14歳の女の子が、世界1位に輝いた。スケートボード女子の吉沢恋だ。
スケボーは、2021年に開催された東京五輪で初めて競技種目として採用された。吉沢は、街中の風景を模したコースで技を競う種目・ストリートで、金メダルに輝いた。
“世界ランキング1位”の中学校生活
そんな吉沢が、スケボーを始めたきっかけは、4つ上の兄の影響。ここから吉沢は、スケボーにのめり込んでいく。
現役の中学生である吉沢の素顔を、神奈川県・相模原市立小山中学校の山崎真理校長が明かす。
「恋ちゃんの影響を受けて、自分が活躍できる場所を見つけられた子が多いように感じています。けれども、世界ランキング1位だからといって、学校ではおごることなく、クラスに溶け込んでいますよ」
吉沢は7月18日、パリ五輪に向けて日本をたった。その翌日の19日が、中学校の終業式だったという。
「パリへ出発するための準備で忙しかったと思いますが、恋ちゃんは17日のお昼に登校してきました。みんなと給食を食べて、楽しそうに過ごしていましたよ。クラスのみんなが応援メッセージを込めたぬいぐるみをプレゼントしました。きっとパワーをもらったのだと思います」(山崎校長、以下同)
その後、吉沢は校長室にも挨拶に訪れたというが、こんな本音を吐露していた。
茶髪は校則違反?
「私が“今、一番何がしたい?”と聞くと、恋ちゃんは“もっと学校に来たい……”って呟くように言ったんです。学校で取材を受けたとき、彼女は日本代表のユニフォームの上に学校のジャージを着てきました。取材中はユニフォームで対応し、終わったら、またその上にジャージを着て……。暑いはずですが、学校ではみんなと同じ格好でいたいと思っているのでしょう」
6月、ハンガリーの首都ブダペストで行われたパリ五輪の予選大会で優勝し、五輪出場の切符を獲得。しかし彼女は、もっと友人たちと過ごす時間が欲しいと思う、ごくごく普通の14歳なのだ。
パリ五輪での吉沢は、茶髪だったのも印象的。中学校では校則違反にならないの?
「学校に通っているときは黒髪なんですよ。大会のときだけ茶色く染めているんです。あるとき、色を戻すのに耳の後ろの一部分だけが黒く染まりきらなかったようで、わざわざ申し出てきましたよ。普通にしていれば見えないわけで、言わなくてもわからないのに、正直なんですよ」
パリ五輪から帰国したら夏休み。ゆっくり休んで、新学期に臨んでほしい。