ヤクルトの球団マスコット「つば九郎」(2012年4月)

 プロ野球球団・東京ヤクルトスワローズのマスコットキャラクターとして知られる、つば九郎“担当者”の急死が波紋を呼んでいる。

“長時間の着ぐるみ”が原因なのか

 つば九郎は、ツバメをモチーフとしたキャラクター。お腹がぽっこりと出たフォルムは“ゆるキャラ”をイメージさせるが、つば九郎はほかのマスコットキャラクターとは異なる存在だったとスポーツ紙記者が語る。

「つば九郎は5回終了時に、ヘルメットを回転させながら高く放り投げて、それを頭にキャッチする“空中くるりんぱ”などが名物。失敗することも多いのですが、球場を沸かせていました。このほかにもグラウンドを駆け回る“動き”や“アクション”の多いキャラクターでしたね」

 報道によれば、つば九郎“担当者”は球団に所属する50代の社員スタッフだと伝えられる。今月はじめに沖縄で始まった1軍キャンプに同行し帰京する4日、空港の搭乗口で突然倒れ心臓マッサージを受けてそのまま入院していたと報じられた。6日には体調不良のため長期休養が発表され、16日に肺高血圧症のため帰らぬ人となった。

 ネット上では、その体調を気づかう声も相次いでいる。

《慢性的な酸素の取り込み不足、酸素が少ない所で長時間過ごすとか書いてあるから、着ぐるみ着用時間の長さによる労災の可能性》

《かなり過酷な労働環境でしょう。つば九郎の件は労災として重く受け止めてほしいなと思う》

《無理を重ねた労災の面もあるのかもしれんなあ…》

 長期間に渡って着ぐるみを着用し続けた結果ではないかと憂慮が相次いでいる。こうした声が聞かれる理由をイベント運営を手がける制作会社のプロデューサーが語る。

「着ぐるみを着用する場合、熱中症などの予防のため、1回の着用時間は30分が目安とされています。夏場など高温多湿な環境の場合は場合は20分程度とさらに短くなります。それでも汗だくになります。法律で決まっているわけではないのですが、業界の暗黙のルールとなっています。つば九郎は動きの多いキャラクターなので、かなりハードワークだったのでは」

 つば九郎は一人のスタッフが長年に渡って努めてきた。当人しかできないパフォーマンス、魅力を生み出していたのは確か。ただ、たとえ本人が了承していたとしても今後は何かしらの改善が必要かもしれない。