旧ビッグモーターの存続会社が被害回復に向けた対応を開始

 11月20日、中古車の販売や修理などを行う旧ビッグモーターが自動車保険金を不正請求した問題で、存続会社の株式会社BALMは“被害回復”の対応を始めると発表した。

被害顧客への“おわび”が500円分のクオカード

存続会社BALMは被害対応に向けた資料を公開(株式会社BALM、HPより)

「昨年、旧ビッグモーターは修理の必要がない車両にゴルフボールやドライバーで損傷させるなど、保険金の水増し請求が発覚。今回の被害回復は、こうした被害を受けた顧客の約20万人が対象になります。対象となる約20万人のうち、資料がなく問題行為の確認が困難な約12万人には“おわび”として500円分のクオカードを送付する予定で、対応総額は数十億円に上るそうです」(全国紙社会部記者、以下同)

 この発表に対し、ネット上では、

《子供の小遣い程度の補償なら余計に逆効果。500円もらったから許して今後も利用するよ、という人がどれだけいるか?》

《500円のクオカードって……車壊された人とかが救われるといいけど》

 など、厳しい声が寄せられている。

「ビッグモーターでは、1台あたりの修理費に厳しいノルマが設定されていたそうです。とはいえ、社員がわざと顧客の車を傷付けるなど、やり方が悪質。そんな中で、問題行為の確認が困難な顧客に対し、クオカードの送付だけで対応という発表には、到底納得できない人もいるでしょうね」

今回の対応について問い合わせると

ビッグモーターの兼重宏行前社長の自宅とみられる豪邸(Googleマップより)

 株式会社BALMに今回の対応について、問い合わせてみた。

「'18年1月1日から'23年8月31日までの間に生じた自動車事故について、当社の修理工場において修理を受けられた全てのお客様に対して、当社による不適切な行為があったか否かにかかわらず、11月末から、本件に関するお詫びのお手紙を順次送付させていただきます。

 そのうえで、実額補償を行うお客様に対して、当社から不適切な行為の内容や適切な修理費用等について、個別にご連絡を差し上げ、被害回復に向けた必要な対応を順次実施させていただきます。

 なお、'17年12月31日以前のお客様につきましても、被害回復に向けた対応を行うことも予定しております」

 今回の500円のクオカード送付の理由については、

「お詫びとしてのQuoカードの金額については、外部専門家を含む様々な意見を総合的に勘案して定めております」(株式会社BALM担当者、以下同)

 “おわび”として送付されるクオカードのみの対応になる人もいるのだろうか。

「当社において、不適切な行為、又はその疑義の有無についての十分な確認ができない場合、実額補償の要否がそもそも不明であり、かかるお客様については、実額補償ができず、500円のQuoカードのみをお送りすることになります。もっとも、弊社では損害保険会社等にもご協力いただき、資料の提供を受け、でき得る限りの対応は行っていく予定です」

 被害回復とともに、顧客の信頼回復にも時間はかかりそうだ。