岡慎之助 撮影/JMPA

「団体と個人でも、金メダル獲得を目指して練習してきたので、その成果が金メダルにつながって、本当にうれしいです」

 淡々と話しながらも、時折喜びを隠せず、笑みをこぼしながらそう話したのは男子体操の岡慎之助

同級生のフィギュアスケーター

 体操男子団体で7月30日、日本が8年ぶりに王座奪還を果たした。エース・橋本大輝の不調もあって、チームはなかなか波に乗れず絶望的な状況が続いたが、そんな中で安定した演技を披露したのが岡だった。チームの流れを変え、金メダル獲得に導いた。これだけでも快挙だが、7月31日に岡は男子体操の個人総合でも金メダルに輝いた。

 しかし、ここにたどり着くまでの道のりは険しかった。2年前の全日本選手権では、右膝前十字靱帯を断裂して約1年間の休養を余儀なくされた。それでも挫けず前を向き、パリ五輪出場を決める。

「ケガをして苦しい時期があったと思いますが、岡選手の地道な努力があったから今回の金メダルがあったのだと思います。僕もミラノオリンピックで金メダルを目指す立場として勇気とパワーをもらえました。本当におめでとうございます!」

 こう『週刊女性』にコメントを寄せたのは、北京五輪で銀メダルを獲得したフィギュアスケーターの鍵山優真だ。実は岡と鍵山は、高校の同級生で大親友。岡の高校時代の担任教師だった松下清喜さんが、2人の交友を明かしてくれた。

「学校で岡は、鍵山とよく一緒に過ごしていました。会話も面白くって“どの競技でもロシアは半端ないよね”とか、岡が“手をついて倒立したら?”と言うと鍵山は“転倒とみなされて減点になる”なんて返したり(笑)。逆に鍵山が岡にアドバイスすることも。高校時代は、岡が先に世界ジュニアで金メダルを取ったことで、鍵山に火がついたように見えました。競技は違えども同じアスリートとして、お互いに意識はしていたようです」(松下さん、以下同)

親友、ライバルであり“救世主”

 親友でありライバルでもあった2人だが、岡にとって鍵山は救世主でもあったそう。

「岡は勉強が苦手で……。入学したてのころは、どの教科でも授業中は気絶するように眠っていました。海外での試合もありますから、私が“英語ぐらいしゃべれなくてどうするんだ!”と言ったら、岡は“大丈夫です。世界大会は通訳さんがいるので”と(笑)。なので成績のよかった鍵山が、岡によく勉強を教えていましたね

鍵山優真

 その一方で、2人にはこんな性格の違いがあるという。

「鍵山は、どちらかというと物静かな性格ですが、岡は誰とでも分け隔てなく話せる子ですね。だからこそ、お互いに気が合ったと思います。岡と鍵山のおかげで、私も貴重な体験をいっぱいさせてもらいました。あとは、ケガなく元気に帰ってきてくれたらと思います。帰国したら大学のレポートを書かなければいけないはずですから(笑)

 金メダル獲得の裏には、育んだ友情が光っていた─。