中日ドラゴンズ・立浪和義監督(2011年)

「開幕前からシーズン中に1軍に昇格できなければ引退しようと決めていました。厳しい世界で12年間もやらせてもらえた。支えてくださった全ての人に感謝しています」

 野球ファンから「記憶に残る男」と称された、中日ドラゴンズの加藤翔平外野手(33、以下敬称略)が今季限りでの引退を表明した。スポーツ紙の取材に「1軍に昇格できなかった」ことを引退の理由とした。

 2012年、千葉ロッテマリーンズにドラフト4位で指名された加藤は、翌年のデビュー戦で初打席初球本塁打を記録。新人野手として誰も成し遂げたことがない鮮烈デビューは、「記憶に残る男」の代名詞ともされるプレーに。

 2021年には当時の指揮官・与田剛(58)に請われてトレードで中日入り。打棒こそ振るわなかったものの、玄人ファンを唸らせる代走や守備固めでチームに貢献した加藤。

 ところが、2022年に立浪和義監督が就任すると出場機会は徐々に減り、今期はここまで一軍出場機会はゼロ。33歳と言う年齢もあってか、12年間のキャリアに終止符を打つ覚悟を決めたわけだ。ところがーー、

《加藤翔平さん引退かぁ…なぜか今年一軍に呼ばれなかったけど、まだやれると思うけどな》

《まだ普通に戦力になると思うけど本人が決めたならしょうがないな悲しい 今年も守備走塁で1軍で使えば良かったんだよな》

贔屓起用による犠牲者がまた1人

 SNS上では、加藤本人の決断を尊重しつつも「まだやれる」と現役を退くことを惜しむ声。一方で、

《いやいやいや引退は早すぎるって まだまだ守備も走塁も出来るのに… 立浪が潰したも同然 ミスのオンパレードで盗塁全然しない尾田使った結果がこれですよ最悪》

《実質立浪の責任だろ シーズン中どう考えても翔平が必要なシーンは何回もあったぞ 贔屓起用による犠牲者がまた1人生まれてしまった》

2023年に日ハムにトレードされた郡司裕也を労う加藤翔平(公式インスタグラムより)

 立浪監督による偏った、“贔屓”にも映る選手起用と采配が原因とする厳しい追求も。そして“加藤の出場機会を奪った”選手として、昨年に育成3位指名を受けて入団した尾田剛樹(24)に“とばっちり”の批判が向けられることに。

 スポーツ紙・担当記者に“立浪采配”を聞くと、

尾田について“非常に良いものを持っている”と入団当初から評価していて、昨年まで加藤が担ってきた役割を与えて育てる方針です。“若返り”の意図もあるのでしょうが、片や故障持ちながら球団最高年俸(2年6億円)で中田翔(35)、大ベテランの中島宏之(42、今季で退団)を迎えています。

 さらには“生え抜き”の大島洋平(38)やビシエド(35)ら、チームを支えてきた高年俸選手を控えに回したり、またレギュラー格を次々と放出してきた立浪監督。その起用法にファンは首を傾げ、お気に入りを使いたいがための“贔屓”ではないか、とたびたび疑われているのです」

“球界の宝”を育てられない

 この“改革”でチームが首位争いをしているのならばいざ知らず、2022年から2年連続で最下位。さらに今シーズンも、ここまでヤクルトスワローズと僅差で“定位置”を争う不本意な成績となっている。

「そして根尾昂(24)の起用法です。“球界の宝”を預かった身として、何とか結果を出させようと意地と思いつきでコンバートを繰り返しているように見えます。投手転向した2022年は25試合、昨年は2試合、そして今年も3試合しか投げていない現状。

 加藤翔平と同じ境遇とは言えませんが、ファンを納得させる結果が伴わない采配を続けている以上は、ネットで日々大きくなっている“立浪、辞めろ”の大合唱は収まりそうにないですね」(同・記者)

 3年契約の最終年となる今年、ファンにとっての大きな“補強”となるのは立浪監督が潔くチームを去ることなのかもしれない。