9年ぶりの続編放送に期待が高まる、ドラマ『民王R』(テレビ朝日系)。政界が舞台の小説『民王』をドラマ化した前作は、遠藤憲一と菅田将暉がW主演を務め大好評。新作となる今回の脚本は、原作者の池井戸潤氏の了承を得て制作される完全オリジナルストーリーとなる。
池井戸ドラマが世を席巻
同作品をはじめ、近年は池井戸ドラマが世を席巻。今年の春にも『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)の続編が放送され、話題を集めた。
そこで今回、週刊女性では、全国の30代~60代の男女500人に「続編を見たい池井戸ドラマ」のアンケートを実施。1位はやっぱりあの作品?
5位には同票で2作品がランクイン。まずは'14年に放送された『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS系)。中堅精密機器企業の存続と、同社の社会人野球チームの廃部をめぐる攻防を描いた物語で、主演を唐沢寿明が務めた。
「先が読めないストーリー展開がおもしろく、感情移入できた」(千葉県・女性・49歳)と、『半沢直樹』でも好評を博した脚本家・八津弘幸氏の構成力が光った。
「社会現象にもなった『半沢直樹』の翌年に放送されました。同じTBS日曜劇場ということもあり、“やられたらやり返す”池井戸フォーマットをうんと盛り込んだ演出でしたね(笑)」
と、ドラマウォッチャーで漫画家のカトリーヌあやこさん。10年たっても人気は色あせないが、原作どおりにドラマも完結しており、続編が難しい作品ともいえる。
「最近の大谷翔平選手の活躍もあり、野球の感動ドラマを求めている人は多いはず。視聴者だけでなくTBSも、ぜひ池井戸さんに続編をお願いしたいところでしょう」(カトリーヌさん、以下同)
同じく5位にランクインした金融ミステリー
同じく5位にランクインしたのは、'14年放送の『株価暴落』(WOWOW)。池井戸氏の真骨頂である金融ミステリーで、さまざまな池井戸作品にたびたび登場するメガバンク・白水銀行の審査部審査役を織田裕二が主演。
「自分も株式トレードをしているので、興味深く見た」(和歌山県・女性・63歳)と、有料放送ながら高評価を得た。
「TBSほど演出がくどくなく(笑)、テンポのよいストーリー展開も見事でした」
池井戸作品を初めてドラマ化したのは、実はWOWOW。初作品は'09年の『空飛ぶタイヤ』で、ATP賞テレビグランプリなど数々の賞を受賞している。
「池井戸ブームのさきがけとしての功績は大きいですね。リアリティーのあるドラマ作りがWOWOWの特長でもあるので、今後にも期待です」
第4位は、昨年放送された『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)。中村倫也演じるスランプぎみの小説家が静かな山あいに移住、地元の消防団に加入したところ、次々と起こる怪事件に巻き込まれてしまう。池井戸作品の中では異色ともいえるストーリーを、ミステリーとコメディーが入り交じる絶妙なバランスで演出した。
「主人公の居住地を変えれば、続編もいけそう」(茨城県・女性・42歳)と期待の声が。
「中村さん演じる小説家と、山本耕史さん演じる編集者のバディぶりが楽しい作品でした。確かに、このおふたりなら“小説家探偵コンビ”として続編が期待できそう。舞台や事件の内容を変えることで、シリーズ化も十分可能だと思います」
“時空のゆがみ”のつじつま合わせは?
第3位は『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)。舞台はメガバンクの東京中央銀行。主人公の舞は、問題のある支店に業務改善を指導する「臨店班」に所属。バディとともに次々と銀行内のトラブルを解決していく、痛快なエンターテインメント作品だ。
'14~'15年に杏を主演とする第1~2シリーズが放送され、正義感あふれる舞のキャラがたちまち人気に。すべての回で視聴率15%前後をキープする高視聴率を記録した。
今年の春に9年ぶりに放送された第3シーズンでは、主演を杏から今田美桜に、バディ役も上川隆也から山本耕史にバトンタッチ。主要キャストを一新し、若返りを図った。
「花咲舞が悪事を暴いていく様子に、毎回スッキリする」(千葉県・女性・52歳)「銀行が抱える問題を、女性目線で描いているところがいい」(神奈川県・女性・69歳)と、女性からの支持が厚い。
「第3シリーズにはライバルのメガバンク・産業中央銀行に勤める半沢直樹が登場し、劇団ひとりさんが演じたことでも大きな話題となりました」
第3シーズンの最終回では、舞が勤める東京第一銀行と、半沢が勤める産業中央銀行の合併を匂わせる形で終わった。
「ところが'13年に放送されたドラマ『半沢直樹』では、半沢はすでに合併後の東京中央銀行に所属しています。つまり『花咲』の第3シーズンは時代設定が現在であるにもかかわらず、ドラマの舞台は両行の合併前。時空のゆがみが生じているんです(笑)」
となれば、続編を制作するならどの世界観を描くべき?
「もう『アベンジャーズ』シリーズのように、マルチバースを舞台にしてみては(笑)。第3シリーズではオリジナルストーリーも登場したし、意外とアリかもしれません」
2位は社会人たちの感動を呼んだ名作
2位は『下町ロケット』。'11年に、まずWOWOWが三上博史主演でドラマ制作。その後TBSが'15年に第1シリーズ、'18年に第2シリーズを放送。町工場の社員らが技術力で大企業と競い合い、力強く宇宙産業に挑む姿が多くの社会人たちの感動を呼んだ。
「見ているだけで胸がいっぱいになり、自分も何かに挑戦してみたくなる」(埼玉県・男性・55歳)
「最近のロケット開発のムーブを踏まえた続編をぜひ見たい」(滋賀県・男性・61歳)と、現役世代から多くのラブコールが。
「下町の町工場が大活躍する、ジャパニーズドリームの物語。なんといっても、佃製作所社長を演じた主演の阿部寛さんと、大企業の帝国重工部長を演じた吉川晃司さんの長身コンビが迫力満点! キャスティングもぴったりでした」
直木賞を受賞した『下町ロケット』は全4作が発表されており、シリーズ累計350万部を突破。すべてドラマの原作として使用されている。
「最後の『下町ロケット ヤタガラス』が出版されたのは、もう6年前。新作が出る可能性は大いにあると思います。現実世界でも民間の宇宙開発が急速に進むなか、小説での新たなストーリーに期待したいですね」
1位に選ばれたダントツ作品
1位に選ばれたのはダントツで『半沢直樹』(TBS系)。メガバンクの東京中央銀行を舞台に、融資担当の半沢が不正や権力と戦う勧善懲悪のストーリーが大いにウケて、'13年放送の第1シリーズ最終回では視聴率42・2%を記録。平成の民放ドラマで歴代1位となった。'20年放送の第2シリーズも、全10話が視聴率22%超えを達成。一大ブームを巻き起こしたことは記憶に新しい。
「堺雅人さん演じる半沢が巨悪に立ち向かい、“倍返し”で勝利する姿がスカッとする」(神奈川県・男性・66歳)
「出世争いにチームワーク、主人公の成長、すべてに共感できた」(東京都・男性・51歳)と、50代~60代の男性から絶賛の声が相次いだ。
「もう何十年と、テレビドラマは女性をターゲットに作られてきました。おじさんが夢中になれる作品は『半沢』が久々で、ドラマの視聴者層を広げた。登場人物の中年男性たちに外見だけではないカッコよさがあり、最後は必ず逆転劇で終わる。友情、努力、勝利が描かれ、まるで大人の『少年ジャンプ』のような痛快さがあるんです」
第2シーズンは、半沢が頭取になるのかどうか、含みをもたせた内容で終わった。
「もし続編があるとしたら、次がラストでしょう。何年か後、年齢を重ねた堺さんが頭取を演じる姿を見てみたいですね。そのころには、大和田常務役の香川照之さんも戻ってこられるかもしれません」
'22年末に事務所を退社し、独立した堺。自身に半沢のイメージが強く定着しすぎることを懸念し、続編に難色を示しているとも報道された。続編の実現にはいくつもの壁がありそうだが、はたして─。