タクシー ※写真はイメージです

 10月6日、東京都江戸川区に住む現役の警察官が逮捕された。警視庁人事一課は、中野警察署の刑事組織犯罪対策課に所属する警部補・金田一郎容疑者(51)を強盗の疑いで緊急逮捕したと発表。

 金田容疑者は同日の午前3時25分ごろ、板橋区中板橋の路上で、タクシー料金を請求した運転手の頭部を平手で数回たたく、両手で首を絞めるなどをしたうえで、乗車料金4300円の支払いを免れたというもの。

「金田容疑者は酒に酔って1人でタクシーに乗車し、料金を払わずに立ち去ろうとしたようです。追いかけてきた運転手に暴行を加えて、運転手とそばにいた目撃者が110番通報。駆けつけた警察官が取り押さえて、午前4時6分に現行犯逮捕となりました」(全国紙社会部記者)

近所での評判は

 運転手は首などに全治2週間の打撲を負い、金田容疑者は取り調べに対して「強盗しようとは思っていなかったが、やったことは間違いない」と、容疑を認めている。

 現役の警察官による蛮行に、警視庁警務部の参事官は「警察官としてはあるまじき行為であり、被害者のかたに心よりお詫び申し上げます。今後、捜査を尽くし、明らかになった事実関係に即して、厳正に対処いたします」と謝罪した。

 金田容疑者の自宅は、勤務先の中野署からおよそ20km。電車とバスを乗り継いで1時間ちょっとの江戸川区内にある。3階建ての新築住宅で、看護師の妻と、高校と小学校に通う娘2人と暮らしていた。

 以前は妻と2人で江東区の警察専用宿舎に住んでいたが、17年前に子どもが誕生したことを機に、『警視庁職員信用組合』で3500万円のローンを組んで新築一軒家を購入していた。

「引っ越してきたころは夫婦だけで、その後に娘さんが生まれました。共働きのお忙しいお宅のようで、町内会に入っていますが、近所づきあいはありませんね。ご主人は朝早くから夜遅くまで働いている印象です」(近所住民のひとり)

 近所に住む住民女性は、金田容疑者と会釈することはあるという。

「ご主人は身長が175cmぐらいで、ガッシリ体形。短髪でスーツ姿、無口で厳格な雰囲気。土日はジャージ姿でジョギングをしていますね」

ローンは「組み直し」

 娘たちと一緒にいたという話は聞こえてこなかった。

「子どもの学校行事や父兄参観には、かわいらしくて優しそうな奥さんが参加して、ご主人は見かけたことはありません。お嬢さんたちの学校や習いごとの送り迎えは、近所に住んでいる奥さんの祖父母が手伝っているようです」(前出・住民女性)

 暴力団や犯罪組織の取り締まりを主に行う『組織犯罪対策課』に所属する金田容疑者は、家庭よりも仕事一筋だったのか。自宅周辺や近くの商店街で、容疑者が酒を飲んでいるという様子はまったくなかった。

金田一郎容疑者が勤務していた中野警察署

「奥さんは普段、愛想よくて外面はいいけど、家の中だとかなりキツイみたい。しょっちゅうご主人を怒鳴りつけている声が家の外まで聞こえていましたから。ご主人は完全に奥さんの尻に敷かれていましたね。あの感じだと、家で晩酌なんて、とてもできなかったのでは。奥さんは子どもにも厳しくて“お母さんが家の中に入れてくれない”って、娘さんが外に出されていることもよくありました」(別の近所住民)

 そういった証言から恐妻家かもしれない金田容疑者は、事件の前日に外で酒を飲んでいたのだろうか。

「中野区から江戸川区の自宅まで、タクシーで帰宅すれば深夜割増を含めて、1万円を超えます。中野区から事件があった板橋区中板橋までのタクシー料金は4000円ほど」(前出・全国紙社会部記者)

 今後の金田容疑者の処遇は捜査結果を待つことになるが、警察官を免職した場合、家のローンは組み替えることになりそう。

「ローンは警視庁の職員でなければ借りられないものなので、他社でローンを組み直して、それで残金を一括で返済してもらうことになります」(警視庁職員信用組合)

 金田容疑者が職を失えば、自らの名義ではローンを組むことは困難になるだろう。状況が厳しければ、自宅は売却ということにもなりかねない。

「2年前に外壁を塗り直して、今年は給湯器を『エコキュート』に取り換えたばかりなのに」(前出・住民女性)

 どんな家庭の事情があろうとも、損なってしまった警察への信頼は取り換えがきかない。