1月27日に“やり直し会見”を開いたフジテレビ

 1月27日、午後1時。お台場のフジテレビ本社に到着すると、すでに多くの報道関係者であふれていた。日本のメディアだけでなく、海外メディアの姿も見える。

 フジテレビ昼のバラエティー番組『ぽかぽか』生放送に月曜レギュラーで出演しているTravis Japanの松田元太を目当てに見学に来たと思われる若い女性がチラホラおり、フジ本社前のオブジェをバックに記念撮影している人もいて、普段の平日昼間ならばよくある光景かもしれないが、この日はそうした“行楽客”が場違いに感じられた。

フジテレビスタッフの姿も

 2024年12月に報じられた中居正広の女性トラブルに起因する一連の問題について、2度目の記者会見を開いたフジテレビ。1月17日に港浩一前社長が開いた閉鎖的な会見が、大規模なスポンサー離れを招いたことによる“やり直し”だ。

 “オープンな形で行う”と告知されていたが、『週刊女性』も加盟する『日本雑誌協会』を含め、編集部にはフジテレビからの案内状は届かなかった。そのため、独自に案内状を入手。事前に参加の申請を済ませていた。

 午後1時半。受付を待つ記者やカメラマンが長蛇の列を作っており、ものものしい雰囲気が漂う。少し意外に感じたのは、その行列にフジテレビのスタッフも並んでいたこと。木村拓也アナウンサーを含む報道担当らしき数名が受付開始を待っており、自社でも一連の問題について報じる意思があるということかもしれないが、わざわざ顔の知れたアナウンサーが長蛇の列に並ぶことに驚いた。

 午後2時。受付を済ませて会場に到着。パイプ椅子がずらりと並ぶ。次第に人が増えて、会場の前方は満席に。フジテレビによると、191媒体437名が参加したという。

 こうした規模の会見といえば、2023年9月7日に行われた旧ジャニーズ事務所の性加害問題が記憶に新しい。このときは、およそ300名のマスコミが集まった。今回の会見は、いわゆる“芸能ニュース”に収まらない規模感があらわれていた。

港前社長が口を滑らせて…

 会見に登壇したのは、清水賢治新社長、遠藤龍之介副会長、港浩一前社長、嘉納修治前会長、金光修フジメディアHD社長の5人。1月17日の閉鎖的な会見では、服装の乱れが指摘されていた港前社長だったが、今回はスーツの前ボタンがきちんと閉じられていた。

 質疑応答が始まると、フジテレビ側の準備不足を感じた。多くの質問に「女性のプライバシーが」「第三者委員会に」といった曖昧な答えを繰り返し、港前社長は回答に悩む場面も多かった。

 フジテレビ側が取材陣にプライバシーの配慮を求めているにもかかわらず、港前社長が口を滑らせて、女性や社員Aの特定につながるような発言も何度かあった。

今にも寝入ってしまいそうな瞬間もあった金光修フジメディアHD社長

 日付が変わって、会見は10時間を超える長丁場に。次第に報道陣の数が減っていき、会場全体に疲労感が漂う。ただ、一部の“主張が強い記者”は、最後まで気を張っていた。

 終盤は、壇上の5人も疲れた様子だった。金光フジメディアHD社長は、今にも寝入ってしまいそうな瞬間もあった。椅子の上で座り方も乱れていったが、これだけの長時間ともなれば、それも当然だろう。一方、清水新社長は自らに向けた質問でない場面でも、熱心にメモを取りながら話を聞いていた。最年長の嘉納前会長は74歳。10時間超の会見を、たった10分の休憩でやりきる体力と気力には、ただただ驚いた。

 歴史に残る異例な会見に立ち会ってみて、いちばん異例だと感じたのは登壇者たちの体力だろう。もっとも、その体力があるのならば、もっとしっかりとした準備ができたようにも思うのだが……。