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 毎年、節分の時期になるとコンビニやスーパーで出回る恵方巻き。その年の吉とされる方角に向きながら無言で太巻きを食べるという恒例行事だ。だが、必ず決まって紹介されるのが、イベント終了後の大量廃棄のニュースである。

「ご利益なんてありません」

「年々、高級路線にシフトしつつある恵方巻きは、いくらやサーモン、ローストビーフ、和牛、カニなど豪華食材を詰め込んで、よりプレミアムな行事にしようとしている感があります。ただ、食材価格の高騰を受け、恵方巻き自体の値段も1本1000円以上は当たり前になっています。

 気軽に買えなくなっていることもあり、あまった恵方巻きが大幅に値引きされて売られ、さらには売れ残って廃棄されてしまうというケースもあとを絶ちません」(グルメライター、以下同)

 フードロスが叫ばれている中、やはりSNSでは“もったいない”の声が。

《今年は米不足の影響がまだまだ続いているし野菜も高値。スーパーでは大量値引きで処分。もうバカな風習は止めましょう》

《恵方巻き自体、販売をやめるべき。予約しても売れ残るようじゃブームは去ったも同然》

《食べ物を粗末にしては神様に叱られます、ご利益なんてありません》

 と、コメ不足に対する心配もあり、この風習に対する疑問の声が相次いでいるのだ。

「令和の米騒動も落ち着き、確かにお米が手に入るようにはなりましたが、依然として値上がりが止まりません。一部では、今年の収穫前にスーパーからお米がなくなってしまうのではという声もあります。そんななか、さも日本の古くからの食習慣であるかのように謳い、米を無駄にしてしまう恵方巻きはいらないのではないかという意見が高まっているのです」

 今や300億円を超えると試算されている恵方巻き市場。一方で売れ残りによる損失額は10億円とも言われる。一体どうしてここまで大量廃棄されてしまうのだろうか?「値段以外の問題もある」と語るのは、先のライター。

「この時期のイベントとして定着しているように見えますが、例えばクリスマスケーキやおせち料理に比べて、毎年必ず予約して食べる人は少ない。またバレンタインのチョコやクリスマスのチキンは焼き物なので、値下げされた物を買ってもある程度保存が効く。

 ところが、恵方巻きは食材に“生もの”が多いため消費期限が早い。傷みやすい生ものが半額で売られていても消費者としては買うことに抵抗が生まれてしまい、手が出しにくいのでは。そこで余計に売れ残り、フードロスにつなががってしまうのです

 一方、店側としては、巻物の割に金額が高いため、数がそこまで売れなくても利益が出る仕組みになっているという声も。

 そろそろ、メーカー側の仕掛けに踊らされるのを考えたほうがいいのかもしれない。