「重大なコンプラ違反」をした上村謙信、中居正広、高比良くるま(本人のXより)、生島ヒロシ

「重大なコンプライアンス違反」というのは、今や芸能界の流行語、常套句になりつつある。「体のいい逃げ口上?」「その場しのぎ?」として受け止められるケースだってある。大抵の場合、具体性が見えない。よって視聴者やファンは、ただただモヤッとした心持ちになってしまう。

内容を明かさない理由

人気グループ、元ONEN‘ONLYのメンバー上村謙信(25)が逮捕されたと報道される前、所属事務所はグループ脱退とマネジメント契約の解除の理由を「重大なコンプライアンス違反が判明」とだけ説明していた。

 発表の後、香港で逮捕されたことが報道された。コンプラ違反の具体的内容が明らかになったが、

「契約解除の際、すでに逮捕されたことは分かっていたそうですから、今思えば、その段階で具体的なことにも触れて、契約解除したことを伝えればよかったと思いますよ」

 とスポーツ紙芸能記者は、潔くない対応をチクリと非難する。

 フリーアナウンサーの生島ヒロシ(74)がTBSラジオを突如降板した際、TBSラジオは「TBSグループ人権方針に背く重大なコンプライアンス違反があったため」とアナウンスした。

「具体的な内容を明かさない理由として多用されるのは、相手方がある問題とか、守秘義務があるためという言い訳ですが、相手方に具体的な理由を公表していいいのか悪いのか確認しているか疑いたくなりますね。というのも、生島サイドはすぐさま、自身のHPで具体的な内容を発表しましたからね」(前出・スポーツ紙芸能記者)

 生島企画室(当時。現在はFIRST AGENTに社名変更)のHPには、

『番組製作スタッフへの厳しい言動やインターネット上に掲載されていた不適切な画像の送信等の行為があったとのことであり、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントへの認識の欠落がまねいたことだと認識しております』

 とコンプラ違反の具体的内容が書かれた。このことを、なぜTBSラジオは発信できなかったのか?という疑念だけが残る。

発表側には都合のいい言葉

 大手芸能プロダクションも今年2月、同じような発信をしていた。

『弊社所属の一部タレントにつきまして、コンプライアンス違反の疑いがあることが判明したため』と唐突に公表したのは吉本興業だ。具体的なタレント名を明かすことなく、それでいて当該タレントが活動自粛することを伝えたことが、事態の深刻度を物語る。ネット界隈ではすぐさま、誰なんだ!というタレント名特定作業が行われる事態に陥った。結局はオンラインカジノ問題だったが。

 芸能界を引退した中居正広さんのトラブルが発覚した際も、レギュラー番組2本を放送していたTBSテレビは「コンプライアンスに反する可能性がある事案」と受け止めたという。具体的な内容については把握できていないにもかかわらず、危険な匂いを感じ取り、コンプラ違反の可能性を嗅ぎ取ったのである。

 どこもかしこも“コンプラ違反”である。

 その言葉についてまわるのは“守秘義務”で、両者が合体すると事実は隠ぺいされ、あいまいさだけが残る、という事態を招く。

 逮捕もパワハラ・セクハラも性加害疑惑も、みんなまとめて“コンプラ違反”。そんな昨今の芸能界の風潮に、前出・スポーツ紙芸能担当記者は不満たらたらだ。

「コンプラ違反という説明は、発表側にとっては都合がいい。具体的なことに踏み込む必要はなく、それでいてタレントが何かやらかしたことを伝えることができるわけですから。上村謙信のような逮捕案件もあれば、生島のようなパワハラセクハラのケースなど中身はさまざま。次のコンプラ違反を生まないためにも、可能な限り中身を発表することのほうが、再発防止につながると思いますけどね」

 一理ある。