1年半にわたる撮影は楽しかったと振り返った『光る君へ』主演の吉高由里子

 NHK大河ドラマ『光る君へ』も最終回(12月15日放送)まで残すところ1か月。初回のNHKプラスでの放送後1週間の視聴数は、サービス開始以降の全ドラマ中、最多の49万8000回を記録し、女性受けするストーリーも話題に。そんな人気作の出演者で評価を上げたのは誰なのか。テレビウォッチャーのカトリーヌあやこさんに、独自にランキングしてもらった。

「影の存在」のはじけた“怪演”

 5位はききょう(清少納言)を演じるファーストサマーウイカ(34)。一条天皇の后として入内した定子(高畑充希)の女房となり、誠心誠意尽くす。尊敬する定子を慰めるために枕草子を書く。

「ファーストサマーウイカさんはヤンキー役が多く、関西弁でトーク番組で強く言うイメージがあり、意外なキャスティングだと思いましたが、『光る君へ』の雅やかな雰囲気にも溶け込んでいました。大河ドラマに出ることが目標のひとつで、出演のためにはカタカナの芸名を変えることも辞さないことを制作陣に伝えたり、コンタクトレンズが映らないように目の手術を受けるなど熱意がすごかった。今後、トーク番組から女優にシフトしていくのかもしれません。吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)のキャラと対照的なのも見ていて面白く、見事に爪痕を残されたのではと思います」

 4位は藤原伊周役の三浦翔平(36)。一族の再興を目指し、藤原道長(柄本佑)の没落を願って呪詛するなど“怪演”を見せた。

「三浦さんは鈴木おさむさん脚本の『M 愛すべき人がいて』のように、とんちきドラマでのはじけた役が上手。『光る君へ』でもわれを失って、道長を呪い、自分自身も呪われてしまうような演技が、ハイライトのひとつだったのでは。道長が光だとしたら、伊周は影の存在ですね」

1位はまさに「光る君」

 続いて道長の次兄、藤原道兼を演じた玉置玲央(39)が3位に。長兄の道隆(井浦新)にすべてが及ばず、父親からの愛に飢えている。

「まひろの母親を何の理由もなく殺すなど貴族ゆえの傲慢さ、横暴さが衝撃的でした。玉置さんはクズ役が多くて、2020年放送の『恋する母たち』でも不倫をする夫役でした。脚本は『光る君へ』と同じ大石静さんで、当時から玉置さんに目をつけていたのでは。道兼は父親から認められたいのに、汚れ仕事ばかり。悪人ならではの色気や哀れさがあり、魅力を感じました」

 2位は藤原実資に扮する秋山竜次(46)。道長の先輩格で、たとえ相手が帝であっても、臆せず諫言する宮廷のご意見番的存在だ。

「大石さん念願のオファーだったそうです。出てくるとちょっとしたコント感があって、ドラマの中でいいアクセントになっていました。『クリエイターズ・ファイル』と同じで、憑依するように演じられるのだなと思いました。恰幅の良さも時代劇に合っていて、これからも大河ドラマに呼ばれるのでは」

何の役のオーディションか知らされておらず、決まった後で一条天皇役と知ったという塩野瑛久(『光る君へ』公式インスタグラムより)

 そして“最優秀俳優賞”に輝いたのは一条天皇を演じる塩野瑛久(29)。道隆の長女である定子を寵愛するが道長の長女・彰子(見上愛)も入内し、政争に巻き込まれる。

「光る君はまさに塩野さんのことではないかと。ビジュアルに説得力があり、たおやかで見目麗しい平安装束の帝役がドンピシャ。一条天皇は笛の名手で実際に塩野さんが吹いた笛の音色も使われていました。定子への一途な愛、彰子への優しさもパーフェクトで、『源氏物語』の光源氏役も塩野さんにやってほしいです」

 彼らにとって『光る君へ』が“出世作”となるだろうか。