日本代表が史上最多のメダルを獲得し、過去いちばんと言ってもいいほどの盛り上がりを見せたパリ五輪。日本時間の8月11日に迎えた閉会式までの間、テレビは“オリンピック一色”。各局とも高い視聴率を稼ぎ、まさに“五輪バブル”だった。しかし、終わってしまえば平常の番組構成に戻らねばならないため、制作陣は視聴率獲得に頭を悩ませることになるという。
特に、月末にビッグイベントを控えた日本テレビの関係者は不安に駆られているようで――。
8月31日から9月1日にかけて放送される、毎年恒例の『24時間テレビ』。今年は例年にはない不安材料がある。6月に水卜麻美アナが局を代表して謝罪していたが、系列の日本海テレビジョンの元幹部社員が『24時間テレビ』の寄付金などを着服したことが大きなニュースとなった。
番組に“大きな変化”
同番組は長年にわたって“チャリティー番組”として放送されているが、近年はチャリティーのあり方についてもいろと指摘されるように。番組公式サイトでは《続けることでしか信頼を回復することはできない》と説明していたが、系列局の関係者はこう語る。
「チャリティーが番組のコンセプトとして柱である限り、その要素をなくすことはできないでしょう。しかし、最近は“不幸を売りにしている”とか“わざとらしい”といった批判が増えてきていますし、出演者のギャラの問題も何年も前から指摘されています。“タレントに払うギャラをすべて寄付したらいいだろう”“それができないのだったら、もうやめた方がいい”という声は、確かに増えています」
そんな声の影響か否か、今年の番組には大きな変化が見られる。まず、番組のサブタイトルが『愛は地球を救う』から『愛は地球を救うのか?』に変更された。また、長きに渡って旧ジャニーズ事務所所属タレントが起用されてきた“メインパーソナリティー”が廃止された。
「タイトルが“断定形”から“疑問形”になっていることで、迷いが出ているように見え、弱気になっていると感じた人も多いはず。日テレはキー局の中で最も旧ジャニーズ事務所との繋がりが深いと言われていたので、そのイメージを払拭するために、番組の特徴でウリでもあった旧ジャニーズタレントの出演を抑えたのでしょう。しかし局内では、“そんな必要があったのか”“無理しすぎではないか”という声が上がっています。というのも、年々下がってきた視聴率を維持できていたのは、旧ジャニタレの人たちのお陰だとみんなわかっていましたから……」(日本テレビ関係者)
関係者からも懸念の声
チャリティーを謳っている番組に旧ジャニーズのタレントを出演させることで、クレームが殺到することを懸念したのは想像に容易い。番組の視聴率が下がることを案じ、早い段階で今回は起用の見送りを決めていたというが、今になって後悔している関係者は多いという。
「フジテレビの『27時間テレビ』が成功を収めたことで、スタッフは“早まった!”と思ったでしょう。『27時間テレビ』には、旧ジャニーズ事務所、つまり現在のSTARTO ENTERTAINMENT社所属のタレントが多数出演していましたからね。すでに世間は、日テレが気にするほど旧ジャニタレに対する拒否感はないのでしょう。そもそも、彼らのファンは騒動が起きてもファンを辞めることはしませんでしたし、その数は相当なものですから、彼らの起用で一定の視聴率は見込めたと思います」(制作会社ディレクター)
不安要素は他にも。番組の目玉でもあるマラソンの今年のランナーが、お笑い芸人・やす子に決まったことに異を唱えるスタッフもいるという。
「あのマラソンは、完走できるかできないか、ギリギリのところで頑張って必死に走っている姿を見て、視聴者は感動するもの。やす子さんは元陸上自衛隊の隊員ですよ。施設課部隊所属だったとはいえ、ほかの隊員同様、過酷な訓練を受けているはずです。辞めてから時間が経っているとしても、マラソンくらいわけないと思いますし、余裕で走りぬいてしまうかもしれません。また反対に、苦しい表情を見せられてしまうと、かえってわざとらしいと思ってしまう視聴者も出てくるでしょう。口には出しませんが、“人選ミス”だと思っているスタッフも多い」(同・制作会社ディレクター)
YouTuber・フワちゃんとのSNSトラブルでも、思わぬ形で注目を浴びたやす子。フワちゃんの活動休止発表によって、『24時間テレビ』で2人が“気まずい共演”をする事態は避けられた。しかし、もし不安要素があったとしても、そもそも“チャリティー番組”なのだから、視聴率に過敏になる必要はないはずだが――。