NHK『わらたまドッカ~ン』公式Xより

 10月21日に放送された『診療中!こどもネタクリニック』(Eテレ・月1放送)がSNSで話題を集めている。

子どもにウケたい芸人たちに対して、お笑い好きの“子どもドクター”が、どうやったらネタがもっと子どもたちにウケるようになるかをアドバイスするという番組です。芸人たちはアドバイスを取り入れ子どもたちが楽しめるネタに作り直して再披露するのですが、『THE W』で優勝した女性コンビ・紅しょうがへのアドバイスがすごすぎると話題になっています」(テレビ誌編集者)

今の中高年世代より期待できる」

 番組ではクリスマス前に彼氏と別れて寂しい……というトークから漫才が繰り広げられたが、この漫才に対して“子どもドクター”から意外な視点でアドバイスがあった。

小学生たちが「あのー。女性が『独身でひとり暮らし』っていう個人情報をテレビでバラすのは、犯罪者に狙われるのであぶないですよ」と小学生たちがアドバイスしていて、とてもやさしい世界

 視聴したXユーザーがこう投稿すると、

《これほんと最近の子は学校でやっているらしく道端でお友達の名前とか話すと こんなお外でお名前大きい声で話したら個人情報バレちゃうでしょ! って怒られます》

《小学生の方がオトナ》

《こんな小学生ばかりなら今の中高年世代より期待できるよね…みんな単に年取っただけの大人の言うことを鵜呑みにしちゃダメだよ…》

 と、生まれた頃からネットに触れている子どもたちの方がリテラシーや防犯意識が高いという声が相次いだ。

NHKEテレ『診療中!こどもネタクリニック』公式サイトより

 現役の若手芸人も客層の変化をこう語る。

アラフォー世代の先輩たちの中には、“コンプライアンスが厳しくなって容姿いじりなど、できることが減ってきて大変な時代”と愚痴る人もいますが、劇場に足を運ぶ若い女性のお客さんには見た目イジりなどは純粋に受けないから、若手芸人はそういうネタをやらないという感じですね。紅しょうがさんのネタへのアドバイスのように、見ている人が笑うよりも先に心配してしまうくだりもカットします

 エンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサさんも、番組でのアドバイスを絶賛する。

子どもたちから“個人情報の観点で〜”という発言が出るのは個人情報に関する教育が上手くいっている証拠なので、とても素晴らしいことだと思います。架空の設定にマジレスしてしまうのは子どもらしいとも言えますが、そういう観点で見る方がいるという気づきがあったのはアドバイスを受けた芸人さんにとってもプラスになったのではないでしょうか

 また多様性を認める考え方が定着したことで、芸人たちには難しい時代になったとも続ける。

「平成までは“クリスマスなどイベント時に恋人がいない人は寂しい”みたいな価値観が定着していて、その価値観の逆を行けば簡単なボケとして成立していました。しかし多様な考え方があって当たり前の今の時代では、ただひとつの価値観の逆を行くだけのボケではなかなか笑ってもらえない。そんな中で多くの人を笑わせるネタを作らないといけない現代の芸人はかなり大変。

 ただ物事を素直に受け止める子どもたちの視点は現代の芸人には必要な視点だと思うので、“コンプラが厳しい”と嘆く芸人のみなさんも、徐々に価値観をアップデートしてさらに面白いネタを提供し続けたらと思います

 一時、ぺこぱらお笑い第7世代の“人を傷つけない笑い”が話題になったが、今後は“人を心配させない笑い”が主流になるかも?