7月19日、NTT東日本とNTT西日本は職業別加入者の電話帳、『タウンページ』の提供を2026年3月31日で終了することを発表した。1890年に始まった『電話加入者人名表』が、1983年に人名別の『ハローページ』と職業別の『タウンページ』に改称。『ハローページ』は2023年2月の最終版をもって廃止されていて、紙の電話帳は130年以上続いた歴史を終える。
月刊での発行を続ける『JTB時刻表』
紙媒体の発行部数が減少する中、電話帳も例外ではなく、2005年には約6310万部だった部数が、2023年には約2662万部にまで落ち込んでいた。これからは、インターネット上で提供している『iタウンページ』での検索をすすめているが、なんとも寂しいニュースとなった。
しかし紙媒体が次々と撤退する中、電話帳のように分厚いまま刊行を続けている月刊誌がある。誰もが一度は見たことがあるだろう時刻表─。ネット上やアプリで電車の乗り換えなどを調べることが主流になる中、来年で創刊100周年を迎えるのが『JTB時刻表』だ。梶原美礼編集長は、「出版物すべてにおいて部数が減少していることは事実」としながら、こう続ける。
「国鉄時代になりますが、ピーク時には200万部発行していたときもありました。これは1986年の11月号で、国鉄が民営化する前、最後のダイヤ改正の時刻表となったのですが、時刻表自体がなくなるという誤報があったらしく、そのせいで“買っておかなければ”という方が殺到したようです」
当時は毎月80万部前後の発行だったというが、
「現在はダイヤ改正時などに6万部くらい刷りますが、平均すると、3万4000部ほどです」(梶原編集長、以下同)
出版不況が叫ばれる中、『タウンページ』のように紙を廃止して、電子書籍にするなどは考えていないのだろうか?
部数が伸びている時刻表も
「携帯のアプリなどで乗り換え情報などを検索されている方が多いと思いますが、鉄道旅を楽しむという観点から見ると、紙の時刻表のほうがその人の望む乗り換えが探しやすい。例えば、ここの駅で始発に乗りたいという乗り換えは、アプリなどでは検索するのが難しいですが、紙の時刻表なら見つけやすく並んでいます。作る私たちも、そういったことを意識して作っています。
あと地図も掲載していますので、地図と時刻表を照らし合わせながら、そこから旅の妄想を始められます(笑)」
また一部の時刻表では、部数が伸びているものもあるという。
「B6判に縮小した時刻表です。内容は大きいものとまったく変わらないのですが、価格も安く、青春18きっぷなどで旅行されるとき、持ち運びに便利という利便性がウケているのだと思います」
紙の時刻表ならではの魅力が、利用者の心をつかんでいるのだろう。梶原編集長は、
「100年続いてきたものですから、紙の時刻表として引き続き出していきたいと思っています。使っていただく読者に“やっぱり紙の時刻表はいいよね”と言われるよう、これからも作っていきたいですね」
利便性では電子書籍に勝てないが、紙の本だからこその魅力もあるのだ。