「今日、負けたんす。1000円だけど、昨日は2万円、負けたの……」
何の話かと思ったら、ボートレースのこと。発言の主は20歳の女性アイドル。今年、大ブレイクした福留光帆だ。
「2019年10月にAKBチーム8の二代目兵庫代表に。中学3年生からオーディションを受けまくって、1年半でやっと合格できました。でも、すぐにコロナ禍になって、劇場公演に出たのは1度だけ。2022年7月に卒業して、しばらくはフリーターでした」
「面白くしていただいた」
地元の兵庫・尼崎に戻ってバイト生活をしていると、2023年に思いがけぬオファーが。
「医療秘書の専門学校に行こうと思っていたんですけど、東京から舞台出演の話が来て。ほんと、タイミングと運で生きてます! その千秋楽でスタンディングオベーションが起きて、超楽しいと思って、上京を決意しました」
再挑戦を決意したわけだが、注目されるきっかけは、演技ではなくて大喜利だった。2024年3月にYouTube『佐久間宣行のNOBROC TV』のドッキリ企画でオモシロ回答を連発し、視聴回数は686万回に。
「私は何もしていないし、全然、面白くない。面白くしていただいた、周りの人たちのおかげ。1本目は佐久間さんのおかげで、お話を広げてくださって」
そう謙遜するが、番組内でお笑い芸人より面白かったのは確か。その実力(?)が認められたのか、7月には『さんま御殿』に出演。
「先を考える余裕はありません。今を頑張るのが精一杯。与えられたものを100パーセントの力でこなせるように頑張りたいと思っています」
「うちのパパ、マジ完璧」
いつも緊張していると言うものの『さんま御殿』でも堂々たる振る舞いを見せた。
『しくじり先生』では、平成ノブシコブシ・吉村崇から「アイドルなのにキラキラしてない。競艇場に行くと、よくこういう目をした人がいる」と言われた。ボートレースはガチの趣味。全国に24あるレース場のうち、これまでに19か所を訪れた。
「子どものころからレース場に行くことはありました。キッズルームに。おじいちゃんとお父さんがボートレース好きで、それを受け継ぎました。お母さんは、あまりいい顔をしないけど……家族はめっちゃ仲いいですよ」
福留は3人姉妹の真ん中。5人のうち4人が女性で、父親の居場所がなくなりそうだが……。
「うちのパパ、マジ完璧。お姉ちゃんも妹もパパ嫌みたいになってるのは見たことない。大好きです、お父さん」
地元が好き、実家が一番と話す。父親と仲がいいが、ほかにもっと尊敬する人がいる。それが、ボートレースの毒島誠(ぶすじま・まこと)選手。
「お父さんは普通に好きです。尊敬できる部分もいっぱいありますけど、尊敬する人といえば、やっぱ毒島選手かなって思います!」
毒島選手は40歳になるベテランで“他人に迷惑をかけない、きれいなレースをする”とのこと。
「素敵な人で、レースを見れば、わかるんです。まだ、お会いできてないので、会いたい。それがゴール。感謝を伝えたい。毒島選手がいるおかげで今の私があるので」
地元愛とボートレース愛から、やりたい仕事がある。
「ボートレースのCMもいいのですが、ボートレース尼崎の“センプルカップ”のイメージキャラクターになりたい。地元にでかい錦を飾りたい」
「ガンを飛ばして…」
やりたいことが多く、こだわりも強い。AKBグループでは居づらいことはあったのか。
「それはないですね。グループにいたからこその自分だと思っています。AKBは選抜という制度があって、落ち込むことはあったけど、それもいい刺激でした。人といるのも好きだし、相手に合わせることもしますよ。そんなわがままじゃないです!」
もともと2014年に放送された日本テレビ系ドラマ『明日、ママがいない』の芦田愛菜を見て芸能界に憧れたので、今も芝居への思いは強い。
「自分ではない何かを演じられるなら何でもいい。めっちゃネクラな役や、超病んでるメンヘラ女もやってみたい」
9月からAmazonプライムビデオで配信されるドラマ『貞子~弔いのペンダント~』に出演した。同作の監督によると“貞子を階段に突き落として流産させて笑っているという冷酷な役”を演じた。
「雛形あきこさんが演じた貞子がかわいそうでした。でも、ほかの出演者たちもめっちゃ怖いので、私も頑張らなきゃって、負けじとガンを飛ばして演じました」
モチベーションは、ファンへの恩返し。
「いつでもサインを書けるように、ペンは持ち歩いています。見てくれる人あってのお仕事だし、ファンへの感謝は忘れないように。それが一番のモットーかもしれないですね」
最後にアピールしたいことを聞いたら……。
「私、おヘソがめっちゃキレイなんです! 口の中もキレイで、歯並びもいい。頭は洗わないけど、歯は磨くし」
意味不明だけど、楽しそう。このフリーダムなところが一番の魅力なのかも。