「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。
古閑美保

第107回 古閑美保

 元女子プロゴルフ賞金女王の古閑美保さんが、元夫の親友であるプロゴルファー・野田早人さんと再婚し出産していたと『NEWSポストセブン』が報じました。

叩かれる不倫と叩かれない不倫

 古閑さんといえば、2022年11月10日号『週刊文春』が、野田さんが路上で古閑さんの頬にキスをし、一緒に帰宅する姿を報じており、親密な関係であることを伺わせますが、古閑さんは「(交際は)絶対にないです」と答えています。

 同誌によると、古閑さんが野田さんに夫婦関係の悩みを相談するうちに急接近、別居中に同棲を始めて、再婚も間もないだろうと報じていましたが、そのとおりになったのでした。

 再婚に至るまでの経緯が『文春』の報道のとおりだとすると、古閑さんは夫の親友と不倫し、ささっと乗り換えて出産を果たしたとなります。つい、韓国ドラマばりのどろどろを想像してしまいますが、当の古閑さんは報道を気にするタイプではないと思いますし、ダメージも少ないのではないでしょうか。というのは、不倫報道がすべて激しいバッシングにさらされているわけではないからです。バッシングされる不倫というのは、ざっくり言うと2つの条件があるように思います。

(1)不倫の当事者の知名度が高い、もしくは主戦場が、テレビであること

 テレビ離れなどと言われていますが、広く大衆に顔と名前を売るのに、やはりテレビは一番うってつけのメディアと言えるでしょう。一部の人に熱狂的な人気を誇るユーチューバーより、タレントやアナウンサーなど、テレビで活躍して広く顔と名前を知られている人の不倫バッシングは長引きやすいと思います。

 古閑さんもバラエテイー番組によく出演していた時期もありましたが、テレビ出演は彼女の本業ではありません。こうなると、バッシングの対象から外れます。

(2)自分のキャラと相手の格

 不倫バッシングには、不倫した人のもともとのキャラも関係してくると言えるでしょう。タレント・ベッキーさんの不倫があれだけ叩かれたのは、ベッキーさんが“いい子キャラ”で売っていたということと無関係とは言えないでしょう。

 逆に、女優・斉藤由貴さんは2017年に『週刊文春』により一般男性との不倫が報じられ、2024年10月1日・8日号『女性自身』は、この男性との関係が続いていたことを報じています。それなのに「まただね」で済んでしまう(ベッキーのように長期間休業したりしない)のは、斉藤さんは映画や舞台で活動しており(テレビが主戦場ではない)、さらに独身の頃から、尾崎豊さんや川崎真世さんなどと不倫をしていたという“前科”があるからでしょう。ひとことで言うと「昔から、そういう人だよね」で片づけられてしまうのです。

 また、相手の社会的な立ち位置もバッシングの強さに関係していると思います。たとえば、ベッキーの場合、相手がゲスの極み乙女。のボーカルの川谷絵音さんでしたが、彼はベッキーさんとの不倫報道が出る直前、NHKの『紅白歌合戦』に出場を果たすなど、スターの階段を上り始めていました。こういう人気者、つまり羨ましい要素が多い不倫は、叩かやれやすいと思います。

 斉藤さんの不倫相手は一般人男性なので、どういう人なのかいまいち想像がつきません。このような場合、鎮火は比較的早くなると言えるでしょう。

元夫に気遣いなんて不要

 古閑さんが不倫していたのかどうかはわかりませんが、2014年12月2日放送の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)において、「付き合ったら彼に全部合わせる」「彼氏ができたら仕事しなくなる。重いんですよ」「尽くしすぎてダメ男にしてしまったことがある」と、恋愛に全力で向かっていくタイプであることを明かしていました。

 また、メジャーリーグ・サンディエゴ・パドリスのダルビッシュ優選手との交際を、当時の妻のタレント・紗栄子さんと離婚協議中に報じられるなど、古閑さんは好きになったら命がけという印象を受けます。

宮崎県での合同自主トレで、ダルビッシュに寄り添う古閑美保(2011年)

 恋愛肉食系として認知されている古閑さんですから、たとえ本当に不倫を経て元夫の親友に乗り換えたとしても、「やりそう」なわけで、意外性がない分バッシングもされないでしょう。斉藤さんと同様、現在の夫が一般人であり、テレビに出る人でも賞金王でもないことも“プラス”に働くのではないでしょうか。

 それにしたって、夫の親友となんてヤバいとおっしゃる方もいることでしょう。けれど、古閑さんが離婚したのは40歳の時です。古閑さんのお父さんは12月11日配信『女性自身』の取材に応じ、前夫の離婚の原因について「子どもができなかったことも、大きかったですね」と答えています。もし古閑さんが20代なら、何もわざわざ夫の親友みたいな近い人を選ばなくても……と思いますが、出産願望のある40代なら決断と行動は早くすべきでしょう。

 お互いプロゴルファーでわかり合える部分も多いでしょうし、元夫の親友ということは、ある程度気心がしれているでしょうから、話が早い。そもそも離婚すれば夫は赤の他人になるわけで、親友だからやめておくなんて気遣いは不要だと思うのです。

 ただ、今回の報道がイメージダウンであることも間違いないでしょう。ですから、こういうことをする人は、メンタルの強さと経済力に自信がある人に限ると思います。また、古閑さん自身も、今後は男性との距離に気を付けないと、今回の報道の先入観もあって「うちの夫を奪おうとしている!」なんて週刊誌にたれこまれたりしかねないので、注意は必要だと思います。

 なるべくなら人に後ろ指さされるようなことはしたくないものですが、もし自分の人生にどうしても必要だと思う事柄や人に対しては、法律を犯さない範囲で、貪欲に取りに行くのはアリではないかなと思うのです。「周りに〇〇と言われるから……」と挑戦する前にあきらめてしまう人がいますが、周囲はあなたの人生に責任を取ってくれません。

 自分の欲求を過度に通すとヤバいことは想像がつくと思いますが、遠慮をしすぎて自分の幸せをつかむチャンスを放棄することはもっとヤバいと思うのです。古閑さんの「自分を幸せにするのは自分だ」という姿勢から、アラフォー女性が学ぶべきことは多い気がします。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」