悠仁さま

 3月3日、秋篠宮家の長男・悠仁さまは成年に際しての記者会見に臨まれた。

「会見では、ご自身の長所や短所、理想のお相手像などのパーソナルな部分に加え、ご家族に関する事柄や、大学進学に際してのお気持ちなど、幅広い質問に回答されました」(皇室担当記者、以下同)

愛子さまの記者会見と比較される

 筑波大学への進学も決まり、晴れやかなお気持ちで会見を迎えられたかと思いきや、悠仁さまにとって今回の会見は、秋篠宮家の命運を背負われた重大な任務だったという。

「秋篠宮家は長女である眞子さんの結婚騒動以降、その一挙手一投足が注目され、少しでも落ち度のようなものがあれば容赦のない批判にさらされるという苦しい状況に置かれています。そんな中、将来の天皇陛下である悠仁さまが、成年会見で国民を感心させる立派な姿を見せることが、この窮状を脱する唯一の手段だといわれていたのです。こうした背景もあり、会見は前々から注目を集めていました」

 秋篠宮家にとって、一発逆転の好機ではあったものの、悠仁さまの分はかなり悪かったという。というのも、

「“愛子さまの会見を超えることは難しい”との見方が強かったからです。天皇家の長女である愛子さまも'22年、成年会見に臨まれています。その際、手元のメモにはいっさい視線を落とさず、ユーモアを交えながら質問に答えられたことで、成年皇族として“非の打ちどころがない”と国民から絶賛されたのです。悠仁さまの会見は、愛子さまの会見と比較されるのですから、ご本人はプレッシャーを感じておられたでしょう」

 象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科の河西秀哉准教授は、成年会見を巡る悠仁さまの重圧について、次のように解説する。

悠仁さまの“意外な趣味”

「今の天皇ご一家も、かつては雅子さまのご病気や愛子さまの不登校騒動などが重なり、世間から厳しい意見が寄せられた時期がありました。しかし、愛子さまが成年会見に臨まれた年には、すでに批判めいた動きは落ち着き、むしろ国民は好意的だったように思います。一方で、悠仁さまの場合はご自身や秋篠宮家に厳しい視線が向けられている最中の会見ですから、愛子さまのときよりも厳しく評価されることは明白です」

 そうした背景もあり、「事前に相当な準備をされたのでは」と河西准教授は続ける。

「悠仁さまは、しばしば“お人柄が見えない”と指摘されることがあります。愛子さまも成年会見前は同様の指摘がありましたが、会見を経て世間の印象を大きく変えられました。悠仁さまも会見を通じて、今まで見えなかった“普通の青年としての親しみやすさ”を表現しようとお考えになったでしょう。

 ただ、それだけでは愛子さまの二番煎じになってしまいますし、悠仁さまは現在の法律上、将来的に天皇になられるお方ですから、それにふさわしい人格であることも表現する必要があります。限られた時間でそうした側面を見せるためには、かなりの練習が必要だったでしょう」

 初めての記者会見を終え、早くも次なる重要ミッションである成年式が今年の9月6日に執り行われることが決まった。とはいえ、会見の重圧から解放された今、ひとまず安心されたことだろう。私生活では“意外な趣味”に打ち込んでおられるかもしれない。

「悠仁さまのお好きなものといえば、トンボのイメージが強いかもしれませんが、実は中学時代からライトノベルに熱中しておられるのです」(秋篠宮家関係者)

'22年3月に行われた愛子さまの成年会見。完璧なお振る舞いが話題に(宮内庁提供)

 ライトノベルとは、通称ラノベと呼ばれる日本発祥の小説のこと。ファンタジーや恋愛など娯楽性の高いテーマを扱い、挿絵にはアニメや漫画風の絵が用いられることが多いため、誰でも気軽に読めるのが特徴だ。

「ラノベ作品は現在、かなりの人気ジャンルとなっており、中には、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『Re:ゼロから始める異世界生活』など、アニメ化やコミカライズされ、シリーズ発行部数が1000万部を超えるものもあります。

 さまざまなテーマの作品が刊行される中、最近は“異世界転生”というジャンルが大流行しています。普通のサラリーマンや、さえない高校生が異世界で生まれ変わり、複数の美女から好意を寄せられたり、世界を救うといった成功譚が人気を集めているのです」(ラノベ編集者)

過去に本を出版された“先輩方”

 ラノベは、漫画のように画力が求められるわけでもなく、一般的な小説ほど高度な文章力や構成力は必要ないともいわれている。そのため、自ら書いてみるファンも少なくないという。実は悠仁さまもそのひとりだそうで、

「悠仁さまは、ラノベを読むだけでなく、執筆もされると聞きました。お茶の水女子大学附属中学校に通われていたころ、ご自分のノートに自作のラノベをしたためていたそう。その作品を教室で同級生に勝手に音読されてしまい、困惑されたことがあったのだとか」(前出・秋篠宮家関係者)

 中学時代は苦い思いを経験されたようだが、大学では人目を気にすることなく、サブカルなご趣味を満喫できるかもしれない。

ラノベの人気作『涼宮ハルヒの憂鬱』(右)と『Re:ゼロから始める異世界生活』(写真はAmazonより)

「筑波大学には、サブカルチャーやオタク文化を愛する学生が集う『現代視覚文化研究会』というサークルがあります。ラノベが好きな学生も多く入会しているでしょうから、自身の作品についてサークルのメンバーから助言を受けられるかもしれませんし、共同で作品を執筆される可能性も考えられます」(皇室ジャーナリスト、以下同)

 皇室には、悠仁さまのお手本になり得る“ベストセラー作家”の先輩がおられる。

「天皇陛下は、2年間のイギリス生活について綴った留学記『テムズとともに』を出版され、'23年に発売された新装版は発行部数が10万部を超えています。また、三笠宮家の彬子さまも自身のイギリス留学記を綴られた『赤と青のガウン』を出版。こちらは文庫化もされ、発行部数が25万部を超える大ヒット作です」

 未来の天皇という重圧がのしかかりながらも、大学ではサブカルワークを謳歌されることだろう。


河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数