八代亜紀さん

『雨の慕情』や『舟唄』といった昭和の名曲で知られる八代亜紀さんが急逝して、まもなく1年を迎える。

「膠原病を患って体調を崩された八代さんは、2023年9月から治療に専念するため活動を休止していました。回復へ向かっていたようですが、容体が急変し、2023年12月30日、73歳で帰らぬ人となりました。病床では“80歳を過ぎても歌い続けたい”と話していたそうです」(スポーツ紙記者)

 多くの人がその死を悼んだが、今年に入ってから八代さんの自宅にある変化が。

「2004年に建てられた当時、5億円豪邸と報じられた八代さんのご自宅が売却されたと聞きました。地下1階、地上4階建ての物件で、八代さんが描いた絵を飾るギャラリーや所属事務所も入っており、3階から上が八代さんのご自宅だったようです。築年数は20年ほどですが、都内の一等地に立っていますから、そうとうな値がついたのでは」(不動産関係者)

 自宅の不動産登記を確認すると、確かに今年6月に売却されていた。その経緯について、八代さんの所属事務所『ミリオン企画』元社長の大野誠氏に話を聞いた。

八代さんは生前、遺言書を用意されていて、そこに“ミリオン企画を解散する”と書かれていたんです。土地は八代さん個人で、建物は会社が所有していました。土地は、八代さんが亡くなった際に遺言に従って会社に贈与されたのですが、法人を解散すると所有する不動産などの資産を処分する必要が生じます。6月までに会社を解散し、同時期に自宅兼事務所を知り合いの不動産会社へ売却しました。売却益は、従業員の退職金と法人の解散に必要な経費に充てました

八代さんが認めていた“遺言状”

 八代さんは、ある騒動を機に身辺整理を進めていた。

「あるとき“権利財産の管理会社を立ち上げてもらえるかしら?”と、八代さんが言ったんです。“なんで?”とは思いましたが、八代さんの希望どおり、私が出資して新会社を立ち上げ、楽曲や絵画の権利などを事業譲渡という形で買い取りました。これは亡くなった後に知ったのですが、八代さんはそのころから弁護士と相談して、死後の手続きについて記した遺言書の作成を進めていたそうです。それは、八代さんが離婚された後のことだったと聞きました」(大野氏、以下同)

八代亜紀さんが里親として引き取った保護猫のミャンタン(本人のSNSより)

 八代さんは2021年1月、30年近く連れ添った前夫と熟年離婚。一部では、八代さんが可愛がっていた女性歌手と前夫の不倫が原因だったとも報じられた。さぞ胸を痛めたはずだが、この“裏切り”から、自身の死後にトラブルが起きる可能性を考えたのかも。

「仲よくしてほしい」八代さんの思い

八代亜紀さんの箱根の別荘は『abodevillaGORA八代別邸』という宿泊施設に(施設のHPより)

「遺言書を作成した弁護士からは“八代亜紀のもとに集まった関係者は、ケンカをせず、その後も仲よくしてほしい”という八代さんの思いがあったと聞いています。遺産相続について私もさまざま耳にしますが、キレイな形で終えることが難しいのがほとんどだと思います。だから八代さんの個人資産の相続について、私は把握していませんし、関係者の間で“弁護士からこんな話があった”と会話をすることもありません。そこでもめてしまったら、八代亜紀を後世に遺せなくなってしまいますので」

 保護猫の活動にも尽力していた八代さんだが、飼っていた猫はどうしているのか。

この建物は今、私が立ち上げた権利管理会社で賃借している状況ですが、八代さんの猫ちゃんもここで元気に暮らしています。八代さんの遺志を継いで、スタッフでお世話していくつもりです。いつかはこの建物を出なければいけませんが、その際は猫ちゃんに最適な環境を用意できる、信頼できる人に引き取ってもらうことになると思います」

 被災地や児童養護施設への支援など、積極的に慈善活動に取り組んでいた八代さん。

 亡くなってから、さまざまな施設や団体から感謝の連絡が届いているという。