11月26日、『第49回報知映画賞』が発表された。俳優の横浜流星、石原さとみらが受賞者として名を連ねたが、ネット上では「映画賞の“闇”が見えた」などと、不穏な形で話題になっている。
『報知映画賞』は報知新聞社が主催する映画賞で、その年に日本国内で劇場公開された優れた作品や、俳優、監督などを表彰するもの。毎年アメリカで行われる『アカデミー賞』の日本版『日本アカデミー賞』より歴史が古く、1976年から開催されている。
「ただの出来レースじゃん」
「2024年の作品賞は藤井道人監督の『正体』でした。また、主演男優賞の横浜流星さん、助演女優賞の吉岡里帆さんは同作での演技が評価されて受賞しています。その他、監督賞は今年大ヒットした『ラストマイル』の塚原あゆ子監督、主演女優賞は『ミッシング』の石原さとみさん、アニメ作品賞は『ルックバック』など、全10部門が発表されました。なお、横浜さんは2022年に『報知映画賞』の助演男優賞を受賞し、翌23年に主演男優賞、今年も同賞を獲得しており、3年連続での受賞という快挙を成し遂げています」(映画ライター)
『報知映画賞』の特徴は、「各賞とも“ファン投票”でノミネート作品が決まること」(前出・映画ライター)だという。投票によって上位になった作品を選考委員会がノミネート作として選出し、その中から受賞作を決める流れだ。
「しかし、どういうわけか『正体』は11月29日の公開で、『報知映画賞』の発表のほうが先でした。試写会などで一般公開前に鑑賞できるのは限られた人だけですし、“ファン投票”と言うには無理があるでしょう。ネット上でも“なぜ公開前の作品が受賞してるの? こんなのただの出来レースじゃん”“誰が投票してこの結果になったのか明らかにしてほしい”“ここまで露骨な贔屓ある? 報知映画祭の“闇”を見たわ“など、衝撃を受ける声が続出しています」(スポーツ紙記者)
中には、
「『正体』が本当に優れた作品だったとしても、不明瞭な形で受賞した作品という印象は拭えない」
「今年はたくさんいい作品があったけど、『正体』はそれ以上に面白いってことですよね? そうじゃないとおかしいけど?」
「楽しみにしてたのに、今回の受賞はちょっと……。一気に見る気なくなった」
など、作品自体に不信感を抱くような声も出てしまっている。
映画賞の主催から届いた「正式回答」
「『報知映画賞』以外にもファン投票を行っている国内映画賞はあります。『日刊スポーツ映画大賞』は『ファンが選ぶ最高作品賞』『ファンが選ぶ最高演技賞』が設けられており、同じく『日本アカデミー賞』にも一般投票によって決まる『話題賞』があります。
どちらも得票数が最も多かった作品や俳優に賞が贈られるので、非常にわかりやすい。また、メインの賞とは“別枠”として設けられているため、作品自体の評価とも切り離されています。このように比較してみると、『報知映画賞』の不明瞭さが際立ちますね」(芸能ライター)
今回の映画賞の選定方法や、全国公開前の『正体』が受賞した件について、主催の報知新聞社に問い合わせると、
《第 49 回報知映画賞は 10 月1日に「スポーツ報知」紙面(同日付)および弊社ホームページで読者投票を開始した際、投票規定に該当する邦画候補作品として 11 月公開の『正体』も掲載しており、投票受付後のノミネートを経て選考委員会で作品賞など各賞の受賞が決定しました。なお、公開前の作品については選考委員が試写会などで鑑賞しております》
との回答があった。「『正体』の受賞はふさわしかった」と、映画ファンを納得させる作品であってほしい。