近年、飲食店では大手チェーンはもちろんのこと、個人店でも、ホールの店員はいない、もしくは少ない。注文はタブレットやスマホで、という店が増えてきている。店員と会話しなくていいなど便利な人には便利だが……。
「自分でバーコードを読み込むスーパーのセルフレジなどでも、操作がわからず店員を呼ぶ人も少なくないですが、同じような問題、トラブルがあります。セルフレジ以上に“いろいろな立場や視点”で起きていますね」(飲食コンサルタント)
デジタル操作に慣れていない客は
店専用のタブレットにメニューがあり、そこで注文が完結する。居酒屋や回転寿司店に多いスタイルだ。そこで見られるトラブルとは。
「回転寿司に行ったら、近くの席の高齢者が注文のたびに店員を呼びつけていた。注文した皿が自動的に到着しているのに気づかず店員を呼んで、“注文が通ってない”とキレて……」(30代男性)
「お盆に帰省して家族でファミレスに行ったとき、父親が不満そうな態度で“これでしか注文できないの?”と店員に絡んで、それをずっと諌めていました。“水は?”とか“これもセルフかよ。店員、何してんの”とアキレたようなそぶりをわざわざ伝わるようにしたり。やめてと言ってもなかなか聞かず本当に恥ずかしいし、申し訳なかった」(40代女性)
タブレットでの注文は、高齢者を中心としたデジタル端末の操作に慣れていない人には確かに難しいかもしれない。また、かつては存在しなかった注文方法であることも大きいだろう。
スマホ注文にも不満の声
「操作ができない、わからないということもありますが、“自分は客だ”という意識が強い人が一定数いる。年配の人に多い傾向はありますが、それに限らないですね」(前出・飲食コンサルタント)
カスハラという言葉もあるが、このようなタブレット注文に文句をつけたり、客に対して弱い立場にされがちな店員にキレたりすることは一種のハラスメントともいえる。タブレットハラスメント、すなわちタブハラか。
一方、タブレットではなく、各自のスマホから注文するスタイルの店も。
「学生時代の友人と久々に飲んだ際、スマホ注文の居酒屋に行ったのですが、“通信料こっち持ちかよ。Wi―Fiねーし”って。みみっちすぎると……。俺たち30代だよ? と思いましたが、客である自分が少しでも負担するのが嫌なんでしょう」(30代男性)
ただ、一方で店側の理屈が優先されすぎているという声もある。
「タブレットでも券売機でも操作方法や、操作画面がわかりづらすぎる店がある。ハイボールなど定番のメニューなのに、どこにあるかわからなかったり。若い人でも難しい場合もあるから、年配の人は余計に難しいでしょう」(前出・飲食コンサルタント)
「スマホ注文は別にいいんですけど、ブラウザではなくLINEを使って注文させる店はどうかと思う。“強制友だち登録”じゃないですか」(20代男性)
このような注文方法は人件費削減が理由でもある。“接客”はもはや贅沢品か─。