お笑いトリオ・ジャングルポケットのメンバーだった斉藤慎二(41)が、今年7月、ロケバス内で20代女性へ性的暴行や不同意性交をした容疑で書類送検された事件。斉藤に同情や擁護の余地はないが、「性的同意」に関する問題にもクローズアップされる事件となっている。
斉藤の妻・瀬戸サオリが“同意はあった可能性”示唆
斉藤は9月20日に所属していた吉本興業が体調不良を理由に活動休止を発表しており、9月25日にはレギュラー出演していた『ZIP!』(日本テレビ系)や『ウイニング競馬』(テレビ東京系)を降板していた。
そのため大病を患っているのではないかといった憶測も飛び交っていたが、10月7日に警視庁が書類送検したという報道が飛び出し、吉本興業が斉藤との契約解除。ジャングルポケットからも脱退し、グループは今後残る2人で活動していくことが発表されている。
そんななか、斉藤の妻でタレントの瀬戸サオリ(36)が、自身のSNSで発表した次のコメントが注目を集めている。
《この件で性的暴行と報道されておりますが一部事実と違う報道がされております。 不同意ということでお相手の方が被害届を出しているとお聞きしておりました。 事実関係としましては、相手の方からも行為がありSNSをフォローしたり連絡先を交換していたことは事実でこちらとしましてはロケバスの中のドライブレコーダー及びカメラの解析を警察の方に求めていました。 一方的な行為ではなかったことを伝えている状況でした。 私が弁護士の方から聞いている内容はこれが全てです。》(瀬戸の声明から抜粋)
要するに瀬戸は、斉藤と20代女性が性的行為をしたこと、つまり不倫したことは事実と認めているものの、無理矢理ではなく両者同意のもと行われた可能性を示唆しているのだ。また、斉藤自身も「不同意」については否定しているという報道も出ている。
「声明だすのはどうかと思う」
この瀬戸のコメントを報じたネットニュースのコメント欄には、次のようなさまざまな意見が寄せられている。
《奥さんもかばいたいのはわかるが、現場にいたわけでもないし、声明だすのはどうかと思う》
《被害を受けたとされる女性が週刊誌に駆け込むのではなく 先ず警察に向かったということで、極めて信ぴょう性が高いと感じる。》
《でも、確かにロケバスで無理矢理はさすがにおかしくないか?悲鳴だされた瞬間に人生終わるやん。》
大前提として不倫したことが確定している斉藤を擁護する意図はないのだが、「性的同意」問題の難しさを改めて感じさせる事件でもある。
偶然だろうが、斉藤が書類送検されたほんの1週間ほど前となる10月1日、『上田と女がDEEPに吠える夜』(日本テレビ系)で「性的同意」をテーマに出演者たちが議論を交わしていた。
放送では、MCのくりぃむしちゅー・上田晋也(54)が、男性側・女性側の両者に寄り添った意見を語るも、「性的同意」について内閣府とコラボしたこともあるSHELLY(40)が異を唱えるなど、バラエティー番組ながら有意義なディスカッションが展開されていた。
そしてこの日は、元・テレビ東京アナウンサーで“あざとキャラ”でブレイク中の森香澄(29)も出演していたのだが、男性との性交する前のやりとりにおいて、森が次のように「性的同意」の難しさを象徴する発言をしていたのだ。
《(男性が性的行為を求めて来た際)本当に嫌だったら『嫌』って言えるんですけど、私ちょっとたまにやっちゃうのが、『ダメ』とか言って、本当はちょっとダメじゃないみたいな。あるじゃないですか? すぐ『いいよ』って言うんじゃなくて、1回ちょっと『ダメ』を挟みたいみたいな。2度の確認がほしいみたいなときはあるんですけど、これはもうやめたほうがいいですか?》
「性的同意」問題は今後も社会全体での議論が必要
細かい話になるが重要なところなので、この森の発言を分析していこう。
森は“1回は「ダメ」と言っていてもOKのときがある”ということを伝えており、“「ダメ」と言っていてもOKである”と主張しているわけではない。“1回は「ダメ」と言ってしまうときもあるから2回確認してほしい”という意見だ。
つまり、“最終的にはきちんと同意を取ってほしい”という意味だが、男性側からすれば1回「ダメ」と言われてもそれは女性の本心ではなく、まだ同意を得られる可能性があるという解釈もできてしまう。
実際にこういった森のような振る舞いをするタイプの女性は一定数いるし、「嫌よ嫌よも好きのうち」という慣用句も存在する。そのため、コミュ力が低かったり性欲で暴走していたりする男性のなかには、“相手の女性は「ダメ」と言っているがOKに違いない”と、都合よく曲解してしまうケースも出てきてしまうだろう。
また、さらに難しいのは“最終的に同意を得られればOK”というわけでもないところ。女性が「ダメ」と言っていても実はOKという可能性があると考え、粘りに粘りまくる男性が出てきてしまうこともありえるからだ。
何度もしつこく迫られれば、男性からの“圧”に恐怖心を抱いた女性が、本意ではないのに「うん」「いいよ」などと同意する発言をしてしまうこともあるかもしれない。欲望に駆られた男性が、“同意”という名の“言質”を取ることに必死になる姿は容易に想像できる。
斉藤と被害を訴えた女性の間に実際どんな会話があったのかは定かではない。ただ斉藤の事件とは関係なく一般論として、「性的同意」はまだまだセンシティブな問題をはらんでおり、社会全体で慎重に議論を続けていく必要があるように思う。