「チームクセ旨、チームクセ旨、チームクセ旨、俺たち何? チームクセ旨」
煌々と照らされた看板の下に多くの人が集まり、気だるい雰囲気で歌う。
「チーム友達、チーム友達、チーム友達、俺たち何? チーム友達」
同じく煌々と照らされた看板の下に多くの人が集まり、気だるい雰囲気で歌う。
両者の違いは、前者は集まったのが制服姿の若い男女だったのに対し、後者はタトゥーやドレッド姿、そしてストリートファッションに身を包んだ、強面の面々。
「許可とられてません」
前者の“クセ旨”は、日清食品の『カップヌードル』がXに投稿した宣伝動画だ。
「『チーム友達』は、ラッパーの千葉雄喜さんが2月にリリースした楽曲。海外にも波及している日本ヒップホップ業界で今、いちばん盛り上がってる曲であり、ムーブメントです」(音楽ライター、以下同)
日清の動画は、そんな『チーム友達』のビートを丸々そのまま使用、リリック(歌詞)も前出のとおりに、フロウ(音程やリズム、歌い方)も原曲そのままだ。
「当初、日清の動画は、“チーム友達は、あのカップヌードルすら巻き込んだ”と評価が高い様子でしたが、あるラッパーの投稿から潮目が変わったんです」
日清は「ご確認いただいた上で、投稿」
《許可取られてません 何これ》
日清の投稿に引用ポストする形でこのように言及したのは、Jin Doggという千葉と並ぶ人気ラッパー。
「『チーム友達』は“名義”としては千葉さんの曲ですが、Jin Doggさんは制作初期段階から深く関わっており、“チーム友達”という言葉自体、Jin Doggさんによるもの。原曲にJin Doggさんはフック(サビ)で参加していますが、フレーズを気に入った千葉さんが勝手に曲にしようとして始まった」
『チーム友達』のビートの冒頭にはJin Doggの子どもの声が入っている。
「本楽曲は、大本はJin Doggさんによるものが大きく、彼自身このフレーズが独り歩きして大きなムーブメントになってしまっていることをあまり良く思っていないと話しています。それが“ビジネス”に使われ、しかも無断であるなら、思うところはあるでしょうね」
本件の楽曲使用許可について日清に問い合わせると以下の回答があった。
「今回の投稿は、オマージュしている楽曲『チーム友達』の権利元である千葉雄喜様の事務所に企画内容や映像を事前にご確認いただいた上で、投稿したものです。Jin Dogg様の投稿は弊社も承知しており、すでに千葉雄喜様の事務所を通じてJin Dogg様にご説明いただいたと伺っております」(日清食品広報部)
Jin Dogg側に本件の見解を問い合わせたが、期日までに回答はなかった。
千葉は以前、宇多田ヒカルとコラボした際、制作過程の“メモ書き”を1700万円でオフィシャルサイトで販売するなど“商売上手”な一面が。かつてないほど大きなマーケットになった日本のヒップホップ。金の切れ目が縁の……にならなければいいが。