喫煙所『THE TOBACCO MARUNOUCHI』の内観

「今までの喫煙所のイメージを覆すようなオシャレな場所です。私はいつもここに吸いに行くと決めています」(30代女性)

「いつも混んでいて並ぶことも多々ですが、キレイでオシャレなんで並ぶ価値があります」(40代男性)

 そんな声を集めている、今都市部で話題の喫煙所シリーズをご存じだろうか。

『THE TOBACCO』という名で、非喫煙者と喫煙者が心地よく共存できることを目指した新しいカタチの喫煙所だという。

 2024年11月時点で都内を中心に103店舗を展開しており、運営する株式会社コソドのプレスリリースによると、

「改正健康増進法の施行により、屋内で喫煙できる場所が制限されていく中、喫煙者が積極的に立ち寄りたくなる場所をプロデュースすることで路上喫煙やポイ捨てなどのマナー違反を減らしていくことに寄与したいと考えています」

 どれだけスタイリッシュなのかーー。今回コソドにもご協力いただき、『THE TOBACCO』編集部厳選の6か所の写真を紹介していきたい。

THE TOBACCO YOKOHAMA STATION

 横浜駅西口ロータリーというまさに横浜を代表する繁華街に建つ複合ビル『エキニア横浜』。『THE TOBACCO YOKOHAMA STATION』はその地下1階にある。コンセプトは「北欧の昔の船着場」。 下の写真左上のチケットカウンターのような窓は「古いホテル」をイメージしているという。

喫煙所『THE TOBACCO YOKOHAMA STATION』の内観(その1)
喫煙所『THE TOBACCO YOKOHAMA STATION』の内観(その2)

【店舗情報】
神奈川県横浜市西区北幸1-1-8 エキニア横浜 B1F
営業時間 10:00~22:00(ジョイナスに準ずる)

THE TOBACCO|2:50.76

 東京国際フォーラムすぐそばのJR高架下にある『THE TOBACCO|2:50.76』。デザインコンセプトは『石の洞窟(stone cave)』。特徴的な名前は極楽とんぼの加藤浩次のネーミングだそうで、加藤が1本のたばこを吸う平均時間、2分50.76秒から来ており、下記のようなコメントを寄せている。

この時間は長いのか?短いのか?
ぼんやり何も考えず煙を燻らしたり、
ちょっと決断してみたり、
将来について考えてみたり、
少し反省してみたり、
人生の覚悟を決めてみたり、
この2:50.76秒は僕が1本のTOBACCOを吸ってる時間の平均値
前向きに生きるために必要な時間
喫煙所『THE TOBACCO|2:50.76』の外観
喫煙所『THE TOBACCO|2:50.76』の内観

【店舗情報】
東京都千代田区丸の内3-7-15
営業時間 8:00~21:00 定休日なし(年末年始除く)

THE TOBACCO SHINSAIBASHI

 大阪を代表する庶民の繁華街といえる心斎橋。その中のビルの2階にある『THE TOBACCO SHINSAIBASHI』。鮮やかなオレンジのタイル張りの壁とベンチが印象的だ。デザインコンセプトはドイツの地下鉄。大阪市は万博を控えた2025年1月に全市域での路上喫煙禁止を予定しており、その中でもこのような喫煙所は「吸う人と吸わない人の共存」「路上喫煙、ポイ捨て防止」に大きな役割を果たしていくに違いない。

喫煙所『THE TOBACCO SHINSAIBASHI』の内観(その1)
喫煙所『THE TOBACCO SHINSAIBASHI』の内観(その2)

【店舗情報】
大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-2-22 小大丸ビル2階
営業時間 9:00~20:30 定休日 土日

カルチャーを感じられるような場作りをしたい

 3件見ていただいたところで、運営会社株式会社コソドに、『THE TOBACCO』というスタイリッシュな喫煙所シリーズを展開する理由を聞いてみた。

 最大の理由は、「継続的に利用してもらえると考えたからです」とのこと。

 同社は、喫煙所をはじめる前に、さまざまな喫煙所や喫煙者の実情を調査したそうだが、

「その際に、喫煙所が汚かったり極めて簡易的につくられているものは、マナーの良い喫煙者の方でも『追いやられている』と感じたり、『本当は汚い喫煙所に行きたいと思わない』と感じる方が多いことがわかりました」

 原則人が集まる屋内が禁煙となった2020年の改正健康増進法施行以降、喫煙者の数に対して喫煙できる場所のバランスが大きく崩れており、そもそも足りない状況となっている。そんな中、

「実情調査を鑑みると、数ももちろんのこと『わざわざ足を運びたくなる工夫・綺麗にマナーよく使ってもらうための工夫』が大切だと考えました。また、マナーよくわざわざ喫煙所に行く方に、少しでも心地よく過ごしてもらいたいという想いもありました。そこで、公衆喫煙所を『THE TOBACCO』というブランドにし、排煙機能や清掃の充実といった機能面だけでなく、デザインにもこだわろうと思った次第です」

 そもそもたばこは嗜好品として音楽や文学など様々な文化に寄り添って嗜まれてきたもの。『THE TOBACCO』のデザインへのこだわりもそういった側面が反映されているという。

「何かしらカルチャーを感じられるような場作りが利用促進につながり、ファン作りにもつながると思います。実際に、喫煙者も非喫煙者も沢山の方々にデザイン面でも好評をいただき、応援してくださっています。喫煙所が街の汚点として見られるのではなく、機能面+デザイン面で街に寄り添うことで共存できることもあるのではないかと想定しました」

THE TOBACCO IIDABASHI

喫煙所『THE TOBACCO IIDABASHI』の外観
喫煙所『THE TOBACCO IIDABASHI』の内観

 飯田橋駅東口からも程近い目白通り面した便利な場所に位置する。地下鉄の出口のすぐそばでもあるため、仕事前、仕事終わりに一服していくサラリーマン、OLも多い。コンセプトは「南フランスの田舎のカフェ」。白壁に黒い格子窓が映える外観。今日も多くの人の「ほっと一息」を受け止める場所となっている。

【店舗情報】
東京都千代田区飯田橋4-9-11
営業時間 7:00~21:00 定休日 土日祝

THE TOBACCO KOENJI

喫煙所『THE TOBACCO KOENJI』の内観(その1)
喫煙所『THE TOBACCO KOENJI』の内観(その2)

『THE TOBACCO KOENJI』はJR高円寺駅の高架下に展開する商業施設『高円寺マシタ』の一角に。なんといっても天井一面に展開するネオンサインが印象的だ。コンセプトはずばり「サイバーシティ」。庶民的で人情の街というイメージの高円寺に現れたサイバー空間だが、しっかり地元に溶け込んでいるようだ。

【店舗情報】
東京都杉並区⾼円寺南3-70-9
営業時間 7:00~21:00

THE TOBACCO MARUNOUCHI

喫煙所『THE TOBACCO MARUNOUCHI』の内観

 日本を代表するオフィス街・丸の内。その中でも比較的レトロな外観の新東京ビルの地下2階にある。壁一面にピンク、青、黄の水玉が描かれており、THE TOBACCOの中でも飛び抜けてポップな内観だ。コンセプトは「dippin'dots ※ディッピンドッツ(アイスクリーム)」。懐かしく甘い時間がそこにはある。

【店舗情報】
東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビルB2F
営業時間(新東京ビルに準ずる)

 最後に株式会社コソドに『THE TOBACCO』の今後の展開について聞いた。

「特に注力している場所としてはオフィス街ですが、基本的には“(ポイ捨て、路上喫煙などの)喫煙問題が起こっている場所”であればどこでも出店していきたいと考えています。ありがたいことに、商店街の方や、不動産オーナーの方々からも“『THE TOBACCO』が出店するならいいよ!”とおっしゃっていただく機会も非常に増えています」

 ポイ捨てや路上喫煙を防ぐだけでなく、街にカルチャーのかおりを吹き込む『THE TOBACCO』の今後の展開に期待したい。