マイナンバーカードといえば河野太郎議員

 12月2日、現行の健康保険証が新たに発行されなくなった。その代わりとなるものが、マイナンバーカードに紐づけされたマイナ保険証だ。'22年10月に当時のデジタル大臣、河野太郎議員が「'24年度秋に現行の保険証の廃止を目指す」と、宣言してから2年。その言葉のとおりになったわけだが─。

「この日から今の保険証が使えなくなる」

「すぐにマイナ保険証を持たないと、医療保険を受けられない」

 といった情報に、戦々恐々としている人も少なくない。

「紐づけ解除」も可能

「国の周知が不十分だから、そんな誤った情報が拡散されているんです」

 前出の情報は誤っていると指摘するのは、東京保険医協会のスタッフ。

「今の保険証が無効にはなりません。新たに発行しなくなっただけで、有効期限内であれば最長1年間使えます」(東京保険医協会のスタッフ、以下同)

 また、現行の保険証の有効期間が切れても、

「マイナンバーカードに保険証を紐づけていなければ、資格確認書が送られてきて保険診療が受けられます。慌ててマイナ保険証に切り替えなくても問題はありません。

 先日、報道番組で見たのですが“マイナンバーカードは実印と同じだから、持ち歩いて紛失するのが怖い”と話されているご高齢の方がいらっしゃいました。そういった方は10月28日から、紐づけした保険証を解除することも可能です。そうすると現行の保険証と同じように使える資格確認書が送られてきます

メリットともに危険性も

 もともとマイナンバーカードの取得は任意で、そのカードに保険証を紐づけすることは国からのゴリ押しといった批判の声も上がった制度。その保有率は75・7%だが、10月に保険証と紐づけて利用した人は15・67%と低迷している。

「国のHPや広報物には大きな文字で“マイナ保険証を登録してください”など、強制と取られかねない言葉が並ぶ中、利用解除については小さい文字で簡潔に書かれていることが多い。“ゴリ押し”といわれても仕方ないです。

 私たちの協会では、HPに保険証の期限や資格確認書について、またマイナ保険証の登録解除について説明していますし、協会に加盟している都内6000の医療機関の待合室には、ポスターを張るなどして周知させていただいています」

高齢者施設・介護施設がマイナカードを代理申請できない理由

 今のままでは医療現場や自治体に、今以上の混乱が広がると協会のスタッフは話す。平将明デジタル大臣は、

「従来の健康保険証はICチップも顔写真もなく、不正を働こうとする人からみると非常につけ込むスキのある仕組み。この穴をふさぎたいという思いがまずある」

 と語り、医療サービスの向上につながるという従来の説明を繰り返したが……。

「国は患者さんの診療情報を含め、メリットがあると説明していますが、それ以上にデータベースが集約されるという危険性もはらんでいます。マイナ保険証の利用率が低迷している中、国民の意思を無視して現行の保険証の新規発行を停止するのは問題があるのではないでしょうか」(前出・東京保険医協会スタッフ)

 保険証をめぐるドタバタは、まだまだ続きそうだ。