ステージ3Aの「浸潤性小葉がん」を公表し、乳がん闘病中の梅宮アンナさん。9月末に抗がん剤治療途中に肺炎を発症したが、現在は治癒。11月7日に予定されている右胸全摘手術を前に現在行っている準備や、手術にのぞむ覚悟を聞いた。
手術に向けた準備を着々と
アンナさんは9月15日に前半4回分の抗がん剤治療を終了。本来ならその後に後半4回の抗がん剤治療を行うはずだった。ところが、肺炎を発症したために後半戦は行わず、手術を先行させることになった。当初の治療計画通りではなくなったが、今は抗がん剤の副作用が抜けた生活を楽しんでいるという。
「肺炎になったときは生きた心地がしなかったし、予定通りに治療が進まないと『その間に、がんが大きくなったらどうしよう?』と不安にもなりましたよ。でも、主治医の先生に聞いたら、『そんな短期間で、がんは大きくなりませんよ』といってもらえましたしね。それに、前半の抗がん剤による倦怠感も抜けて、体調をリセットできて、正直ほっとしています。手術前に食事も仕事も楽しめる時間ができたのは、結果的によかったかな」
手術のための入院を控え、病室に持ち込む私物など、入院期間を少しでも快適にするための準備も目下の工夫のしどころだ。
「できるだけリラックスしたいので、入院するときは『どこに引っ越すの?』と聞かれるくらいの大荷物に(笑)。枕とか日用品とか、できるだけ、ふだんの暮らしに近くしたくて、読書用の電気スタンドも持ち込んだら、看護師さんに驚かれましたけどね。
入院中って、面会時間は限られているし、ひとりでいると、つい気持ちが落ちちゃう。でも、お気に入りの小物ひとつでもあれば、気分を上げるきっかけになるんですよね。点滴のチューブを入れるためのCVポートを装着した3日間の入院でも、大きなスーツケースで行きましたからね。今回は、さらにすごい荷物になるかも」
手術前には歯の状態を万全にしておくことも大切。アンナさんも歯科でチェックを受け、手術中に歯がダメージを受けないように、マウスピースも準備した。
「手術をする病院では何も言われなかったのですが、通っている歯科医院で、マウスピースがあったほうがいいと勧められました。全身麻酔では気管に管を挿入するのですが、歯が不安定だったり、弱っていたりすると、手術中に抜けたり折れたりする場合もあるとのことだったんです。経験者の人からも、あると安心だといわれて、歯科医院で自分に合ったマウスピースを作ってもらいました」
10年間続くこともある乳がん治療
主治医、麻酔医、看護師など病院のスタッフからも、それぞれ詳しい説明を受けた。これから自分に起こることが具体的になってくると、やはり心穏やかではいられない。
「手術の事前説明では初めて知ることが多くて。例えば、『ドレーンをはずせるようになるまでシャワーはできません』とかいわれても、ドレーンなんて初めて耳にした言葉で。これは手術したところに装着する管のひとつなんですけど、術後はやはり、かなり不自由な状態になるんだなあと実感。
それから術後の傷の痛みについても、経験者の人から、『鎮痛薬があるし、痛くないからだいじょうぶ!』といわれたりするんですが、痛みの感じ方は人それぞれだと思うんですよね。励ましてくれているとは思うのですが、私の気持ちとしては、痛くないと思っていて期待はずれになるより、『思っていたより痛くなかった』と思えたほうがいいかなあ。なので今は、『すっごく痛いはず!』と覚悟するようにしています」
がん治療において、外科手術は大きな意味を持つが、父親の故・梅宮辰夫さんをはじめ、親族や知人など身近な人のがん闘病をみてきたアンナさんは、術後に続く再発予防のための治療の大切さも十分に認識している。
「がんって、“手術で悪いところを取ってしまえば終わり”ではないんですよね。目に見えない、検査でわからないような、がん細胞が残っていて再発するかもしれない。それを防ぐために、私も手術後に、後半の抗がん剤治療を受けて、その後、放射線治療をして、さらに5年間か10年間か、ホルモン剤を服用するというホルモン治療が続きます。
また抗がん剤かと考えると、『イヤだなあ』とは思うし、10年後っていったら、私62歳ですよ! でも、どの治療も、現段階で再発予防に最も効果があるとされている標準治療ですからね。イヤでも、コワクても、ちゃんとやっていこうと心に決めています」
右胸との“お別れ”まで「いよいよカウントダウンです」というアンナさん。術前検査もすべて問題なしだったとか。心身ともに、手術に臨む準備を着々と整えつつある。
取材・文/志賀桂子