Number_i(平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太)

 Number_iで広がる格差は放置して大丈夫なのか? それとも想定内なのか?

 King & Princeから脱退、旧ジャニーズを退所した平野紫耀(27)、岸優太(28)、神宮寺勇太(26)の3人で昨年10月に結成したNumber_i

 旧ジャニーズ時代は事務所を退所するとなかなか地上波テレビに出演できなかったが、STARTO ENTERTAINMENTに変わった現在は、辞めジャニもテレビに出られるようになっており、特にNumber_iの音楽番組出演ラッシュは目を見張るものがある。

グループで音楽番組やCMにバンバン出演するも……

 今年に入ってから『Venue101』(NHK)、『with MUSIC』(日本テレビ系)、『週刊ナイナイミュージック』(フジテレビ系)、『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)などの音楽番組に次々と出演。

 7月には『2024FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ系)、『THE MUSIC DAY 2024』(日本テレビ系)、『音楽の日2024』(TBS系)と、各局の大型音楽特番にも出演し話題を集めているのだ。

 また、平野は単独で7月に放送されたエンタメ特番『3people 1minute』(日本テレビ系)に、渡辺直美とタッグを組んでMCを務めていた。

 Number_iはテレビCMにも登場しており、マクドナルドの期間限定メニューやサントリーの「ビアボール」のCMに3人揃って出演。

 また、CMも平野には単独仕事が舞い込んできており、サントリーの「翠ジンソーダ」、ボシュロムの「アクアロックス」、池田模範堂「液体ムヒs」のCM出演を果たしている。

――このようにNumber_iのグループとしては絶好調だが、単独の仕事はほぼ平野に集中。岸と神宮寺は、個人での目立った活躍はあまりない状況なのである。

 しかし、決して岸と神宮寺に需要がないわけではなく、受ける仕事を絞っている可能性が濃厚だ。2人ともバラエティー適性が高く、特に岸はジャニーズ時代に天然で愛されるイジられキャラとして、さまざまな番組に引っ張りだこだったことを考えると、今でもぜひ出演してもらいたいと考えている番組は多そうだ。

 その背景を踏まえると、岸と神宮寺はバラエティー番組などのオファーが来ても断っていると考えるのが妥当だろう。

 ただ、その結果、単独仕事も多い平野と個人での仕事がほぼない岸&神宮寺という構図になっており、Number_i内格差が広がってしまっているようにも見える

『鉄腕! DASH!!』に岸優太が出演しない深い理由

 しかし、それはジャニーズを辞めたときからの運命だったのではないだろうか。

 平野、岸、神宮寺の3人はKing & Princeを脱退する際のコメントで、“海外で活躍できるグループになること”を目指していたが、King & Princeでその目標を叶えることが難しいと感じるようになったことを、脱退理由として挙げていた。

 この脱退時のコメントから、Number_iは海外進出を重視しており、世界で成功することを最重要目標としたグループであることは明らか。

 特に岸は、「ドラマや舞台、バラエティーなどに出させていただきながら、海外で通用するスキルを身につけることを同時にやる器用さが自分にはなく、だんだんと夢と目標に、自分の実力にギャップを感じるようになっていきました。そして、海外で活躍できるグループになるためには、今のままでは到底無理だとも感じるようになってきました」とファンクラブサイトの動画で語っていたのである。

 岸がジャニーズ時代に出演していた『ザ! 鉄腕! DASH!!』(日本テレビ系)に、現在はなにわ男子のメンバーが出演しているが、そのことに触れたネットニュースのコメント欄には、次のような意見が見受けられた。

《バラエティーの岸君というか、DASHの岸君は本当に好きだったし、今でも見返したくなるけど、退所間近のソロ活動の表情と今では顔つきが全然違うんだよね。本人は今までのもの全部なくなってもテレビにでられなくなってもという覚悟で退所しているのだし、仲間とやりたかったことを今やれているのはファンから見ても奇跡みたいな感じ だから今すごく頑張って、音楽ダンスで新しい岸君に出会えることできて良かったなと思う》

《岸くんがDASHにレギュラーで戻ると思ってた人がいるのにびっくり。私はもう出ないと思ってました。Number_iとして軌道にのせてアーティストとして活動一本にしていくんじゃないかなぁ。彼のバラエティーのポテンシャルはもったいないけどね。バラエティーはこの先何年後でも出れるけど、Number_iのあのダンスは今しか出来ないからそれでいいと思ってます》

《今のアーティスト岸くんも素敵です。 普通のアイドルではもったいないくらいの歌唱力、ダンススキルも磨いて、更に高みを目指す3人は眩しいくらいです。 音楽に集中したいという気持ちはとても伝わってくるし、バラエティーはしばらくお休みでいいんじゃないでしょうか。それでも様々なコンテンツで、いつもの面白い、楽しい姿も見せてくれる。それで大満足です》

バラエティーに出ると猛バッシングを浴びることに?

 要するに、岸も神宮寺も個人の需要がないわけではないが、グローバルに活躍するアーティストになるために、今はバラエティー番組などの出演依頼は基本的に受けない方針にしているのだろう。そして、そのスタンスを多くのファンたちが理解し、支持してくれているというのが本当のところに違いない。

 逆に考えると、バラエティー番組に出まくっていたらKing & Princeの脱退理由と矛盾してしまい、「けっきょく日本のテレビで食ってくのかよ!」「目先のカネに目がくらんだのか!」などと、猛バッシングを浴びるのは容易に想像できるというもの。

 おそらく岸も神宮寺も拘束時間が短く多額の契約料がもらえるCMオファーであれば、平野のように単独で受けるのだろうが、そこは個人でダントツの人気を誇る平野との格差が否めないところか……。

 いずれにしても、2人ともバラエティー番組でも光る逸材であり、もし出演を解禁すれば次々とオファーが殺到しそうだが、その需要を自ら封印しているように思う。そこまでしてアーティストとして海外で成功することに賭けているのだろう。

 Number_iは今年4月、アメリカで開催された世界最大級の音楽フェス「Coachella Valley Music and Arts Festival 2024」に出演し、世界進出の第一歩を踏み出している。彼らがバラエティー番組出演などを自ら封じてまで世界を見据えているのであれば、その夢が叶う日が来ることを期待して待ちたい。

堺屋大地●コラムニスト、ライター、カウンセラー。 現在は『文春オンライン』、『CREA WEB』(文藝春秋)、『smartFLASH』(光文社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『日刊SPA!』などにコラムを寄稿。これまで『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。LINE公式サービス『トークCARE』では、恋愛カウンセラーとして年間1000件以上の相談を受けている(2018年6月度/カウンセラー1位)。公式Twitter:https://twitter.com/sakaiyadaichi