「新年おめでとうございます。みなさんとこうして新年を一緒に祝うことをうれしく思います。その一方で、昨年の元日に発生した能登半島地震や各地で起こった大雨の災害などにより、今なおご苦労の多い生活をされている多くの方々の身を案じています。
いろいろと大変なこともあるかと思いますが、本年がみなさんにとって安らかでよい年となるよう願っております。年の始めにあたり、わが国と世界の人々の幸せを祈ります」
新春恒例・天皇陛下の挨拶
1月2日、新春恒例の新年一般参賀が皇居で行われ、約6万人が訪れた。2024年は元日に能登半島地震が起きて中止されたため、2年ぶりの開催となった。天皇陛下は、宮殿・長和殿のベランダに立ち、国民に向けてこのように挨拶した。
天皇、皇后両陛下をはじめ、長女、愛子さま、上皇ご夫妻、秋篠宮ご夫妻と佳子さまらが、長和殿のベランダから、集まった人々の祝賀に応じた。この日は、計5回お出ましになり、午前中の3回は、上皇ご夫妻もベランダに姿を見せた。
青緑色のロングドレス姿の佳子さまは、両親の隣に立ち、参賀者たちに笑顔で手を振っていた。弟の悠仁さまは、今年4月から、筑波大学生命環境学群生物学類1年生となる。
成年式を終えていないため、新年一般参賀には参加しなかったが、おそらく、来年は、姉と一緒にこのベランダから人々の祝意に応えることになるだろう。弟思いの佳子さまだけに、悠仁さまの大学入学が決まって、どこかうれしそうに見える。
元日には皇居で「新年祝賀の儀」が行われた。年の初めに天皇陛下が皇后さまとともに、皇族や内閣総理大臣、衆参両院議長、最高裁判所長官、各国大使などから新年の祝賀を受ける儀式で、午前11時過ぎから、皇居・宮殿「松の間」で両陛下が、昨年末のインフルエンザ感染から回復したばかりの愛子さま、それから秋篠宮ご夫妻や佳子さまとともに儀式に臨んだ。
ローブデコルテに勲章とティアラを身に着けた愛子さまと佳子さまは、2人並んで立ち、華やかな雰囲気に包まれた。衆議院議長と参議院議長がそれぞれ新年の挨拶をし、これに対し陛下が、「年頭にあたり国民の幸せと国の発展を祈ります」などと述べた。
新年から忙しく公的な活動に励む佳子さまだが、'24年12月29日、30歳の誕生日を迎えていた。今年は30代のスタートを切り、より充実した記念すべき一年になりそうである。
《2024年は、1月に能登半島地震が起き、復旧にむけた努力が行われている中、9月に豪雨が起きました。内親王殿下は、甚大な被害があったことに心を痛めていらっしゃいます。そのような中、被災した方々とお会いになったり、支援に携わる方々からお話をお聞きになったりする機会もありました。この1年を通して各地で災害が起き、内親王殿下は、亡くなられた方々をお悼みになるとともに、被災された方々を心配なさり、被災された方々が安心して暮らせるようになることを心から願っていらっしゃいます。
そして、災害時を含め、社会のために力を注いでいらっしゃる方々に、同じ社会に生きる一人として、敬意と感謝の気持ちをお持ちでいらっしゃいます。この1年のご活動や日々の生活の中で、また、様々な媒体を通して、そのようにお感じになることが多くあったと伺っています。
内親王殿下は、これまでと同様に、誰もが安心して暮らせる社会になることを、誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になることを、そしてこれらがあたりまえの社会になることを願っておられ、ご活動の際にも、この思いを胸に取り組まれています》
佳子さまの活動の軌跡
昨年末の30歳の誕生日に際して宮内庁皇嗣職は、このような佳子さまの気持ちとともに、昨年一年間の活動の軌跡を発表した。同時に、佳子さまの最新の写真と映像も紹介している。
赤の三連イヤリングを着け、赤のコート、グレーのセーターとパンツ姿の佳子さまが、12月上旬の晴れた日に赤坂御用地を散策したときのものだ。
《赤色や黄色に色づいた木々の下をお歩きになり、落ち葉を拾い、眺められました。場面が変わり、池のほとりで池の中を覗かれた後、広い芝生の上を歩かれました。再び場面が変わり、茶園にて、丸く刈り込まれたお茶の木々の間を歩かれ、風景をご覧になりました。そして、頭上の木の枝に手を触れながら、その下をくぐられました。その後、こちらに背を向け、後ろに広がる芝生と、太陽の光に照らされた色とりどりの木々を眺められました》(宮内庁公式サイトより)
SNS時代を強く意識してなのか、皇嗣職の説明は丁寧、親切で、私の周囲ではとても評判がいい。
《茶園にて、お茶の木の間を歩かれ、常緑広葉樹のオガタマノキの枝に触れられるお姿》《藤棚とお茶の木を背景に、こちらをご覧になってにっこりされるお姿》《ピンク色のサザンカが咲く横で、こちらをご覧になるお姿》……。
このように、写真にはそれぞれ詳しい説明がつけられている。佳子さまは、どのカットも美しく、カメラマンも思わず力が入ってしまい、納得いくまで写真を撮り続けたに違いない。プロのモデルのような佳子さまと赤坂御用地の自然が溶け合って、名画のような趣がある。「お見合い写真?」と、思わず勘違いをしてしまいそうだ。
〈元日や一系の天子不二の山〉
これは、内藤鳴雪(1847―1926年)の有名な俳句である。富士山と万世一系の天皇陛下は、世界に比類なきものであり、この国にはなくてはならないものであるという意味だ。新年早々から、天皇、皇后両陛下や秋篠宮ご夫妻はもちろん、愛子さまや佳子さまたち若い皇族が仕事に励む姿を見ると、心に安らぎを覚える。私たち国民が一つにまとまっている、こうした幸せや安定感などを感じないだろうか。
かつて天皇陛下は「国民と苦楽を共にしながら、国民の幸せを願い、象徴とはどうあるべきか、その望ましいあり方を求め続ける」と話された。今年も佳子さまの活躍に期待したい。
<文/江森敬治>