッピングを駆使したパフォーマンスを見て、世界中が4年後に行われる東京五輪の開閉式に胸を熱くしました」(スポーツ紙記者)
辞任続きだった東京五輪
しかし、蓋を開けてみると新型コロナウイルスの影響で、大会の開催自体が1年延期。その間、リオ五輪で企画・演出を担当したチームは解散し、立役者だった椎名林檎は消え、開閉式の演出を統括する予定だったMIKIKOは、クリエイティブディレクターの佐々木宏と組織委員会の会長・森喜朗にハシゴを外され、辞職を余儀なくされる(2人も女性蔑視発言で辞任)。
そして、椎名林檎とMIKIKOの後釜としてコーネリアスこと小山田圭吾、元ラーメンズの小林賢太郎らが召集されたのだが、これが悲劇の始まりだった。
「長年、インターネット上では、90年代に雑誌で意気揚々と『いじめ』を自慢していた小山田氏に対する風当たりは強かった。そんな彼が音楽ディレクターに選出されたことで、SNSでは『果たして彼の過去を赦していいのか?』と非難の声が高まり、開会式の4日前に辞任を表明。
さらに、小林氏もラーメンズ時代に行っていたコント内の『ユダヤ人大量惨殺ごっこ』というギャグが国際問題となり、開会式の前日に解任されました」(同)
結果的に、開会式には人気ゲームやアニメのキャラクターは一切登場せず、海外のSNSユーザーから酷評された森山未來の前衛ダンス、忙しないようにも見えたが〜まるちょばのピクトグラムパフォーマンスと、賛否分かれる「出し物」が続き、自身の映画が海外から高い評価を受けているビートたけしは「困ったね。あれ、外国に恥ずかしくて行けないよ」と切り捨てる始末だった。
この「辞任ドミノ」は裏方たちの過去の言動が差別反対を掲げるオリンピック憲章に抵触する可能性があるため、問題視されたわけだが、過去の五輪の開閉会式を振り返ると、佐々木、森、小山田、小林以上の問題発言や品行方正に欠ける言動で、世を騒がせた者たちが大勢いる。特に顕著だったのは2012年ロンドン五輪の閉会式だろう。
「イギリスを代表するロックミュージシャンたちが多数登場しましたが、脛に傷がある人物だらけでしたね。例えばワム!のジョージ・マイケルは、公衆トイレで私服警官に自らの局部を見せつけたため、公然わいせつの現行犯で逮捕されています。2000年代に入ってからも公衆トイレで薬物を所持していたことや、車でトラックや店に衝突したことで何度も逮捕されています。
また、映画『ライフ・オブ・ブライアン』の名曲『オールウェイズ・ルック・オン・ザ・ブライト・サイド・オブ・ライフ』を歌い上げたコメディグループ、モンティ・パイソンのエリック・アイドルは、小林以上にナンセンスと人種差別のオンパレードのスケッチ(コント)を数多く執筆しています。
そして、大トリで登場したザ・フーのピート・タウンゼントは、児童ポルノサイトにアクセスした容疑で、家宅捜索ののち、最終的に不起訴処分となりました。こういったことで世間を騒がせたことも……」(音楽メディア編集者)
五輪という世界規模の大会の開閉会式。今回も何事もなく、無事に終わるとは到底思えない。競技の結果も気になるが、まずはハプニングを期待しながら、開会式を見るのもまた一興かもしれない。
(取材・文/ 千駄木雄大)