整理収納アドバイザー準1級の資格を取った元おニャン子クラブの渡辺美奈代さん。「自分たちに何かあっても、子どもたちが困らないように身辺の整理はしておきたい。ちょっと早いですかね?」と笑う。家の中を見せてもらうと、モデルルームのように整然! 掃除や片づけのちょっとしたコツを教えてもらった。
基礎を身につけたほうが伝えるときに説得力が生まれる
家事上手として知られ、自身のYouTubeチャンネルでも料理や掃除、収納テクニックを披露している渡辺美奈代さん(54)。YouTubeにも登場する夫の矢島昌樹さんと息子でタレントの愛弥さん、名月さんと暮らす自宅はすっきり片づいたおしゃれな空間。
「最近、ファンミーティングなどで同世代の女性ファンの方から整理収納のことを質問されることが多くて。参考になればと、わが家の収納方法をYouTubeで紹介しています」(美奈代さん、以下同)
昨年、整理収納アドバイザー準1級の資格を取得。きっかけはプロのひと言だったという。
「整理収納アドバイザーの講師の方とお仕事でご一緒したときに、“こんなに片づけが得意なら、アドバイザーの資格を取ってみたらどうですか?”と言っていただいて。整理収納は好きだけれど我流でやってきたので、勉強して基礎を身につけたほうが伝えるときに説得力が生まれるかなと思ったんです」
28年前に結婚し、出産後は主婦業と仕事を両立させながら家事を一手に担ってきた。特に家をきれいにしようと熱が入ったのは、育児を始めてから。
「子どもが何か拾って誤飲したらいけないと思って、片づけと掃除は念入りにやっていました。当時は家の中を1日8000歩くらい動き回って家事をして、掃除機がけも1日3、4回していたほど。回数は減りましたが今も掃除機がけがクセになっていて、落ち着くからついやっちゃうんです(笑)」
8年前に卵巣嚢腫で入院と手術を経験。体調を崩したことを機に、夫の昌樹さんも家事を手伝ってくれるようになったという。昌樹さんは、
「僕が片づけても美奈代さんに片づけ直されてしまうので、あまり手を出せないのですが(笑)、玄関の床掃除だけは得意です。雑巾で丁寧に拭きあげているんですよ」
と話す。2人の子どもも成人して家族4人の生活スタイルが変化してきたことに合わせ、近年は断捨離をすることが増えてきた。
「2年前に次男が高校を卒業してお弁当づくりが終わったので、それと同時にお弁当箱や専用の調理道具を処分しました。今は会社のスタッフが家に来たときに料理をふるまうことが多いので、大人数用のお皿をよく使うところに配置したり、モノの使い勝手を見直しています」(美奈代さん、以下同)
断捨離をするときは、整理するエリアのものを全部出して、種類と使用頻度に分けていくのがポイントだという。
60代を意識して断捨離できたら
「例えば今日はキッチンのシンク下と決めたら、収納しているすべてのものを出すんです。まずは鍋などの大物を、次に洗剤など細かいものを一度すべて出して種類別に分けて並べます。さらに使用頻度を、1・毎日、2・週に2、3回、3・2~3週間に1回、4・1か月に1回、5・1年に1回というレベルに分けて、5と完全に使わなくなったものは手放します。手放す決断ができなければ保留ボックスへ。
そして、残ったものを動線に沿った場所に種類別に収納。モノの定位置をつくって管理しています。この断捨離で使いきれていなかった鍋をだいぶ手放しましたし、ひと目で何があるかわかって余計なものを買わなくなりました」
50代以降の断捨離では“思い出の品”の処分に困っている人も多い。
「水漏れで汚れてしまったというのもあり、私と夫の子どものころのアルバムは処分しちゃってます(笑)。子どもたちも一緒に写っている家族写真はともかく、親自身の若いころの写真ってあまり見たいと思わないだろうし。夫は少し残したい派で、私の幼少期やおニャン子時代の写真を自分のものと一緒に何枚か取っているみたいですが」
反対に、子どもたちの思い出の品はすべて保管しているのだという。
「生まれて初めて切った髪から、哺乳瓶、幼稚園の制服、乳歯まで全部取っておいているんですけど、子どもたちが結婚したら、それを処分するかしないかを彼ら自身で判断してもらおうと思っています。必要ないと思ったら捨ててくれて構わないので」
昌樹さんが今年還暦を迎えることもあり、今後は、老後に向けて物量をダウンサイジングしていきたいという。
「仕事の衣装を含めて私の洋服が多いので最小限にしたいのと、キッチン周りも少し縮小できたら。私たちにもしものことがあったとき、残された子どもたちが処分していいのか迷ってしまうのもかわいそうなので、迷惑をかけないようにしておきたくて。後は、少しでも体力が多く残っているうちに、60代を意識して断捨離できたらなって」
美奈代さんのアドバイスで、昌樹さんも自室を断捨離した。
「なかば監視されながら断捨離しましたけどね(笑)。でも、かなりすっきりして生活しやすくなりました」(昌樹さん)
引き出しの中身など、こまごまとした収納には、100均や無印良品のアイテムを活用しているそう。
「戸棚や引き出しの大きさを測って、そこにぴったり合うボックスや仕切りなどの収納グッズを探すのが大好きなんです。よく利用するのは、ダイソーなどの100均や無印良品。調味料などの収納容器の色や形をきれいにそろえられるとうれしいし、キッチンに立つモチベーションが上がります」(美奈代さん、以下同)
整理収納アドバイザーの資格を取ってからは、隙間のない収納から、余白のある収納に変化したという。
「以前は収納ケースの中にあるだけモノを入れていたんですが、予備のスペースをつくるようになりました。例えば食品のストックや調理器具をしまっている収納スペースに、あえて空のボックスを1つ置いておく。何かモノが増えたときにそこが使えますし、心の余裕にもつながります」
家族の幸せにつながる
60代以降の世代が収納で気をつけることは何だろうか。
「身体的に負担がかかるので、つり戸棚や天袋など、高いところの収納は頻繁に使わないことですね。高い位置の収納には、捨てるか迷っているものを集めた保留ボックスを置いて、1年に1回くらいのペースで中を確認して手放すか判断するといいと思います」
断捨離と整理整頓を繰り返すことで、適正な物量を保ち、快適に暮らしている美奈代さん一家。昌樹さんは、
「家は奥様のお城。わが家では美奈代さんがストレスを感じない、心地いい空間であれば、それが家族の幸せにつながるんです」
と言う。美奈代さんも家族がリラックスして過ごしてくれることに幸せを感じるという。
「片づけや掃除を頑張るのも、家族が帰ってきやすい家にしようと思うから。これからも居心地のいい空間をつくりたいです」(美奈代さん)
取材・文/小新井知子
1969年、愛知県生まれ。1985年にアイドルグループ「おニャン子クラブ」のメンバーとして活躍。現在は芸能活動に加え経営者・プロデューサーとしても活動し、今年ソロデビュー38周年を迎えた。