不倫。それが文化だと許された昭和~平成の時代は終わり、令和の今やバレたら即アウト。不倫バレの後の発言によっては、世論を敵に回し、完全に社会的生命を絶たれることも。
言わなきゃよかった失言、名言、迷言……今年、世間を騒がせた不倫当事者の言い訳を、総まくりでジャッジした!
紗理奈ちゃん、本当に知らなかったの~?
「えっ、ウソだ、ウソだ、ウソだ、ウソウソウソ」
今年11月、週刊誌の直撃を受け、交際相手が既婚者であると知らされた鈴木紗理奈が口走ったのがこのセリフ。
1年前に鈴木と知り合い、すでに都内のタワマンで同居していた50代の実業家男性。鈴木は彼が既婚者であることは知らなかったといい、涙を浮かべて相手方の家族への謝罪の言葉を繰り返した。
その姿は同情を誘い、「騙(だま)され不倫」だとSNS上での擁護の声が上がった。
「う~ん、本当に知らなかったの?とは思いますね。“知らないフリ”もできる機転の利く方。事実はともあれ、騙された自分のことより、相手の家族を気遣った発言は、大人の対応でしょうね」
そう分析するのは、夫婦問題研究家で離婚カウンセラーの岡野あつこさんだ。
では、同じく11月に元グラビアアイドルとの不倫が報じられた国民民主党の玉木雄一郎代表はどうか。総選挙前の7月に高松市のホテルに同宿し、10月末には新宿のワインバーでの密会が明らかになった。
週刊誌の報道を受け、玉木氏は関係が事実と認め、「好意を持ってしまった」「浮かれていた部分があった」と語った。正直に不倫を認める姿を潔いと評価する声もあったが。
「“好意を持った”なんて。好意の先の行為に及んでいるわけよ。政治家お得意の“記憶にございません”よりはマシですが、この言い方も、ごまかしそのもの。やることをやっているのに、そんなこと言うのは金輪際、おやめなさいって感じです」
岡野さんはバッサリと一刀両断。
「不倫がグレーの場合はそれでいい。でもバレてブラック確定のときはダメ。バレたなら正直にいかないと。夫婦関係の相談アドバイスをしていて思うのは、不倫がバレて正直に謝ったときが、軌道修正の最後のチャンスなんです」(岡野さん、以下同)
若い女性ファンが増えて勘違い
岡野さんの過去の事例では不倫の慰謝料の相場は、政治家も一般人も300万円。
「不倫したいなら300万円準備して、とみなさんに伝えています。そのぐらいの覚悟でやるもの。政治家には安く聞こえるかもしれませんが、失った信頼は計り知れない」
玉木氏から「私の妻は日本一」との発言もあったが、
「そんなの、おためごかし。“日本一の妻”がいるのならば、そもそも不倫しないでしょ?キモチワルイ」
日本一の妻を裏切って、39歳の元グラドルと不倫。《タマキンは賃上げよりチン上げが先か》とネットで揶揄(やゆ)されてしまった。
『巨人の星』の星飛雄馬や『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイなど、数々の人気アニメに出演してきた、レジェンド声優の古谷徹。
70歳にして、37歳年下の一般女性との不倫や妊娠中絶問題が報じられたのは5月だ。4年半の長きにわたる不倫期間と古谷のDVなども明らかとなり古谷は“私が犯してしまった大きな罪についてお詫びとご報告があります”と謝罪。
「本人が作った文章じゃないでしょうけど“私が犯してしまった大きな罪”って、ちょっと自分に酔っている風というか“70代のオジサンと若い娘のドロドロした関係をいかに美しくカムフラージュするか”に腐心したごまかしの表現。要は犯罪。女性に手を上げたり、中絶させたり」
古谷の老いらくの泥沼不倫の背景には、演じたアニメ『名探偵コナン』のキャラクター、安室透の爆発的人気があった。その反響の大きさは“若い女性ファンが増えて、モテ期がきたのかな”と古谷も取材で語っていたほどだ。
「この人は、自分とイケメンキャラを同一視しちゃっているのかも。そもそも70代の武器は金か名声。それに若い女性が群がると、勘違いがエスカレートする。70男なんて、ハラスメントがまかり通っていた昭和、平成の化石世代。
セクハラもパワハラも愛だと思っている節がある。“私の残りの人生をかけて誠心誠意償っていく所存です。どんな制裁も受ける覚悟でおります”と言うけど、どっちにしろ、もう引退してもいい年。ここまで言うなら、潔く引退宣言してもよかったのではないでしょうか」
イケイケのバブル議員は相手のチョイスも派手!
2023年の参院選で岩手選挙区から出馬し、初当選。今年3月に『赤ベンツ不倫』が報じられたのは、元自民党の広瀬めぐみ議員。
愛車を駆って歌舞伎町のラブホテルにチェックイン。一夜を共にしたお相手は、56歳のカナダ人ミュージシャン。「一生かけて夫と家族に償ってまいります」「多くの方に多大なるご迷惑とご心配をおかけしてしまったことをお詫びします」と涙まじりに謝罪した。
「また出た“一生かけて”!この場合の“一生”は、一生政治家として現役でいたいという意味。夫に対する誠実さではなく、自分が辞めたくないっていう気持ちの表れです。上昇志向の強い女性なのは、不倫相手のチョイスからもわかりますね」
謝罪文の最後を『支援者の皆様、有権者の皆様、そして国民の皆様のお声をしっかり聞いて(中略)仕事に誠心誠意取り組んでいく所存でございます』と結んだ広瀬氏。「自分の守りたいものがはっきりしていて、いっそ清々(すがすが)しいじゃないですか」
かつてJリーグ・ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)の主力選手として活躍した北澤豪。
11月、大阪の5つ星ホテルでの不倫密会を激写された。スタミナが売りだった元日本代表の相手は、40代の既婚女性で美魔女インフルエンサー。
3児の父でもある北澤は、週刊誌の直撃取材に「そんなエロいことはしていない」と回答。相手が既婚者であることも知らず、ホテルでは、ビジネスの相談をしていたと説明した。
「これね、ラブホじゃなくて5つ星ホテルで4時間滞在。グレーと言えばグレー。妻としては信じたいって気持ちがあって、こう言ってほしいでしょ。最後まで信じたいし。私も夫に不倫されたときに、クロだと思いつつ、バカな言い訳を一度は信じました。
だから北澤さんも、妻に対する言い訳としてはいいんじゃないかな。社会人としてはどうかと思いますが」
結婚前にナンパした女子大生と
7月初旬、アパホテルで女子大生と密会し、“アパ丸くん”の称号を得てしまった『KAT-TUN』中丸雄一。
1年前に千代田区の路上でナンパした女子大生と、7月初旬に密会。それから約1週間後には、昨年1月に結婚したばかりの元日本テレビアナウンサー・笹崎里菜との新婚旅行に出かけていた。
中丸が別れ際に不倫相手に渡したのが7000円だったことも含め印象は最悪。肉体関係を否定しても火消しとはならず、無期限謹慎となった。
「すべてがお手軽すぎて、不倫相手を大事にしていないことがわかる行動ですよね。行き当たりばったりな感じ。“妻からは、しっかり自分と向き合って、という言葉をかけてもらいました”っていうのも、奥さんが許しているなら、外野がごちゃごちゃ言っても仕方ないって流れにしたいのが透けて見える。
もう内輪では話し合いは終わってますよって、暗黙のうちに伝えたいメッセージでしょう。姑息(こそく)な感じで逆効果でしたね」
ちなみに、故・古谷一行さんは、不倫がバレたとき、「やりました」と潔く認め、世間の称賛を得た。今の時代、これらの対応はどう受け止められるだろうか。
岡野あつこさん●夫婦問題研究家、ライフアップ・カウンセラー、NPO法人日本家族問題相談連盟理事長。34年間で約4万件の相談を受け、修復も含め、数多くの夫婦問題を解決。離婚・夫婦問題の第一人者として講演、メディア出演多数。YouTube「岡野あつこチャンネル」は登録者数6万人以上。近著『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』講談社+α新書が好評。
取材・文/ガンガーラ田津美