10時間ほどの“長眠”を心がけているという大谷翔平選手の大活躍もあり、睡眠への関心が高まっている昨今。質の高い眠りのヒントを探るべく、常に健康美を求められる芸能人の“寝習慣”を、プロアスリートに向けて寝具選びも含め総合的にアドバイスを行う「スリープトレーナー」のヒラノマリさんの解説付きで大調査!
石田ゆり子も内田理央も寝室の雰囲気づくりからこだわる
眠りをいざなう環境づくりは、快眠の第一歩。年齢を重ねるほどに自然体の美しさが増し、“奇跡の55歳”と称される女優の石田ゆり子は、“静けさ”をテーマに寝室の色を選んで安眠につなげている。クッションやリネン類、カーテンを淡い水色や青、薄いグレーなどでそろえた寝室をSNSで公開。
さらに、《空間がぐっと、穏やかで健やかな眠りに入っていけるような、そんな空気を醸し出す》ということで、壁の一部は薄い青色に塗っていることも明かした。
「この色選びは大正解。青や水色には鎮静作用があり、寝室にぴったりの色です。さらに、肌着やパジャマなど、肌に触れるものの色で筋肉の緊張が変わるということが研究で明らかになっていますので、パジャマも水色やベージュなどを選べばなおよし。筋肉がリラックスした状態で眠れます」(ヒラノさん、以下同)
また、寝室の色を統一させることは視覚的なうるささを軽減。眠りに集中できることもメリットだと指摘するが、女優の内田理央はさらに究極の“何もない”ベッドルームで“超集中睡眠”を実現している。《ホテルの空間に憧れて》部屋の真ん中にベッドのみを配置しているとインタビューで語った。
「寝具しか置かないという潔さは睡眠にはプラス。すっきりした部屋のほうが寝ることに没入できます」
MEGUMI、大地真央の入眠儀式。アイピローと耳栓で光と音をシャットアウト!
「光と音の調整も安眠の重要な要素」とヒラノさん。
「明るさや雑音があると、寝ていても脳が無意識に働いたり、交感神経を刺激してしまったりするので、しっかりと休まりません。できるだけ光と音はシャットアウトすることが望ましいです」
自身の美容法をまとめた本が大ヒットし、“令和の美容番長”として支持されているタレントで女優のMEGUMIは、もちろんこれを実践済み。韓方医から目を温めると自律神経が整うとすすめられたのをきっかけに、夜はもちろん、日中に仮眠をとるときもアイピローと耳栓を使う徹底ぶりだ。《光と音をシャットアウトして眠ると疲れが取れて、体力の回復度合いが全然違う》とその効果を絶賛。
68歳とは思えないパワフルさと美スタイルをキープしている女優の大地真央も《自分の世界に入れる》として就寝時に耳栓を愛用する一人。さらに、《ユーカリプタスエッセンシャルオイルを纏い、深呼吸をするとすうっと眠りについています》と、香りも眠りに欠かせないアイテムとして挙げている。
「自分が落ち着く香りを嗅ぐというのは、“入眠儀式”として効果的。今から寝るぞという切り替えがうまくいきます。音楽を聴きながら寝るのが好きという人も多いですが、音や歌詞の情報を無意識に脳が考えて処理してしまうので、聴きながら“寝落ち”するのは逆効果。寝る前に切れるようにタイマーをセットするなど工夫が必要です」
松岡茉優の安眠催眠術!寝る1~2時間前のマインドコントロールで意識からオフに
慌ただしい毎日、睡眠時間の確保も悩みの種。ドラマや映画への出演だけでなく、バラエティー番組でも活躍する女優、松岡茉優は上手に入眠するワザを習得している。それは、《寝る1〜2時間前は、情報を入れないで脳をオフにするということ》。
日々、やらなければいけないことが頭について回っているが、好きなベルガモットの香りを楽しんだり、ハーブティーを飲んで、最低でも15~30分は《「オフだぞ」と言い聞かせ》る時間を確保。まさに“催眠”術のようなやり方だが「眠りの時間へスイッチを切り替えるための上手なやり方」だと睡眠のプロも太鼓判を押す。
石田ゆり子は《『私は3時間で8時間分の睡眠を取る!』と自分に言い聞かせて寝ます(笑)》と回答。
「“3時間でもしっかり寝るぞ”と前向きな思考で眠りに入るのは悪くないと思います。夜は幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が少なくなるので、悲観的な感情が起こりがち。そうすると、交感神経が高まってリラックスした状態で眠りづらくなります。できるだけポジティブな気持ちで眠れるよう、今日あったいいことを思い出してから眠るのもいいですよ」
倉科カナが太鼓判寝具にこだわりアリな美肌女優は“シルク推し”
睡眠を疲れ解消のためだけでなく、美しさを磨く時間にうまく転化しているのが、さすがの女優陣。マットレスなど寝具へのこだわりも強いが、中でもシルクの枕カバーを美容面の御用達アイテムとしている。
倉科カナは《保湿がすごくて、寝て起きた時の顔の潤い方が違う》と大絶賛し、モデルとしても活躍する堀田茜も《髪や肌の摩擦を軽減する》とシルク素材を選んでいる。
「アミノ酸が豊富に含まれるシルクは人間のタンパク質にもっとも近い天然繊維といわれています。肌への刺激が少なく美肌によいというだけでなく、触れているだけで安心できるような心地よさがあるので、快眠にはもってこい。
さまざまなシルク製品が出回っていますが、寝具や寝間着には品質を示す値(匁)が22~25のものを選ぶのがおすすめです」
広瀬アリス、SHIHO、カズレーザーらの睡眠前のストレッチ、呼吸法、運動で快眠に
女優の広瀬アリスが寝る前に行うのはヨガ。寝る前に動画を見ながら10分程度だというが《肩とか股関節を軽くほぐすだけで、気持ち良くうとうとできる》、とその効果の高さをたびたび語り、自身の元気の秘訣だとしている。
「肩甲骨まわりや首がこっていると交感神経が優位に。寝る前にきちんとほぐしてあげれば、副交感神経がうまく働きやすくなり、自然と良い眠りが促されます」
とヒラノさんも絶賛するほど、たった10分でもメリットが大きいようだ。
同様に、副交感神経に働きかける就寝前ルーティンを行っているのがモデルのSHIHO。30歳を過ぎたころから《美容と健康に関しては、いい睡眠がとれているかいないかですごく変わる》と感じ始め、就寝前に《おなかをへこませながらゆっくりと深呼吸を繰り返す》呼吸法を取り入れるようになった。「自分でコントロールするのが難しい自律神経だが、腹式呼吸は副交感神経を優位にするのに有効」とヒラノさんが指摘するとおり、SHIHO自身も寝る前の深呼吸で《だんだん身体がリラックス》するのを感じているという。
一方、ハードな運動を課しているのが高学歴芸人としてクイズ番組や情報番組に引っ張りだこのお笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザー。その入眠習慣は独特で、《ヘトヘトに疲れれば人間は寝るだろうと思って、寝る前にめっちゃ運動する》のだという。ただし、本人も《寝る前に刺激的なことは良くないって言われるけど》と理解しているとおり、やはり「避けたほうがよい」習慣だとヒラノさん。
「寝る前に頑張って運動をしてしまうと交感神経を刺激するだけでなく、脳や内臓などの深部体温が下がりづらくなるので、寝つきが悪くなります。“ちゃんと眠れている”と思っていても、実は眠れていない場合も」
激しい運動はよくないとわかっていながら《合っているから続けている》というカズレーザー。たとえ“思い込み”であっても睡眠の質を高め、キレキレの頭脳の維持に役立っているのだとしたらそれも“正解”なのかも?
<取材・文/河端直子>