横浜市青葉区の後藤寛治さん(75)を殺害して、現金約20万円などを奪った事件に新展開が。新たに逮捕されたのは、夫から何度も頼まれ現金の回収役を引き受けたという地味な女だった。2人の幼児を幼稚園に送り迎えしていたという夫婦の育児は、周囲には危なっかしく見えて――。
「闇バイトとみられる一連の首都圏強盗のうち、10月15日ごろ、横浜市青葉区の75歳男性が殺害された事件への関与が疑われる逮捕者としては4人目になります。奪った現金の“回収役”とみられています」(全国紙社会部記者、以下同)
幼児2人と4人暮らしの容疑者
神奈川県警が11月2日、強盗殺人の疑いで逮捕した東京都足立区在住の職業不詳・木本未穂容疑者(30)のことだ。夫の無職・木本康寛容疑者(31)は、北海道小樽市の80代女性から現金190万円をだまし取った“オレオレ詐欺”で“受け子”をしたとして、北海道警が10月19日に詐欺の疑いですでに逮捕している。
「未穂容疑者は、奪った約20万円から実行犯が報酬として数万円を抜き取った現金などを都内の公園のトイレで受け取ったとみられています。犯行動機について“夫から何度もお願いされて引き受けてしまった”と話す一方、“犯罪で得たお金を回収しましたが、一緒に強盗したことは否定します”と述べるなど、容疑内容に納得できない部分があるようです。夫とつながっていた指示役から匿名性の高いアプリで連絡を受けたといい、実行役と面識はなかったようです」
近隣住民によると、木本未穂・康寛の容疑者夫婦は、小学校入学前の幼児2人と4人暮らし。約2年前に引っ越してきて、近所付き合いをほとんどしなかった。
「奥さんは体格がよく、落ち着いた色合いの地味めな服装でいることがほとんどでした。肌を出したり、派手な服装は見たことがありません。おとなしい性格だと思いますが、挨拶をしても反応が鈍く、無愛想に感じました。子どもの話とかも、ご近所さんとは会話したくないんだなって」(近所の女性)
働いている様子のない容疑者夫婦
一方の康寛容疑者もまた、どこか近寄りがたい存在だったという。
「夏場はよれよれのTシャツに短パン、サンダル履き。清潔感がなく、だらしなかったですね。いつも顔が赤いので、昼間からお酒を飲んでいるのかなと思いましたが、顔のまわりをかきむしるなど肌荒れがひどいようでもありました」(別の女性住民)
毎日のように朝7時ごろと夕方4時ごろ、夫婦そろって2人の子どもを幼稚園に送り迎え。ひっそりと暮らす容疑者夫婦は事件前から近隣住民の目にとまっていた。
「夫婦で毎日送り迎えする割には、子どもと手をつないで歩くわけでもなく、自分たちだけとっとと先に行くんです。子どもは大きなリュックサックを背負わされ、道路にズルズルと引きずりながら両親の後を付いていきました。まだ小さい子だし、車の往来もある道路だから危ないなあと思っていました。リュックに何が入っているのか知らないけど、あれは大きすぎます。2人ともかわいい子でしたが、夫婦はあまり関心がないようでした。両親とも逮捕されるなんて、子どもたちが本当にかわいそうでなりません」
と近所の住民は振り返る。
チャイルドシート付き自転車を使う日もあったという。ほかにも気になることが……。
「旦那さんも、奥さんも、働いている様子がないんです。通勤するのを見たことがないので、自宅でリモートワークや内職をしていたのかもしれません。どうやって生計を立てているのか不思議でした」(近所の男性)
東京都国分寺市で9月30日に発生した強盗致傷事件では、木本夫婦宅から近い足立区内の公園で、奪った現金約550万円などの受け渡しが行われたとみられている。周辺の防犯カメラには康寛容疑者らしき人物が映っており、捜査当局が関連を調べているという。
この横浜市の事件では、宝田真月容疑者(22)が実行役として逮捕されているほか、千葉県市川市の強盗致傷事件で逮捕された藤井柊容疑者(26)と、久保田陸斗容疑者(21)も関与していた可能性がある。未穂容疑者の供述が事実ならば、回収した現金をいつ、どこで、誰に渡したのか。指示役の逮捕に向け、現金の移動を線でつないでいく執念の捜査が進められている。