今年5月、京急電鉄とサントリーがコラボし、京急蒲田駅にて『京急蒲タコハイ駅』キャンペーンを実施。駅名看板や装飾を“こだわり酒場のタコハイ”とコラボする形で、“京急蒲タコハイ駅”と銘打ち炎上、一部看板の撤去など規模を縮小する事態となった。そんなことがまだ記憶に新しい7月、とある駅に蒲タコハイ駅と同様のある“駅看板広告”が掲出された。
《見下す思考が理解できない》
《じゃない方だけど、実はスポーツが超活発な東比恵。実は脂性肌向きなメラノCCMen じゃない方も、いいじゃない? ロート製薬》
“東比恵”こと『東比恵駅』は、福岡市地下鉄空港線の駅(福岡県福岡市博多区)。ロート製薬が出したのは、同社商品『メラノCC Men』の広告。“薬用しみ対策美白化粧水”だ。
「“じゃない方”とは、『東比恵駅』の字面が、“恵比寿”っぽい、ということから。ご丁寧に駅看板のレイアウトを使った広告も出しており、ローマ字に数字の“駅番号”のデザインを模した《C MEN》、《恵比寿じゃない》という看板も掲出しています」(広告代理店社員)
当然ながら“じゃない方”広告は東比恵駅のみで展開されている。この“じゃない方”という言われ方が、この地域に住む人たちの反感をかなり買っている。
《駅利用者の大半が地元民で間違えるという発想すらないから、「じゃない方」と言われてもイラッとするだけ》
《他の地域の地名を広告で見下す思考が理解できない》
《福岡にとって、色々な歴史があってついてる地名。東京の地名と比較して地元を小馬鹿にする広告は個人的にもかなり気分悪く感じる》
《東京の地名なんて知らんし》
「そこに意思があろうがなかろうが、“じゃない方”は侮蔑的な表現と捉えられても仕方ない言葉です。バラエティー番組の“じゃない方芸人”企画など、きちんとスポットを当てて、その人の得になる面白い取り上げ方をするなら別として……。この点から考えれば、“蒲タコハイ”以上に神経を逆なでするような表現といえるのではないでしょうか」(前出・広告代理店社員)
ロート製薬広報に直撃取材
東比恵駅を“じゃない方”と表現した広告に否定的な声が上がっていることについて、ロート製薬にその意図や見解について問い合わせた。
「背景として、広告該当製品の『メラノCC Men』美容液は、当社の『メラノCC』美容液と容器が似ていることもあり、その特性を活かした広告を元々検討しておりました。
そんな時、福岡『東比恵』(ひがしひえ)駅が『恵比寿』(えびす)駅と文字面が似ていることが一部のSNSユーザーの間で話題になっていることを知り、当社の福岡在住社員たちが『東比恵』(ひがしひえ)に関するたくさんの魅力を熱く話してくれたことから、『メラノCC Men』も同様にたくさんの魅力があり、両方の魅力を伝えていくリリース発表と、それに合わせて、“何故、東比恵駅だけで、メラノCC Menの広告をやるのか?”と関心をお持ちいただけるような駅広告を目指し、企画いたしました。
ただ、皆様からのご意見も拝見し、駅広告だけをご覧になる方が多い中で、上記には至っていないと考えます。今後の広告制作に活かして参ります」(ロート製薬広報、以下同)
“じゃない方”という表現では、「両方の魅力」は決して伝わらないだろう。