「ねぇ、まだ料理できないの? 作るの遅いよね」
これは、食事を待つ夫と食事を作る妻の会話ではない。Eテレで8月13日に放送された教育番組『でこぼこポン!』の一幕だ。
《まんま旦那に当てはまりすぎ》
『でこぼこポン!』は、発達障害などの子どもが社会生活において大切なスキルを学べるという番組。
「発達障害を持つ子どもは、予想外の出来事に直面するとパニックになってしまったり、うまく怒りの衝動を抑えることができなかったり、一方的に話し続けてしまったりする特性がみられます。『でこぼこポン!』は、そうした特性を持つ子どもや親に向けて、どう対処するかを考えながら解決していきます」(テレビ誌ライター)
冒頭のセリフは、じっとしているのが苦手な大人の発明家“でこりん”を演じる鳥居みゆきの言葉。
“でこりん”の友人で興味のあることに集中しすぎてしまう小学生の“ぼこすけ”に対して、人がどう感じるかわからずに、思ったことをそのまま口にしてしまったのだ。しかし、これで終わらない。“でこりん”は出されたハンバーグの感想を聞かれ、こう言い放つ。
「なんか味が薄くない? ぼこすけ、料理ヘタだね」
この言葉に“ぼこすけ”は激怒するのだが、このやりとりが、密かに女性たちの共感を呼んでいる。
《今日のでこぼこポンの内容が、まんま旦那に当てはまりすぎていて、録画して週7で流そうかと思ってる》
《世のどこかにいるダメな夫向けにもよさそうな内容じゃん》
《でこぼこポン、子ども向けだと思って見てたけど、大人でも思い当たることがある。とくに夫婦間のコミュニケーション》
どうやら夫の“問題発言”にイラッとしている主婦が多いよう……。とある2児の母である30代の主婦はこう話す。
「共感しかなかった」
「本当に“わかるわ~”って、共感しかなかったですよね。夫は子どもの面倒も見ないで“夕飯まだ?”とか平気で聞いてくる。こっちは仕事から帰ってきて、料理の合間に洗濯物を畳んで、ほかの家事もしているのに……。料理を出したら“味が薄い”とか“量が少ない”なんて文句まで言う。気に入らない料理には手も付けない。何度もぶっ飛ばしてやろうと思いましたよ」
番組では、この問題に“でこりん”が発明した“道具”で解決へと導く。
「元NHKのベテランアナウンサーである徳田章さんが“おトクダ”という発明道具に扮して、どう言えばいいかを解説しました。解決策としては、作るのが遅いと言うのではなく“何時ごろにできそう?”と具体的に聞く。料理について意見する場合は、褒めるポイントとセットで言う。それから、自分はこう思うという言い方で伝えることが大切だと説明していました」(前出・テレビ誌ライター)
今回のケースでは“ハンバーグは、ちょうどいい焼き加減だね。でも、ちょっと味が薄いと思ったからソースをかけてもいいかな”といった伝え方が例として示された。
「夫には、理解するまで何度も見せてやりたいと思ったので、再放送を録画しています。仕事から帰ってきたら、さりげなく流すつもり。少しはこっちの気持ちも考えて発言してほしい」(前出・主婦)
意外なところに良好な夫婦関係を築くヒントが隠されていたようだ。