チームメイトになる大谷翔平、佐々木朗希

《とても難しい決断でしたが、野球人生を終えて後で振り返った時に、正しい決断だったと思えるよう頑張ります。》

 自身のインスタグラムにてロサンゼルス・ドジャースとの契約を報告した、元千葉ロッテマリーンズの佐々木郎希投手(23、以下敬称略)。悩みに悩んだ末に選んだ“進路”は、やはりというべきか“先輩”らが在籍する球団に落ち着いた。

 約20球団が獲得に名乗りを上げ、最終候補に残ったというサンディエゴ・パドレスとトロント・ブルージェイスの3球団だったが、彼が最終的に選択したのは当初より“最有力”とされたドジャース。

 ポスティングシステムの「25歳ルール」によってマイナー契約が締結されるため、契約金は650万ドル(約10億円)と、先輩の山本由伸(26)が交わした3億2500万ドル(約500億円)とは雲泥の差。それでも“メジャー挑戦”の夢を優先した佐々木。

 早期のメジャーデビュー次第では、投手復帰予定の大谷翔平(30)、山本と日本人3選手によるローテーションが実現。国内の野球ファンの熱量、そして各メディアによるドジャースの扱いは昨年以上になりそう。

 ところがSNSでは、佐々木が下した決断に対し、

《結局ドジャースかい。 僕のツッコミじゃなく、MLB他球団の皆さんがそう思ってるよ。あんだけ獲得に向けて面談なりプレゼンさせておいてこれかいって》《元ロッテ佐々木はドジャースを選んだか つまらん 日本人選手が一人もいない球団で大谷、山本由らに真っ向勝負を挑むドラマが見たかった》

海外に渡ってまでつるむ日本人

 MLB球団や現地メディアも巻き込んだ移籍劇の結末に、そして佐々木対大谷の夢の対決を期待したファンは“肩透かし”を食らったわけだ。さらには、

《佐々木朗希の海外に渡ってまで日本人同士でつるむ感じが嫌》《佐々木朗希もドジャースってダサくないですか、留学先で現地コミュニティに入らずに日本人で馴れ合ってるみたいで》

 大谷に山本ら“日本人”が所属するドジャースを選んだことが、「せっかく海外留学したのに現地学生らの輪に飛び込まず、同じ境遇の日本人グループとばかり連む留学生の光景」を連想させたよう。

ドジャースとの契約を報告した佐々木朗希投手(公式インスタグラムより)

 2025年シーズンをメジャーリーグ、またはマイナーリーグでプレーする日本人選手は15人(1月20日時点)。うちの3人がドジャースに集まっているのだから、確かに日本人過多に見えるかもしれないが……。

「昨シーズンのMLBで外国人登録された選手は19カ国264人で、全選手のおよそ3割を占める人数。中でもドミニカ共和国の108人、ベネズエラの58人で外国人選手の半数以上を占めました。

 つまりはチームの3分の1、または4分の1が外国人で、例えばダルビッシュ有がいるパドレスはドミニカ出身者が4人、ニューヨーク・ヤンキースにはベネズエラ出身者が5人も在籍。母数は違いますが、日本人が3人集まるのも決して不自然ではなく、今後、メジャー移籍する選手が増えるほど当たり前になると思います」

 メジャー事情に詳しいスポーツジャーナリストが解説するように、日本人だから目立つように思えるが、多くの外国人選手がプレーするMLBで気にするファンはいないという。

佐々木の心を鷲掴みにした歓迎会

 また金銭だけなく、プレーがしやすい環境を選ぶことも近年の選手にとって重要なファクターになっているとも。

「言語や気候、習慣が異なる海外でプレーするのは想像以上にストレスを感じます。特に言語は、野球以外のところでは球団通訳だけでフォローできない部分もあり、調子を崩す要因にもなり得ます。日本人トレーナーや広報役として専属通訳を帯同させる選手もいますが、前言を撤回するようですが、“メジャー経験”豊富な、しかも同郷の選手がいるのはプレー面、精神面でも心強いのは確かでしょう。

 それにドジャースが佐々木投手との面談の場で開いた“歓迎会”ですよ。大谷に加えてベッツ、フリーマンらメジャーを代表する選手が出迎え、さらに元NBAスーパースターで、共同オーナーのマジック・ジョンソン氏も迎えたとと言います。こんなチームを目の当たりにして、国籍どうこうではなく、野球人として一緒にプレーしたくなるのは当然だと思いますよ」(前出・スポーツジャーナリスト)

 “正しい決断”だったのかどうか、ドジャーブルーのユニフォームに身を包んだ佐々木の活躍に期待したい。