《小さかった頃、(略)賑やかに鳴くセミ、飛び跳ねるバッタを追いかけるなど、さまざまな虫に関心を持つようになりました。いつしか、自分の指よりも大きいトンボを手にとり、間近で複眼、翅や肢の特徴や、放したトンボの飛び方を観察して『これはなんだろう』『なぜだろう』『どうしてだろう』と昆虫の図鑑で調べるようになりました》
秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまの成長
秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまは2024年9月6日の誕生日で、18歳の成年を迎えた。民法の改正で成年が18歳に引き下げられたため、筑波大学附属高校3年生の悠仁さまも成年皇族の仲間入りを果たしたと、すでにこの連載で紹介した。
悠仁さまが成年となった5日後の9月11日、母親の紀子さまが58歳の誕生日を迎えた。宮内記者会からの質問に答え、紀子さまが、長男が成年となった感想や子どものころの思い出などについて前述のように、生き生きと文書に綴っている。
2007年11月22日、秋篠宮さまが42歳の誕生日を迎える前の記者会見で、1歳になった悠仁さまの成長と、それを見守る眞子さん、佳子さまの様子を尋ねられたご夫妻は次のように答えた。
「(略)またその上の二人の子どもたちにとっては、やはり非常に可愛い存在なんだと思いますね、だいぶ年齢も離れていますのでね。ですからとても可愛がっています。子どもの部屋に、あれは何て言うんでしょうね、厚紙っていうか、ああいう物を組み立てて作る小さい家があるんですね。
それは基本的に無地なんですけれども、そこに上の二人の子どもが家族全員の似顔絵を描いたりとか、それからそのほか何かもろもろ……」(秋篠宮さま)
「例えば花とか」(紀子さま)
「あ、そうね。そういう絵を描いたりとかして、そこで一緒に遊ぶとか、あとはさっき音が出る物が好きと言いましたけれども、ピアノの鍵盤なんか、やはりいじってみたいわけですね。ところが背伸びしてもなかなかまだ届かない。だけど一所懸命たたこうとしているとイスに座らせてたたかせたりとか、そんな様子でしょうかね」(秋篠宮さま)
「(略)娘たちも学校から帰ってくるのが夕方になりますので、一緒に過ごす時間というのは学校があるときはどうしても夕方以降になりますけれども、そういう時間や休みの日など私たちが一緒になって過ごしている時間を悠仁もとてもうれしいようで、私たちが話しておりますとその話の内容がわかっているのでしょうか、うなずいたり、わかったようなしぐさや表情を見せたり(略)話の輪に加わるのが楽しいような感じがいたします。
(略)長女の子が3歳のときに生まれてきた佳子を可愛がって世話をしたように、佳子は食事から遊びまで悠仁の世話をよくしてくれます。子も佳子も悠仁に優しい眼差しで接して、私たちが仕事をしているときや仕事で長く宮邸を留守するときなども悠仁が寂しくないようにそれぞれ時間があるときにそばにいてくれるので大変助かります」(紀子さま)
佳子さまは「小さなお母さん」
悠仁さまが生まれたとき、佳子さまは11歳で学習院初等科6年生だった。「弟が生まれたときは非常にうれしかったことをよく覚えております」と、記者会見で話しているとおり、生まれたときから悠仁さまの面倒をよく見て、とても可愛がってきた。佳子さまは、いわば「小さなお母さん」という存在で、弟の成長を身近で支えてきた一人でもある。
2008年8月、秋篠宮ご一家は栃木県にある那須御用邸に滞在した。悠仁さまが2歳になる少し前のことである。散策の途中で、秋篠宮さまが捕まえたトンボを、姉の眞子さんが優しく悠仁さまに手渡す写真を、私は見たことがある。恐る恐る、トンボを見つめる悠仁さまと優しい眼差しで、弟を見守る佳子さまが写っていた。
トンボに関心が高く、最近、話題となった学術論文『赤坂御用地のトンボ相―多様な環境と人の手による維持管理』を研究者たちと共同でまとめた悠仁さまの、研究活動の「原点」のひとつともいえる光景が、そこには広がっていた。
「なぜだろう」「どうしてだろう」という子どもらしい素朴な疑問から出発し、試行錯誤を続けながら、粘り強く観察や研究を続けてきた。悠仁さまが探求心旺盛で、創造力に富んだ青年へと成長した陰には、佳子さまの大きな支えや協力があったはずだ。
秋篠宮ご一家の世話をする宮内庁皇嗣職は、2024年3月29日、次のように発表している。
「今まで成年式を行われた皇族は大学ご在学中でいらっしゃいましたが、親王殿下には、高校3年生として学校生活を送りつつ、進学に向けての勉学に励まれる大切な時期になります。こうしたことから、親王殿下には、高校生活を締めくくる年を有意義に過ごしていただき、その上で、高校ご卒業(2025年3月)以降の適切な時期に成年式を執り行っていただきたいと考えております」
「加冠の儀」など、成年式の重要な儀式や記者会見などは、2025年3月以降の「適切な時期」に行われることとなった。成年式はもちろんのこと、大学入学後も悠仁さまには、結婚問題など重要な課題が待ち受けている。両親には相談しづらいことも、「小さなお母さん」である佳子さまにだったら、打ち明けやすいかもしれない。これからも佳子さまは弟をしっかりと守り、支え続けるだろう。
<文/江森敬治>