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ついにはじまった花粉シーズン。耳鼻科医の富田雅彦先生に今からすぐできる花粉対策を教えてもらった。
市販薬を賢く使う飲み薬は第ニ世代
「ここ数年で、市販の内服薬の改良が進み、花粉が飛散する1週間前ごろから服用しても効果が得られるようになりました。
『第二世代(抗ヒスタミン剤)』と呼ばれていますが、価格も手頃になり、短期間であれば病院にかかるより市販薬のほうが安くすむことも。身体に吸収されやすいので、空腹時に飲むといいでしょう」
その反面、市販薬は種類も増えた分、選び方が難しい。
「使われている成分に着目してみてください。内服薬は『フェキソフェナジン』を配合したものがおすすめです」(富田先生、以下同)
例えば『アレグラFX』、『アレルビ』、『フェキソフェナジン錠RX』などの商品だ。
フェキソフェナジンはアレルギー症状を起こすヒスタミンという物質の働きを抑える薬。フェキソフェナジンは、1983年以前に開発された花粉症の市販薬「第一世代(抗ヒスタミン剤)」より副作用が少ない。
「第一世代と呼ばれる花粉症の薬は成分が脳に届き、眠気を起こします。そうならないよう開発されたのがフェキソフェナジンです。ただし、せきが止まらないなど、症状が重く市販薬では改善しない場合は、専門医の診察を受けてください」
漢方薬にも花粉症に効くものがあるので試すのも手だ。漢方薬には眠気を起こす成分が入っていないため、日中に活用できる。
「『小青竜湯』『越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)』『五虎湯(ごことう)』が有効。いずれも血管を収縮させて鼻の通りをよくする生薬『麻黄(まおう)』が含まれており、即効性があります」
小青竜湯はドラッグストアではおなじみで手に入りやすい。
「ただし、鼻づまりがひどい場合は越婢加朮湯や五虎湯のほうがさらに効きます。炎症を抑える効果の生薬が配合されているからですが、効果にも個人差はあります」
西洋薬と併用できるので、日中は漢方薬、夜寝る前は西洋薬と使い分けてもいい。
「この3つの漢方薬には気管支を広げる効果もあり、花粉症でノドがイガイガする場合におすすめ。
ただし、これらに含まれる麻黄には、血圧を上げる、尿が出にくくなるなどの副作用があるので長期の使用は避け、頓服的に使用するのがいいですね。高血圧や前立腺肥大など既往症がある場合は医師と相談が必要です」
点鼻薬や目薬は頻度とタイミングに注意
「鼻づまりが改善しないなら点鼻薬も使ってみては。点鼻薬には鼻づまりを改善する血管収縮剤(有効成分:ナファゾリンなど)と炎症を抑えるステロイド剤(有効成分:フルカゾンなど)の2タイプがあります」
ただし、使い方には注意が。
「ナファゾリンは、定められた用量・用法より使いすぎると効果がなくなり、むしろ鼻がつまります。使いすぎたら、2週間程度、間を空けてから再び使い始めてください」
使うタイミングは、鼻がつまってつらいとき、または寝る前がベスト。
「横になると鼻がつまりやすくなるので、夜寝る前に鼻の通りをよくしておくと睡眠を妨げません」
一方、炎症を抑えるにはステロイド点鼻薬が有効だ。
「ステロイド点鼻薬には即効性はなく、3日目くらいから効いてきます。継続使用が大切なので、点鼻薬を洗面所に置いて歯磨きをするときに点鼻すると忘れません」
また、目が充血したり、かゆいときには目薬も活用を。
「点眼薬は『ケトチフェン』配合のものを選んで。目頭には涙の排出口があるため、薬が鼻に流れ込んでしまわないよう、点眼後、目頭を押さえておくといいですよ。目がつらくなったとき、1日4回を上限にさしてみて」
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マスクにテープ&鼻うがいで花粉をオフ
花粉症はそもそも花粉に触れる量を減らすことが大切だ。
「外出時は帽子やマスク、花粉用のゴーグルなどを使ってください。マスクは不織布を使い、隙間から花粉が入らないように医療用テープなどで留めておきましょう。また、ガーゼやティッシュを鼻の前において、その上からマスクをするのも効果的。
インナーマスクや鼻に入れるフィルターなども売っていますが、このほうが低コストな上、使い捨てができて衛生的です」
アウター類はウールなどの花粉がつきやすい素材は避け、綿やポリエステルなど表面がツルツルした化学繊維のものを選ぼう。
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「帰宅後はコートや帽子は外で払ってから家に入りましょう。家の中にいかに花粉を入れないかが勝負です。外から帰ってきたら、身体についた花粉をすぐにオフするよう心がけて」
脱いだコートや帽子などは玄関にかけておくとよい。
「特に寝室に持ち込まないように注意しましょう。花粉は下に落ちていくので、枕やシーツが花粉だらけになってしまいます。この時季は部屋の掃除も大切ですが、枕カバーやシーツの交換もまめに行ったほうがいいですね」
帰宅したらすぐ鼻うがいで鼻の粘膜についた花粉を洗い流したり、肌や髪に付着した花粉は洗顔をしたり、すぐにお風呂に入って花粉を落とすことも症状の軽減になる。
「鼻うがいは専用の溶液などが市販されていますが、お金をかけずに家にあるものでも実践できます。水道水だと鼻がツーンとなって痛いという人がいますが、生理食塩水を使えば痛みは軽減します。
生理食塩水はドラッグストアでも売っていますし、手作りするなら550mlのミネラルウォーターのペットボトルに約5gの食塩を入れると生理食塩水の濃度になります。ペットボトルのふたの一番上の凸部まで食塩を入れると約5gになりますよ」
「今のところ、花粉症を根本的に治療する方法は毎日アレルギーの原因物質を少しずつ体内に吸収させる『舌下免疫療法』しかありません。しかし、3年間薬を飲み続けるという期間の長さに躊躇する人が少なくない。
鼻の粘膜を変性するレーザー治療やボトックス治療も1シーズンしか有効ではありません。できるだけ花粉を遠ざけ、飲み薬、点鼻・点眼薬で症状を抑えるのが現実的な対策です」
花粉症対策グッズを活用したり、手軽で効果的な方法を選んで、不快なシーズンを乗り切ろう!
帰宅後は「鼻うがい」で花粉をオフ
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【用意するもの】
・お椀
・生理食塩水(コンタクトレンズ用でOK。または、0.9%の割合で食塩を入れたミネラルウォーター)
【やり方】
お椀に生理食塩水を入れ、片方の鼻を指で押さえ、息を吸って吐いてから、もう片方の鼻から生理食塩水を吸い込む。吸い込んだ水を鼻や口から吐き出すのを繰り返す。
編集部セレクト「最新花粉症対策グッズ」
フード着脱可能 花粉メガネ/パリミキ 5500円
フードを外して拭き取ればさらに花粉に触れる率低め
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花粉カット率最大98%の花粉ガードメガネ。ぴったりフィットするやわらかなフードは取り外せるので、外出時にフードをつけ、室内では外して使用することもできる。
花粉ブロッカー3/サンコー 4980円
頭から首まですっぽりガード!徹底的に花粉をブロック
養蜂場の防護服のような見た目だが、フェイス部分はクリア素材のシールド。ファン内蔵でクリーンな空気が循環する。ファンは強力3層のフィルター付きで、95%の花粉をブロック。
電動鼻用洗浄器 ハナオート/日光精器 6480円
鼻うがいが電動でラクラク!しっかり洗浄し鼻づまり改善に
電動で安定した水流が出続けるため、鼻うがいが苦手でも洗浄液が奥まで届き、隅々まで洗い流すことができる。水圧は3段階で調節できる。※一般医療機器(nicoja鼻用洗浄器 NK7020)25B2X00012000006
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教えてくれたのは……富田雅彦先生●富田耳鼻科クリニック院長。山形大学医学部卒業、新潟大学耳鼻咽喉科助教、長岡赤十字病院勤務などを経て2019年クリニック開院。YouTube「耳鼻科医富田のいいみみCh」が好評。
取材・文・イラスト/ますみかん