「下からガッツリまぜて」の文言が話題に上がったセブンイレブンの油そば

「すべては7年前からの夢のためです」

 ラーメン『鈴の木』店主で、小さいサングラスがトレードマークの、りゅう社長こと鈴木遼央氏。物議を醸した自身の投稿についてこう語った。

 事の発端は、鈴木氏が10月21日にX(旧ツイッター)に投稿したツイートにはじまる。

「現在、コンビニ大手・セブンイレブンから『極太麺!コク旨醤油の油そば』という商品が発売されています。鈴木氏はこの商品の説明文に《下からガッツリまぜてお召し上がりください》との記載があったことを指摘。そして自身のXで《俺の持ちネタ「下からガッツリまぜる」を使うなら俺の商品を出してくださいよ~‼》と綴ったのです」(ウェブメディアライター)

 実際に鈴木氏は《下からガッツリまぜる》という文言を商標登録している。そのこともあり、この投稿は鈴木氏がセブンイレブンを糾弾するものと受け取った閲覧者も多く、賛否の声が寄せられた。
 
《商標登録してるなら主張してもいいかもしれない》
《商品名じゃなくて、説明文だから目くじら立てることはない》
《説明文は「下からガッツリ混ぜて」で、登録しているものとは一文字違うからグレーでは?》

「下からガッツリまぜる」を商標登録している

 たしかに、「下からガッツリまぜる」という文言は鈴木氏によって、商標登録の第43類(飲食物の提供)に登録されている。しかし、今回指摘のあった商品は弁当であり、弁当は商標登録の第30類に分類されるため、鈴木氏が登録している第43類の商標登録の効力は通用しない。

 これについて鈴木氏は次のように語る。

「商標登録が通用しないことはもちろん理解していました。ですから僕は、今回の件について自ら商標登録の話にはいっさい触れていません。今回の投稿の狙いは1つ。セブンイレブンさんに認知していただくことでした。それには僕の夢が関係しています」

 そもそも、“下からガッツリまぜる”という文言には鈴木氏の並々ならぬ思いがあるようだ。

物議を醸した、ラーメン『鈴の木』店主・鈴木氏のツイート

「この表現は、7年前にお店を創業した時からずっと、お客様に商品を提供する際に使っています。だいたい2年ほど前から、その文言がSNSで取り上げられるようになりました。それ以前、油そばやまぜそばのお店では、“下から良くまぜてお召し上がりください”という表現が使われていたと認識しています。僕は、“下からガッツリまぜる”という創業当時からのキャッチフレーズを常に大事にしながら経営をしてます。それを続けることで、ある時からその言葉はブランドになると考えているからです」

 そして、物議を醸した今回の投稿について、鈴木氏は経緯を説明する。

「お客様から、“もしかしてセブンイレブンのまぜそばを監修しましたか?”というDMをいただいたんです。そして、セブンイレブンへ行くと例の油そばがありました。この商品を見て、以前からの目標である事に近づく大きなチャンスだと思ったんです。世間が、“下からガッツリまぜる”という表現を、僕が経営するラーメン店である『鈴の木』のものと認識してれば、投稿が話題を呼ぶのではと。そして、セブンイレブンの広報または商品開発の目に止まり、『鈴の木』を知ってもらうチャンスだと思いました。ですから、今回の投稿は、セブンイレブンさんを批判するためではなく、認知してもらいたいとの狙いがあったんです」

セブンイレブンに“説明文”をと言わせると

 そこまでして、セブンイレブンに認知されたいと考える背景には、創業当初から抱き続ける夢があるという。

7年前から、セブンイレブンでカップまぜそばを販売することを目標にしてきました。今流行りのチルド弁当ではなくて、カップのまぜそばを出したいんです。カップ麺は、僕の幼少期から販売されていました。そんな僕にとって、カップラーメンの商品棚はカッコいいものなんです。そこに『鈴の木』の代表商品である『辛まぜそば』が並ぶことが夢でしたし、夢を実現させることで、両親を喜ばせたいなと。ですから、セブンイレブン様!“下からガッツリまぜる為のカップまぜそば”を今回の事を機にご一緒に作らせてもらえたら嬉しいです」

 今回、油そばの説明文に《下からガッツリ混ぜて》を使った理由について、セブンイレブンに問い合わせたところ、

《商品をより美味しくお召し上がりいただくため、お客様へのご説明として、一般的なわかりやすい表現としてパッケージに記載させていただいております》

 との回答があった。

 鈴木氏の《下からガッツリ混ぜる》は憧れのセブンイレブンにも“一般的な表現″として認識されているようだ。今回の一件は、鈴木氏の夢を実現させる第一歩となるのだろうか――。