上沢直之(公式インスタグラムより)

 12月18日、福岡ソフトバンクホークスが日本球界復帰を模索していた上沢直之投手(30、以下敬称略)の入団を発表した。ポスティングシステムを利用してのメジャーリーグ挑戦から1年、4年契約で総額10億円ともされる好条件で迎えられてーー。

《史上最低の野球選手》《手元にあるサインボール、明日思いっきり海に投げます》《失望通り越しておもろい》……。ソフトバンク移籍の一報により、上沢のインスタグラムには批判が殺到し、誹謗中傷にも近いコメントも投げかけられる炎上状態に。

 2023年オフ、北海道日本ハムファイターズに直訴してポスティングを認められた上沢。ところが“夢の舞台”は甘くなく、メジャーのマウンドに立てたのはわずか2試合で、シーズンの大半をマイナーで過ごす日々。

 右肘の故障も影響してか、11月にフリーエージェントになると、取材に応じた『スポーツニッポン』にて、

【今年1年、僕の中で思うところもあり、家族にかなり迷惑をかけました。家族にとっては僕が日本にいた方がいいと思いますし、野球の面で足りない部分が多いなと感じたので、現状は日本の方に気持ちは傾いているかなと思います。】

 メジャー再挑戦の可能性も含ませつつも、“家族のため”を理由に日本復帰を示唆していたのだが、1か月半後に選択したのは古巣ではなくソフトバンクだった。

現状ルールでは問題ない移籍劇

 ポスティングの“穴”をつくような移籍劇ではあるが、もちろん上沢もソフトバンクも“違反”したわけではなく、現状のルールに則った移籍である。2024年シーズンを31歳で迎えるだけに、自分を少しでも高く評価してくれる、お金を積んでくれる球団を選ぶのはプロとして当然とも言える。

「“そこ”は理解している日ハムファンも多いと思います。彼らがモヤモヤしているのは、帰国後からの上沢の言動に対してでしょう」

 パ・リーグ事情に詳しいスポーツライターが指摘する、ファンの怒りを買った“上沢の言動”とは何なのだろうか。

「みんな、愛してるよ」渡米前に日ハムのチームメイトと記念撮影(上沢直之公式インスタグラムより)

 レッドソックス傘下の3A所属だった9月25日、鍵谷陽平投手(34)の引退セレモニーがエスコンフィールド北海道で行われたのだが、サプライズで駆けつけたのが紺色のジャケットパンツを着て、メジャー帰りらしく髭を蓄えた上沢だった。

オフは自主トレをともにしていた先輩に花束を渡して抱き合うと、場内からあたたかな拍手と大歓声が巻き起こりました。この時点で、メジャーで置かれた現状から日本復帰も囁かれ、ファンは当然のように日ハムに戻ってくる。セレモニーはその“顔見せ”と見る向きもありました」(前出・ライター、以下同)

 この日、上沢を招いたというのが球団のチーフ・ベースボール・オフィサーを務める、恩師の栗山英樹氏だっただけにファンの期待が膨らんだのも当然か。

日ハムナインに「愛してるよ!」

「また帰国して以後は、球団施設で練習をしていたことを一部スポーツ紙でも伝えています。そんな“日ハム愛”を見せていただけに、たとえソフトバンクより条件が悪かろうともファンは戻ってくると信じていたわけです。

 たとえば帰国当初より“思わせぶり”な態度をとることなく、移籍に関しても“条件がいい球団を選びます”と一貫してドライな対応をしていれば、ここまで批判されることもなかったのでは?」

 先の『スポニチ』紙面では【12年間在籍して育ててもらったファイターズに一番、思い入れがあります。】と古巣に感謝を示しつつも、

【ただ、どの球団でも話を頂けるのであれば“結構です”と言うのではなく、一度話を聞きたいと思っています。】

 すでに心が揺らいでいることを匂わせていた上沢。

 渡米前の2月、インスタグラムに【みんな、愛してるよ! I love you guys!】と投稿していたのは、日ハムナインに笑顔で囲まれた記念写真。ファンが思い描いていたのは、上沢とファイターズの姿だったのだろう。