【入団してからこれまで継続的に将来的なMLB挑戦について耳を傾けていただき、今回こうして正式にポスティングを許可していただいた球団には感謝しかありません。マイナー契約から這い上がって世界一の選手になれるよう頑張ります】
ポスティングシステムによるメジャーリーグ移籍を容認する発表を受け、所属する千葉ロッテマリーンズを通じて感謝の意を述べた佐々木朗希投手(23、以下敬称略)。
自身も口にしたように、23歳の佐々木にはMLBが定めた「25歳ルール」に則ったマイナー契約のみが締結される。見込まれる契約金は最大755万5500ドル(約11億5400万円)で、ロッテに支払われる譲渡金も187万5000ドル(約2億9000万円)ほどとされる。
2023年末に「25歳」でロサンゼルス・ドジャースに移籍した山本由伸(26)の場合、オリックス・バファローズが手にしたとされる譲渡金は5062万5000ドル(約72億円)。
佐々木も2年後ならばオリックスと同等、それ以上の譲渡金が入ったかと思えば、ロッテが数十億円の「損失を出した」と見られるのも当然のこと。しかも、2020年の入団から“過保護”にも思えるほどに大切に育成してきたのだから尚更だ。
“ゴネ得”がまかり通ってしまった
「本人もあと2年待てば、山本が手にした破格の契約(12年総額約465億円)を勝ち取れた可能性があるにもかかわらず、金銭よりも早くメジャーの舞台に立ちたい“夢”を追った結果でしょう。
プロ野球OBからも“チームに恩返しをしてから”“プレー面でも時期尚早”との声も上がり、球団も辛抱強く話し合いを進めてきたようですが、結局は折れてしまった形。これでは“ゴネ得”と見られても仕方がない」
スポーツ紙・野球担当記者が移籍容認を“ゴネ得”と称したように、国内でも議論されてきた佐々木騒動。さらにロッテを悩ませたのが、アメリカメディアの論調だとか。
「現地世論は“若き才能”のメジャー挑戦に対してウェルカムで、ロッテの拒否する姿勢が伝えられると“失望した”“立ちはだかっている”などと、さも球団が佐々木の邪魔をしているかのように掻き立てるメディアも。
海外にも市場を持つロッテ企業としてはネガティブイメージは避けたいわけで、“若者の夢を応援する企業”を示さなけれなならない状況下にもあったと考えられます」(前出・野球記者、以下同)
いずれにせよマイナー契約とはいえ、2025年シーズンから大谷翔平(30)らが待つメジャーリーグの舞台に立つ権利を得た佐々木。しかし、一連の騒動は日本プロ野球の各球団を悩ませることにもーー。
「ロッテは認めたのに」の前例
《高卒選手特に目玉投手なんか今後一切ドラフト指名しないでいいだろもう 今回認めちゃったからメジャーとか言い出した時認めないと佐々木の時ロッテは認めたのに酷い球団だとか言われる》
《ロッテ球団は佐々木投手と同等のプロ年数、成績を残した選手がポスティング申請してきたら断れない前例を作ってしまった》
ネット上でも指摘されるのは今後、25歳未満の有望選手が「メジャー希望」を口にした際、所属球団が拒否した暁には「ロッテは認めたのに」と国内、海外か批判に晒される恐れがある。その“前例”を作ってしまったということ。
「もちろんポスティングに応じるか否かを決めるのは球団側であり、“25歳ルール”がある以上は利益を追求するのも企業として当たり前。ですが、選手側の声が届きやすい時代だけに、頭ごなしに“NO”とは言えない現状もあります。
すでにメジャーリーグの“草刈り場”になりつつある今、またメジャーを希望する選手の“踏み台”にされないためにも、プロ野球はポスティング制度を見直す時期に来ているのかもしれません」
“世界一の投手”を目指して球団を退団する佐々木だが、“世界一のファン”とも称されるロッテファンは複雑な心境だろう。